32' ?? Day3
僕は無防備にそんなことを言う旦那に、苛立ちと哀れみで何も言葉が続かなくなった。君の父は自分の立場のために売るような野郎だよ。君の母は君を見殺しにしたんだよ。よくもまぁそんなことが言えるね。
「・・・加藤はなんで両親と仲が悪いんだ?」
「別に。価値観が違うだけだよ」
「どんな感じに?」
・・・僕の父親は馬鹿みたいなカトリック信者で、清貧を母親にも僕にも強要してきたなぁ。だから僕も1番安いハサミを使ってあげたんだっけ。懐かしいなぁ。
「ま、よくある親子喧嘩さ。親の考えは子供には伝わらないし、子供の腹の中なんて親は考えない。津々浦々一緒さ」
・・・尾行されてるな。支倉、旦那は鈍いから気が付いてないけどもっとうまくやりなよ。尾行中に煙草を吸う人がおるかよ。
「・・・そういえば、旦那って煙草嫌いなんだっけ」
「なんでいきなり?」
「ふと思い出した」
「んー・・・多分俺の彼女喫煙者なんだよなぁ」
・・・あれ、支倉って旦那の前で吸うタイプなのか?
「君の目の前で吸ったのかい?」
「や、ベランダにえげつない量の吸い殻が捨ててあるのを目にした」
「どう思ったんだい?」
「・・・俺、支倉さんが怖いんだよな」
「というと?」
「・・・んー、付き合って2日目なのに泊まらせようとしてきたり、煙草もそうだし」
「泊ったのかい?」
「ああ」
「・・・エロいことをしたかったからか?」
「・・・したかったっていうか・・・このまま帰ったらマズいって思ったんだよな」
支倉の異常性を薄っすらと感じ取ってるみたいだね。これは計算外だ。
「ふーん、支倉さんのことどれくらい好きなの?」
「ああ、好きじゃなかったら頼まなかったしな」
っ、あぶねーなお前。彼女の振りとか言ってたら支倉が物陰から野生のポケモンさながら飛び出してくるぞ。
「まぁ、支倉さんも多分1時的に昂ってるだけかもしれないから、まだ様子を見るよ」
・・・多分、デフォルトがアレだぞ。どうしたものかね。高馬は支倉の異常性を薄々感づいてる。んで小倉と旦那の会話も一部始終聞いてたってGTが言ってたからなぁ。多分明日、早ければ今日にも小倉を脅すを超えて排除してほしいって依頼が入るはずだ。
「ここ、いつまで工事してんだろうな」
「何ができるのか知ってるのかい?」
「えーっと・・・確かバッセンかなぁ」
「バッセン?」
「バッティングセンター」
「ああ、存在は知ってたよ」
「加藤ってなんでそんなに運動ができるんだ?」
「や、普通に運動ができるだけだよ。体質体質」
「羨ましいな」
「旦那もできないわけじゃあないでしょ」
「まぁね」
「・・・そろそろ帰る?」
「そうだね」
僕を送って帰ろうとする旦那を適当に振り払い、家に帰る。
「おかえり」
「ああ」
「結局自分で行くなら録音しなくてよかったね」
「お前が呼び出すからだろ」
「助かったでしょ?カーラ」
ちっ、まぁ助かったのは事実だし、1回は聞き流してあげよう。
「どうするの?」
「支倉が小倉を排除しようとする、それを僕は傷つけるは無理、でも脅すなら大丈夫って言って脅す依頼を受ける」
「・・・なんで小倉を傷つけないの?」
「小倉のダメージはそのまま高馬のダメージと考えて差し支えないよ。多少揺さぶるのは大丈夫だけど、今小倉を失ったら冗談とかじゃあなくて自殺してもおかしくない」
「・・・それで、なんて脅すの?」
「それを今から考えるんだよ」




