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リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり  作者: はまゆう


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第1巻 第153讃歌 ミトラ・ヴァルナ讃歌(豊穣の乳牛と聖なる甘露篇)

1

我らは敬意と祭品により、

汝らを祀る。

意を一つにする、

強大なるミトラとヴァルナよ。

背に清らかな油注がれし、

おふたりよ。

祭司らは油と讃歌をもって、

汝らを支える。

2

汝らへの称賛は、

力強き威光、疾走の如し。

神なるおふたりに、

整いし讃歌が捧げられる。

祭司が集いの中で、

強き汝らを飾り立てるように。

君主が恵みを求めて、

汝らを祀らんと欲するように。

3

ミトラとヴァルナよ、

乳牛なるアディティは、

祭儀のために、

祭品をもたらす民のために、

甘露を溢れさせる。

集いの中で祀る者が、

人間の祭司のごとく、

捧げ物をもって汝らを動かす時に。

4

汝らを歓ばせる一族に、

牛らと天の水とが、

甘き飲みものを注ぎ込破んことを。

古の家主アグニが、

我らにこれを与えんことを。

楽しめよ、

牛が与える乳を飲み給え。



解説

聖なる甘露を溢れさせる「神母アディティ」と古の家主

全4節というコンパクトな構成の中に、ミトラとヴァルナへの誠実な奉献と、神々から返される豊穣の恵みが美しく描かれた讃歌です。

背に清らかなバター(脂肪)を注がれた神々と、彼らに捧げられる豊穣の乳牛アディティ、そして大地と天をもたらす「恵みの水」が描かれています。古の家主(火神アグニ)とともに、神々と人間が祭祀の場でひとつに響き合う、静かながらも力強い一曲です。

* 1–2節:清らかな油と、美しく整えられた讃歌

1〜2節では、祭司たちが清らかなバター(脂肪)と洗練された詩歌をもって二大神を讃える情景が描かれます。神々への称賛はそれ自体が巨大なエネルギー(力・推進力)となり、集う人々や君主たちの心をひとつにまとめていきます。

* 3–4節:無縛の母アディティと、古の家主の恵み

3〜4節では、無縛の神母アディティが「豊かな乳牛」として登場し、誠実な奉納者たちのために甘露(聖なる乳)を溢れさせます。「古の家主」とは祭祀の火であり、神々と人間を繋ぐ火神アグニの象徴です。天の水と大地の牛もたらす甘き飲みものを、神々とともに分かち合う祝福で締めくくられます。

3–4節に見られる「捧げられた真摯な言葉と祈りが、めぐり巡って大地と人々に豊かな実りと潤いをもたらす」という表現が美しいです。


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