21’ 先輩 Day2
「ただいま」
「お邪魔します」
高馬君は律儀に脱いだ靴を隅に揃える。もっと気を抜いてくれていいのに。欲を言うなら、ただいまって言ってほしかったな。なんちゃって。
「そしたらご飯にしよっか。準備するからくつろいでね」
「手伝いますよ。と言ってもあんまり役に立たないかもしれませんけど」
「ほんと?じゃあお手伝いお願いしちゃおうかな」
「おまかせあれ」
高馬君に色々お願いしてわかったことは、包丁の扱いがかなり上手いことと、お米を洗剤で洗うと本気で勘違いしてるトンチキなところもあることだ。可愛いなぁ。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
器に卵を割り、掻き混ぜる。
「スキヤキ」
「?どうしたの?」
「や、初めて食べるんですよね」
「え?」
「うーん、スキヤキつてこういう加熱する鍋がいりますし、1人分が用意しにくいですから、食べれたことなかったんですよね」
「・・・他に食べたいものとかある?」
「え?」
「私が作ってあげてもいいし、食べに行くとかでもいいよ」
「んー・・・サワラっすね」
「サワラ?」
「はい。サワラです」
「え?なんで?」
「ウチに魚焼き用のグリルがないですから」
もしかしたら高馬君は家庭料理をあんまり食べたことがないのかもしれない。
「じゃ、じゃあさ、私が高校のお弁当作ろうか?」
「作ってくれても、受け取れないですよ」
えっ、なんで?待って、なんで?受け取ってくれないの?
「えっと」
「忘れがちですけど、俺の家ここから1時間とか普通にかかりますからね」
なんだ、よかったぁ。
「私、別に毎日車で持っててもいいよ。それか、高馬君、もうここ住んじゃう?」
・・・何言ってるの私!?
「あはは、どっちにしても支倉さんの負担が大きすぎますよ。冷めないうちに食べましょ」
高馬君はネギと糸こんにゃくと豆腐を自分の器に入れた。私はむっとして1番大きなお肉を器に放り込んだ。




