26 高馬 Day3
スマホを机の上に置き、支倉さんの作った弁当を開ける。おにぎり2つに弁当箱の中にはコーンとかハンバーグとかが詰まってた。食欲はないが無理矢理押し込んだ。この人のご飯、全体的に味付けが淡泊なんだよなぁ。戸棚から塩を取り出そうとして漁ったがなかった。この家には食材はおろか調味料すらないんか。仕方ないスーパー行くか。お弁当箱を冷蔵庫に入れ、家を出る。
「・・・」
小倉んちの玄関が半開きになってる。閉めようと思ったが、一応少し覗いてみることにする。
「・・・おーい、空いてるぞ」
・・・返事はない。胸騒ぎがして中に入るか迷う。
「・・・入るぞ」
靴を脱ぐ。隣の家なら間取りは一緒のはずだ。真っすぐにリビングまで向かう。
「・・・何やってんだ」
小倉は酒を瓶から飲んでいた。
「・・・・・・何しに来たのよ」
「んなもん、飲むな。捨てな」
「えらそーに。何様なのよ」
何様?俺にもよくわからん。小倉がもう1口飲む前に奪い取った。抵抗されるかと思ったが、するりと奪えた。少し迷ったが流しに捨てる。弁償しろって言われないだろうな。
「こんな酒臭い場所におったら、体壊れる。俺んとこ来い」
掴んだ手が振り払われる。
「あんたに、お前に何がわかるのよ!」
小倉は瓶を足元に叩きつけた。
「・・・お、お姉さん、ごめん、僕が悪かったからさ・・・」
「お前に何がわかる!クソガキ!」
「ご、ごめんなさい!」
「つぁーイラつくなぁあ!」
っ、ナニコレ。変な記憶?夢?それどころじゃあないんだ。俺は頭を軽く振った。
「・・・いいから来い。破片踏むなよ」
小倉はその場から動かない。頭が酷く痛い。こんな場所痛くない。
「待って、危ないから来ないで」
「知らねーな」
破片を踏み、1歩前に出る。
「は、離して!」
聞かずに俺は抱き上げる。暴れると思いきや小倉は動かなかった。
「座れ」
とりあえずお茶を出す。ヌルいがまぁいいだろう。何を話せばいいんだろうか、小倉は俺をキッと睨んでいる。
「昨日は、悪かった。連絡に気が付かなかった」
「彼女とデートしてたから?」
っ・・・何動揺してんだよ。恥じるな。
「ああ」
小倉は湯呑を勢いよく掴んだ。
「ねぇ・・・ゆう君、人ってさ、50度までは火傷しないんだって。じゃあさ、何度から火傷するか、試してみない?」
「や、やだよ。お願いします、やめてください」
「あ?社会に出たらもっとつらいことだってあるんだよクソガキっ!」
「ごめんなさい!」
「・・・ちっ、興が冷めた。もういい。コレが沸騰するまでに私を興奮させてくれたら許してあげる」
っ!なんだこの記憶。腹の底から冷えて体が震えそうになる。
「・・・なんで、私じゃあないの?」
「・・・・・・」
なんの話だ?
「なんで、なんで私じゃあないの。私さ、ずっとずっと君のこと、好きだったんだよ。小学校よりも前から。なんで君は私を好きじゃないの?」
「・・・」
「私さ、ずっと君のこと好きだったの。今もたかのことは大嫌いなのに、大好きなの。なんで私じゃないの?」
「・・・俺も、お前のこと
「聞きたくない!慰めなんていらない!」
小倉はそう怒鳴ると机を叩いた。
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・俺・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・ほら。振ってよ。お前なんか眼中にないって。嫌いだって。そうしたら諦めれるから」
「・・・」
「早くしてよ!」
「へぇ・・・ゆう君は服を着たままでも私が興奮するとでも思ってるんだ・・・ねぇ」
「っ・・・ご、ごめんなさい」
「早くしろよ!」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「た、たか?」
落ち着け。何が起きてるんだ?体が、体が動かない。声が出せない。俺は・・・




