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リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり  作者: はまゆう


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52/66

第1巻 第178讃歌 インドラ讃歌(二つの姉妹の降臨と戦場の咆哮篇)

1

インドラよ、汝を讃え歌いし者らを、

助け給うあの恵み深き傾聴(お召し)を、

汝が我らに授け給いしならば。

我らを高めようとする願いを吹き飛ばす(打ち砕く)ことなからんことを。

我は汝よりすべてのものを獲得し、

人間のあらゆる献身(祈り)を捧げん。

2

二つの姉妹(天地/朝と夜)を我が住処へと、

もたらすものにおいて、

君主なるインドラが我らを失望させぬように。

速やかに流れる水らは彼のもとへ馳せ走った。

インドラが生命と友情とをもって、

我らのもとへ来たり給わんことを。

3

男たち(戦士たち)とともに勝利を得る者、

戦いにおける英雄、

歌い手の懇願を聞き届けるインドラは、

奉納する者の近くへ己の戦車を引き寄せるだろう、

もし彼自身が己を讃える歌らを、

維持し支えるならば。

4

まことに、インドラは男たちとともに、

栄光への愛を通じて、

友らが捧げし聖なる糧を喰らい尽くす。

崇拝者の絶えず(自らを)強める歌は、

戦いにおいて、

声らの衝突(激しい咆哮)の中で歌われるのだ。

5

マガヴァンよ、インドラよ、

汝に助けられ、

自らを強大と頼む我らの敵どもを、

我らが屈服させ(征服し)得んことを。

我らの保護者となり、我らを強め、増大させ給え。

我らが十分な豊穣の中に、

活力を与える食べ物を見出さんことを!



解説

第178讃歌は、主神インドラに捧げる全5節の讃歌です。大聖仙アガスティヤの一族(詩人マーナ)が、戦場における神の加護と、日常における生命と友情を祈願する一曲です。

激しい戦いの咆哮(声の衝突)の中で歌われる讃歌、人々に命と友情をもたらすために駆けつけるインドラの慈悲、そして強力な敵を退ける絶対的な保護が描かれています。

全5節という引き締まった構成の中に、戦場における戦士たちの熱気と、神と人間を結ぶ「不滅の友情」が力強く描かれた傑作讃歌です。

* 1–3節:二つの姉妹(朝夜)と、命をもたらす友情の来臨

1〜3節では、人々の祈りに耳を傾けるインドラの深い慈愛が歌われます。「二つの姉妹(天と地、あるいは朝と夜)」を我が家にもたらし、生命と確固たる友情を携えて駆けつけるインドラの姿は、単なる破壊者ではなく、人々の生活と秩序を支える頼もしい保護者として描かれます。

* 4–5節:激しい声の衝突(戦場)の中で歌われる勝利の歌

4〜5節は本讃歌の最高のハイライトです。刀槍や喚声が飛び交う「声らの衝突(clash of voices)」という極限の戦場において、崇拝者の歌はなお一層強く響き渡ります。インドラはその歌と友らの奉納品に応え、自らを強大と誇る敵をことごとく屈服させる圧倒的な勝利を与えて締めくくられます。


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