35 高馬 Day4
「これはこれは、随分旦那がお好きなようだね、支倉さん」
「うん、大好きなんだ」
「・・・そういうのは俺がいないときに言ってくれよ」
「支倉さんはなんでこんなのことにいるんだ?」
「えーっと・・・なんでだっけ。忘れちゃった」
「・・・」
「旦那はこれから家に帰るんだよね?」
「ああ。当たり前のことを確認しないでくれ」
「じゃ、じゃあ送ってくよ、私」
「おいおい、支倉さん、今日は僕が先約なんだ」
「・・・」
「・・・でも、加藤さんは高馬君の友達でしかないじゃん。私は高馬君の彼氏、違う彼女なんだよ」
「・・・」
「まっ、大親友を困らせるわけにはいかないし、今日は引っ込むよ。じゃーね」
「ああ、また月曜日」
加藤はひらひらと手を振り、そのまま行ってしまった。
「・・・」
「面白そうな人だね」
「ああ、面白い人ですよ」
「じゃ、帰ろっか。家、こっちだよね」
「よくご存じですね」
俺は支倉さんの手を取った。
「あ、そのコーヒー」
「ご存知ですか?」
「おいしいの?」
「1口いります?俺も加藤から奢ってもらったけど甘すぎて、好きじゃないですし」
「・・・貰うよ、ありがとう」
支倉さんは缶に口をつけた。そしてそれをすぐ近くにあった自販機のごみ箱に捨てた。
「高馬君、何飲みたい?」
「・・・いや、喉乾いてないです」
「いいからいいから」
「・・・じゃあ、コーヒーで」
「ブラックでよかったよね。奢ってあーげる」
今日はやけにコーヒーをもらえるな。俺はプルタブを引いた。
「どう。おいしい?」
「はい、ごちそうさまです。1口いります?」
「勿論」
支倉さんは俺の手を1度離し、両手で缶を飲んで1口飲んだ。
「うん、おいしいね。ありがと」
「支倉さんが淹れるコーヒーが1番おいしいですけどね」
「っ・・・そう、じゃ、帰ろっか。帰り道、なんか食べたいの見つけたら何でも言ってね」




