22' ?? Day3
「ふーん、その高馬って人をめぐって争ってるわけね、カーラ」
私は何も言わずにベッドテーブルの上に置いてあったコルトを向けた。
「やめてよ。弾入ってんだから」
「じゃあカーラと呼ぶな。故郷に名前は置いてきた」
「その割にオーエンはそのまま使ってるのね。加藤オーエン・・・苗字苗字じゃん」
「オーエンはファーストネームでもファミリーネームでもある。無知蒙昧だね」
「む、むち?なんて言った?」
「無知蒙昧」
「・・・やっぱり日本語は嫌いだなぁ」
「・・・祖国に帰らないのか?」
「わかって聞いてるでしょ。私もアンタも帰れないでしょ」
「・・・」
「・・・でもさ、ダディのお墓には行きたいよ」
「・・・」
「はぁ。おしゃぶりの代わりに煙草、おもちゃの代わりにピストル、友達の代わりに札束を渡してくるような人だったけどさ、やっぱり親は親だよ」
「・・・」
「・・・偽名で生きるのって、つらい?」
「別にだな。元々の名前に愛着があったわけじゃあないし」
「・・・ドライだね」
「まぁな」
「じゃあ、カーラ・トミー・フラヴィーになる?」
「結構だ。だったらカーラ・トミー・オーエンでいい」
「じゃあ、高馬オーエンは?」
・・・高馬オーエンか。想像したことなかったけど、日本特有の名字を上書きする感じがその、何と言うか、ゾクゾクする。
「・・・すごい顔してるよ」
「・・・GT」
「なによ」
「少し協力してくれないか?」
「幾らだすの?」
「ホレた弱みにツケといてよ」
「・・・最低ね」




