第1巻 第156讃歌 ヴィシュヌ讃歌(法(リタ)の太古の芽生え篇)
1
遠くまで輝き、
広く名高く、
定められた道を歩み、
バター(清浄な油)を与えられし汝よ、
ミトラ(友愛の神)のごとく、
我らを助け給え。
ヴィシュヌよ、
されば賢者もまた、
汝への賛歌を膨らませ、
祭品を持つ者もまた、
汝に荘厳な儀礼を捧げるのだから。
2
太古の者にして最後の者、
自らの配偶者(妻)とともに定めをなす者、
そのヴィシュヌに贈り物を届ける者、
高貴なる彼の、
高貴なる誕生を語り伝える者は、
まさに自らの同輩をも越えて、
栄光において優ることになるだろう。
3
歌い手たちよ、
汝らは自らの知る限りにおいて、
彼を満足させた。
誕生の時からすでに、
宇宙の秩序の太古の芽生えである彼を。
汝らは彼の名前すら知って、
それを語り明かした。
強大なるヴィシュヌよ、
我らが汝の恩寵を享受できんことを。
4
最高主権者たるヴァルナも、
アシュヴィン双神の二人も、
マルート神群を率いる彼の意志に、
かしこまって仕える。
ヴィシュヌは至高の権能と、
昼(光)を見出す力とを持ち、
自らの友とともに、
牛たちの囲い(岩窟の牛舎)の閂を外すのだ。
5
友誼(友情)のためにやって来た、
まさにその天上の者、
神なるヴィシュヌは、
より神聖なるインドラのもとへ寄り添う。
三重の世界(地・空・天)に座す創造者であり、
アーリヤの民を助け、
祀る者に聖なる法の分配を与える者として。
解説
秩序の太古の芽生えと、闇を切り拓くヴィシュヌ
全5節という研ぎ澄まされた構成の中に、ヴィシュヌという神の「宇宙論的な本質」と「インドラとの力強い同盟関係」が緻密に描かれた傑作讃歌です。
ヴァルナやアシュヴィン双神、マルート神群(暴風神)を従え、インドラの相棒として暗闇の牛舎(光)を開放するヴィシュヌの絶対的な権能が鮮明に描かれた一曲です。
* 1–3節:太古の芽生え(原初)であり、最高の名を持つ神
1〜3節では、ヴィシュヌが単なる「歩む神」にとどまらず、宇宙の秩序の根源であり、太古から存在する最古の神であることが明かされます。神の名を知り、真摯に奉献する詩人は、同輩たちを越えて最大の栄光を手に入れると謳われます。
* 4–5節:諸神を統べる意志と、暗闇を開放する友情
4〜5節では、主権神ヴァルナやアシュヴィン双神すらもヴィシュヌの意志に従うという圧倒的な神性が描かれます。インドラと固い友情で結ばれたヴィシュヌは、ともに岩窟に囚われた牛(太陽や光の象徴)を開放し、世界に昼をもたらしてアーリヤの人々に法の恵みを分かち合います。
3節の「誕生の瞬間から宇宙の秩序の原初であり、その本当の名を知る者が偉大な栄光を掴む」という表現は、覚者の意味を改めて考えさせられます。




