22 高馬 Day3
「包帯巻くから、座って」
「自分でやりますよ」
「やり方知ってるの?」
「巻くだけですよね?」
「どっち向きに巻くべきかとか、巻き終わったらどうするかとかは知ってる?」
「知りません」
「じゃあ、適当言わないで」
「・・・はい」
少し怒ったように支倉さんはそう言ってきた。たかだか引っ掻き傷だからムキにならないでほしいぜ。
「っ!」
反射的に包帯を持つ手を掴んでしまった。
「・・・」
「・・・びっくりしました?」
「・・・高馬君、正直に答えて」
支倉さんは掴まれた手をほどかずに、俺の目を見ずに言った。
「・・・私に触られるのって、怖い?」
怖い?俺が支倉さんを怖がってる?まさか。
「怖い?そんな訳ないじゃあないですか」
「・・・昨日もオレオを食べさせようとしたときも、手を掴んできたじゃん。あの時は可愛い悪戯だと思ったけど、2回目は流石に信じれないよ。バイト中も私が高馬君を触ろうとするとビクッってしてるし」
「・・・そりゃ、急に触られたらびっくりくらいしますよ」
「・・・でも、根尾君に触られるときはなんてことないじゃん」
「アイツはあんまり触ってきませんよ」
「別に怒ってたりしてないよ。高馬君が嫌がるならボディタッチをやめるだけだよ」
「・・・ほんとに触られるのはいやじゃあないです。急に触られると驚くだけです」
「・・・」
「・・・俺がくだらない嘘をつくと思います?」
「高馬君のことは信じたいけど、その言葉は信じれないかな」
支倉さんは包帯を俺に渡した。鏡とスマホを見ながら不格好に巻き付けた。
「朝ごはん、できてるよ」
「・・・支倉さん」
「ん?」
「おはようございます。いい朝ですね」
「・・・ふふっ、おはよ。食べよっか」
食卓には白米、味噌汁、魚、卵焼きにキャベツが並んでいる。
「何て魚です?」
「サバだよ」
「ああ、女の人がよく読むやつですか」
「そのジョーク、私以外には言わないでね」




