表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり  作者: はまゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/22

第1巻 第135讃歌 ヴァーユ・インドラ神讃歌(二神一体篇)

1 聖なる草は敷き詰められた。

ヴァーユよ、

私たちの宴へ来たり給え。

数千の馬群とともに、

手綱を握る馬群の主よ、

数百万の駿馬とともに。

神聖なる雫は、

神なる汝が

誰よりも早く飲み干すために、

高く掲げられた。

甘美なる祝汁は、

汝の歓喜のために、

汝に力を授けるために、

立ち上るのだ。

2 石によって清められ、

ソーマは汝のために流れる。

美しい輝きを身に纏い、

溜め池へと、

目も眩む光を纏って流れる。

汝のために、

ソーマは注ぎ出される。

神々と人間の中での、

汝に割り当てられた分として。

馬たちを駆り、

ヴァーユよ、愛をもって、

心を寄せて

私たちの元へ来たり給え。

3 数百の馬群とともに、

数千の馬群とともに、

この厳かな儀式へ来たり給え。

聖なる糧を味わうために、

ヴァーユよ、

贈り物を味わうために。

これこそが、

太陽とともに輝き渡る、

旬の分配物なのだ。

控えし祭司たちに運ばれ、

清らかな祝汁が捧げられる。

ヴァーユよ、

清らかな祝汁が捧げられるのだ。

4 馬群に引かれた戦車が、

汝ら二人インドラとヴァーユ

運んでくる。

私たちを護り、

整えられた糧を味わうために。

ヴァーユよ、

贈り物を味わうために。

心地よき風味の祝汁を飲み給え。

最初の一杯は、

汝ら二人に与えられたもの。

ヴァーユよ、

その華麗なる恵みとともに、

二人して来たり給え。

インドラよ、

恵みとともに二人して来たり給え。

5 私たちの歌が、

汝らを厳かな儀式へと

連れてきますように。

絶大な生命力を持つこれらの雫を、

人々は美しく飾り立てた。

力強き快速の駿馬の如くに。

私達に心を寄せて、

これを存分に飲み給え。

私たちを助けるために、

ここへと来たり給え。

飲み給え、インドラ・ヴァーユよ、

石で絞られたこれらの祝汁を。

力を授ける御方よ、

胸が歓喜に満たされるまで。

6 汝らのために絞られ、

水の中で整えられた

これらのソーマの祝汁は、

控えし祭司たちに運ばれ、

汝らに捧げられる。

輝かしく、ヴァーユよ、

それらは捧げられる。

濾過器を速やかに通り抜け、

汝ら二人のために、

ここに注がれるのだ。

羊毛の上を滑り落ちる、

望みに満ちたソーマの雫、

羊毛の上を滑り落ちるソーマが。

7 ヴァーユよ、

眠りこける者たちを

すべて通り過ごし給え。

そして絞り石の音が

響き渡るあの家へと、

汝ら二人して入り給え。

然り、インドラよ、

二人して内へ入り給え。

歓びに満ちた処女(乙女)は

見出され、

溶かしバターは流れる。

豊かな荷を積んだ馬群とともに、

私たちの厳かな儀式へ来たり給え。

然り、インドラよ、

儀式へ来たり給え。

8 心地よき祝汁の捧げ物へ、

馬を駆って来たり給え。

勝利の祭司たちが取り囲む、

あの聖なるイチジクの木へ。

彼らが今も、私たちのために

勝利者でありますように。

ただちに牛たちは乳を注ぎ、

大麦の粉は整えられる。

汝のために、ヴァーユよ、

牛たちが痩せ衰えることは決してない。

汝のために、

彼らが干上がることは決してないのだ。

9 汝のこれらの牡牛たちは、

強靭な腕を持つヴァーユよ、

汝の流れの渦の中で、

速やかに飛翔する。

その威力を増大させながら。

馬もなく、

荒野を突き進み、

誰の叫び声も

止めることのできぬ快速。

それらは、太陽の光線の如くに、

その途上で制御しがたく、

両手をもってしても、

抑え込むことは困難なのだ。



解説

最速のヴァーユと最強の武力インドラが手を組み、祭壇の熱気と光の渦の中へとなだれ込んでくる、絶大な躍動感に満ちた構成の讃歌です。

* 1–6節:光を纏う酒と、二神一体のパイプライン

1〜3節では、何千何万という馬群を率いて駆けつけるヴァーユの圧倒的なスケールが描かれます。2節で絞られたソーマが「目も眩む光を纏って流れる(clad in its refulgent light)」という視覚表現や、6節で羊毛の濾過器をすり抜けていく雫の繊細な美しさは、言葉の質感として非常に洗練されています。4〜5節では、ヴァーユだけでなくインドラも同じ戦車に同乗し、「最初の一杯(the first draught)」を分かち合う、二神一体の最も強力な同盟関係が示されます。

* 7–9節:眠りを切り裂く音と、制御不能な光線の駿馬

7節の描写が極めて印象的です。風の神は「眠りこけている無知な者たちの家(all the slumberers)」を容赦なく通り過ごし、覚醒して「絞り石の音を響かせている家」にだけ、インドラとともに舞い降ります。意識を研ぎ澄ませている者だけが、神の訪れ(インスピレーション)を享受できるという鋭い対比です。そして9節、ヴァーユの駆る馬たちは「太陽の光線のように、誰の手をもってしても制御不能な快速(hard to be checked, like sunbeams)」として描かれ、圧倒的なスピード感とともに讃歌を締めくくります。

7節の「怠惰に眠りこけている奴らの家は全部無視して、絞り石の音を響かせて覚醒している家(表現者)のところにだけ舞い降りる」という表現、そして9節の、ヴァーユの引き連れる情熱は「太陽の光線のように、何者にも抑え込むことはできない」という描写、4000年近く経っても古さを感じさせないですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ