27' 先輩 Day3
「お疲れ様でーす」
「ごめんね、ヘルプ入って貰っちゃって」
「大丈夫ですよー」
挨拶も程々に車に乗り込む。早く、早く細君から情報を買わないと。アクセルをベタ踏みして難波十神社に向かう。
んー、誰もいなさそう。まだ20時までは時間がある。せっかくだし神様にお願いしておこう。
「高馬君が私以外、不要になりますように。高馬君が私に依存しますように。小倉さんが邪魔しませんように」
1万円を賽銭箱に入れる。もう20時だし少し探してみようとしたら、ベンチに人影がある。
「・・・あ、あなたが細君?」
マスクとかで分かりにくいけど、女性かな?
「国破れて」
「あ、そして誰もいなくなった」
作られた声。
「私が細君だ」
「は、初めまして。んで、調べて来てくれたの?」
「勿論」
ぶっきらぼうにそう答えた。私は封筒に入ったお金を渡す。
「多くないか?」
あれ?20枚だと思ったけど。まぁいいや。
「別にいいよ。こん中には何が入ってるの?」
「高馬悠太の情報。交友についてだが、小倉という女性がいる。幼馴染みでアパートは隣部屋だ」
渡されたUSB、この中に高馬君の全てが詰まってる。小倉さんすら知らないすべてを、私は持っている。
「・・・ねぇ、もう1つ、依頼してもいいかな」
「内容による」
「その、小倉って人排除しなくちゃいけないからさ」
USBを大事に財布に仕舞った。
「私さ、昨日デートしてきたんだけど、小倉って子から電話が掛かってきたの。高馬君は電話に出なかったけど、学校休んだくらいで電話ってするかな?しかも幼馴染みの女の子でしょ」
もし、小倉さんが高馬君に悪影響なら、私は許せない。
「ねぇ、その小倉の写真もこのUSBに入ってる?」
「いや、入れてない。写真なら今見せることができる」
「じゃあ、見せて」
小倉さんは目と鼻が冷ややかで、顔立ちの整った顔だ。私みたいな特徴のない顔からすれば嫉妬に狂いそうになる。ま、君と違って、私には、彼氏が、高馬君がいるから。
「ん、背がだいぶ低いね。どれくらいなの?」
「入学時点で144。今は大体146ってとこかな」
「ふーん。高馬君とどれくらい仲がいいの?」
「たまにファミレスで一緒に食事してる。それくらいかな。お互い家族みたいな感じかな」
「家族。ふーん」
・・・そこは、私の場所。
「頼みたいことってなんだ?用がないなら私は帰らせてもらう」
「ん、じゃあさ、小倉さんを脅してほしいな」
「どうやってだ?」
・・・さすがに高馬君から離れてだと重すぎるしなぁ・・・全然思いつかないや。
「ん-そうだなぁ。・・・思いつかないから思いついたら改めてお願いするよ」
「・・・・・・次の合言葉は『三界の狂人』『四生の盲人』だ」
「覚えたよ」
細君はすぐに立ち去ってしまった。私はベンチに座って煙草に火をつける。
・・・ねぇ、小倉さん、私は貴方が嫌いだけどさ、多分男の趣味は一緒だよ。高馬君は君のじゃない。
私のだ。私だけのものだ。




