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虚栄  作者: 竹取夜鷹
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29 高馬 Day3

隣の家をノックしてもピンポンしても返答がない。どこに行ったんだ?

スマホが鳴る。加藤だ。無視しかけたが、思い直して通話ボタンを押す。

「ごめん、今忙しいんだ。後にしてくれ」

「小倉なら多分交番だ」

加藤のいつも通りのハスキーな声。まるで十字軍とはなにかを説明するかのごとくそう言った。

「なんでわかったんだ?」

「まぁね。論理的思考さ」

本当にコイツは頼りになる。俺のことが好き過ぎるのが玉に瑕というか偶に傷と言うべきか。

「ま、とにかくありがと。交番行ってみる。んでなんの用だ?」

「・・・小倉のこと、しっかり見とけ」

「なんの話だ?」

「さぁね。おやすみ」

「ん?ああ、おやすみ。いい夢を」

加藤はそう言って電話をふっと切った。俺はスマホ今度こそ仕舞い、自転車のサドルを上げた。


「・・・たか」

「・・・よぉ」

本当に交番にいた。加藤、どこて知ったんだ?

「なんでここにいるの?」

なんでここに?自分でもよくわからん。

「・・・・・・・・・ごめん」

「なにが?」

「・・・俺、お前に謝んないといけない」

「いいよ。謝んなくて。別にたかが誰を好きになっても私に止める権利ないし」

「・・・飯、行かない?」

「いまから?」

「うん」

「・・・・・・奢ってくれる?」

「っ、勿論」


自転車を押し、ガストに入る。

「何食べる?」

「・・・ドリンクバーと、このハンバーグ」

「もっと食え」

俺はタッチパネルで唐揚げとパスタとサラダとかを適当に頼む。お会計が5000円を超えたが、知ったことか。

「頼みすぎ」

テーブルを埋めるように温かい料理が並ぶ。

「俺食欲あんまないから、全部食べてね」

「は?」

小倉は文句を言いながらゆっくりと食べだした。俺も唐揚げを1つ口に入れる。



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