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リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり  作者: はまゆう


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51/66

第1巻 第177讃歌 インドラ讃歌(祈りの栗毛馬と招請の祭壇篇)

1

人々の牡牛(王者)であり、

すべての民を養い、

諸種族の王、多くの者から呼ばれし者、

名声を愛し、讃えられしインドラよ、

活気ある二頭の栗毛馬を繋ぎ、

助けをもって、

我のもとへと立ち巡り給え!

2

インドラよ、祈りによって繋がれし、

汝の強大なる種馬たち、

汝の強大なる戦車に繋がれし駿馬ら——

これらに跨がり、

彼らに運ばれてここへ来たり給え。

ソーマの汁が注がれた中、

インドラよ、我らは汝を呼び求める。

3

汝の強大なる戦車に乗り給え。

強大なるソーマは汝のために注がれ、

甘きものが我らの周囲に撒かれた。

人間の種族らの牡牛(王者)よ、

我らの側へと降り来たり給え。

強き栗毛馬らを繋ぎ、

彼らを伴って来たり給え。

4

ここに神へ届く祭祀があり、

ここに犠牲(祭品)がある。

インドラよ、ここに祈りらがあり、

ここにソーマがある。

聖なる草は敷き詰められた。

シャクラ(能能力ある神)よ、ここへ来たり給え。

座して飲み、

二頭の栗毛の駿馬の軛を外し給え。

5

高らかに讃えられしインドラよ、

詩人マーナの献身のもとへ、

我らのもとへ来たり給え。

歌いつつ、汝の助けを通じて、

我らが朝早くに見出さんことを、

我らが十分な豊穣の中に、

活力を与える食べ物を見出さんことを!



解説

第177讃歌は、大聖仙アガスティヤの一族(詩人マーナ)が主神インドラに捧げる全5節の讃歌です。

祈りの言葉によって車に繋がれる二頭の栗毛馬、滔々と注がれるソーマ酒、敷き詰められた聖なる草、そして献上された犠牲(祭品)。準備の整った豪華な祭壇へ、人類の雄牛(王者)たるインドラを「来て座し、馬の軛を外してソーマを飲んでくれ」と熱烈に招く、美しくも格式高い一曲です。

全5節という研ぎ澄まされた構成の中に、最高神インドラを迎え入れるための完璧な儀礼手順と、彼に対する熱烈な歓迎の詩情が美しく表現されています。

* 1–3節:祈りによって繋がれる馬と、注ぎ出された甘きソーマ

1〜3節では、人々の養育者であり諸種族の王であるインドラが、自慢の二頭の栗毛馬( stallions )を戦車に繋いで降臨する様が描かれます。インドラの馬はただ手綱で縛られるのではなく、「人々の祈りそのもの」によって戦車に繋がれるという、極めて詩的な比喩が光ります。

* 4–5節:聖なる草への招きと、馬の軛を外す安らぎ

4〜5節は本讃歌の最高のクライマックスです。祭壇には神に届く犠牲とソーマ酒が用意され、聖なるバルヒスが青々と敷き詰められています。詩人マーナは「どうかここに腰を下ろし、戦車の馬のくびきを外して寛いでほしい」と懇願し、神との親密で豊かな宴を共にして締めくくります。


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