26' 先輩 Day3
ぴたりと動かなくなった高馬君。恐る恐る胸を触ってみると心臓はきちんと動いてる。息も浅いがしてはいる。何があったんだろう。まずは首の止血をしないと。救急箱から消毒を取り出す。
「ご、ごめんね、ちょっと染みるよ」
消毒して、ガーゼを当てて、包帯を巻く。不格好ながら巻き上げた。
私は高馬君の上半身だけ持ち上げ足を引きずって寝室に連れて行く。
ベッドに汗だくになりながら寝かせる。ふぅ。とにかく情報が欲しい。もし高馬君が毎晩こうやってうなされるなら、いつでもいつまでも君の隣に居たい。スマホで色々調べたら、もしかしたら解離性健忘と出てきた。お父さんに助けを求めてたし・・・なにかトラウマがあるのかな。細君に聞いてみよう。
「国破れて」
「そして誰もいなくなった。細君、調査の首尾はいかが?」
余裕があるふりをしようと変な口調になっちゃった。
「上々だ。今晩で渡せる。いつがいい?」
「うーん、今日はバイトが夜あるし・・・終わったら貰おうかな」
「代金の準備は?」
「そんな10万円ごとき心配しないでよ」
「ああ。また後で」
「ん、ちょっと待って、彼についてどんなことを調べたの?」
「会ったら話す」
「今言って。言ってくれたらまたお願いするかも」
「・・・彼の両親の犯罪歴などだ。これ以上は言えない」
・・・え、この人ってもしかして無能?そんな情報が知りたいわけないのに。私が知りたいのは高馬君の交友関係と過去。彼の両親なんてアマゾンにしかいない蝶くらい興味ないの。
「彼の交友関係は調べてないの?じゃあ、もう10万円払うから、調べて今日中に持ってきてね。じゃあね」
少し乱暴に電話を切る。・・・
「・・・ん、舐めんなよ小倉」
っ、慌てて高馬君の方に寄る。寝言みたいだ。さっきまでの無表情から変わって柔らかい表情になってる。
「・・・小倉、ねぇ」
凄く嫌な気分だ。私の高馬君を夢の中ですらたぶらかすなんて。ん、んんっ。
「・・・高馬君、私だよ。君の恋人の支倉だよ・・・君は私が大好きなんだよ。私は君が大好きなんだよ」
・・・あんまりやりすぎると夢見が悪くなっちゃうかも。自制しなくっちゃ。
私も高馬君が寝てるベッドに入る。
「・・・おやすみ、高馬君」
私も目を閉じる。




