第1巻 第177讃歌 インドラ讃歌(祈りの栗毛馬と招請の祭壇篇)
1
人々の牡牛(王者)であり、
すべての民を養い、
諸種族の王、多くの者から呼ばれし者、
名声を愛し、讃えられしインドラよ、
活気ある二頭の栗毛馬を繋ぎ、
助けをもって、
我のもとへと立ち巡り給え!
2
インドラよ、祈りによって繋がれし、
汝の強大なる種馬たち、
汝の強大なる戦車に繋がれし駿馬ら——
これらに跨がり、
彼らに運ばれてここへ来たり給え。
ソーマの汁が注がれた中、
インドラよ、我らは汝を呼び求める。
3
汝の強大なる戦車に乗り給え。
強大なるソーマは汝のために注がれ、
甘きものが我らの周囲に撒かれた。
人間の種族らの牡牛(王者)よ、
我らの側へと降り来たり給え。
強き栗毛馬らを繋ぎ、
彼らを伴って来たり給え。
4
ここに神へ届く祭祀があり、
ここに犠牲(祭品)がある。
インドラよ、ここに祈りらがあり、
ここにソーマがある。
聖なる草は敷き詰められた。
シャクラ(能能力ある神)よ、ここへ来たり給え。
座して飲み、
二頭の栗毛の駿馬の軛を外し給え。
5
高らかに讃えられしインドラよ、
詩人マーナの献身のもとへ、
我らのもとへ来たり給え。
歌いつつ、汝の助けを通じて、
我らが朝早くに見出さんことを、
我らが十分な豊穣の中に、
活力を与える食べ物を見出さんことを!
解説
第177讃歌は、大聖仙アガスティヤの一族(詩人マーナ)が主神インドラに捧げる全5節の讃歌です。
祈りの言葉によって車に繋がれる二頭の栗毛馬、滔々と注がれるソーマ酒、敷き詰められた聖なる草、そして献上された犠牲(祭品)。準備の整った豪華な祭壇へ、人類の雄牛(王者)たるインドラを「来て座し、馬の軛を外してソーマを飲んでくれ」と熱烈に招く、美しくも格式高い一曲です。
全5節という研ぎ澄まされた構成の中に、最高神インドラを迎え入れるための完璧な儀礼手順と、彼に対する熱烈な歓迎の詩情が美しく表現されています。
* 1–3節:祈りによって繋がれる馬と、注ぎ出された甘きソーマ
1〜3節では、人々の養育者であり諸種族の王であるインドラが、自慢の二頭の栗毛馬( stallions )を戦車に繋いで降臨する様が描かれます。インドラの馬はただ手綱で縛られるのではなく、「人々の祈りそのもの」によって戦車に繋がれるという、極めて詩的な比喩が光ります。
* 4–5節:聖なる草への招きと、馬の軛を外す安らぎ
4〜5節は本讃歌の最高のクライマックスです。祭壇には神に届く犠牲とソーマ酒が用意され、聖なる草が青々と敷き詰められています。詩人マーナは「どうかここに腰を下ろし、戦車の馬の軛を外して寛いでほしい」と懇願し、神との親密で豊かな宴を共にして締めくくります。




