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リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり  作者: はまゆう


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12/22

第1巻 第138讃歌 プーシャン神讃歌(道ひらきの友篇)

1 強いプーシャンの威厳は、

とこしえに称えられる。

その高貴なる威力の栄光は、

衰えることがない。

彼への讃歌は、

決して衰えることがないのだ。

幸福を求め、

私は助けの近くにおられる、

至福の源を称える。

血気盛んなる御方は、

すべての者の心を

己へと惹きつけ給うた。

血気盛んなる神は、

人々の心を惹きつけ給うたのだ。

2 それゆえ、プーシャンよ、

道を疾走する者の如くに、

私は称賛をもって汝を促す。

敵どもを逃亡させるために、

ラクダの如くに、

私たちの敵を遥か彼方へ

追い散らすために。

人間である私が、

至福を授ける神である汝を、

わが友と呼ぶが如くに。

私たちが高く歌い上げる讃歌を、

輝かしいものとし給え、

戦いの中で、

それを輝かしいものとし給え。

3 プーシャンよ、

その友情の中で歌を口ずさむ者は、

汝の恩寵によって、

知性においてさえ優位に立ち、

知性においてさえ高められる。

それゆえ、最も新しき

(言葉の)疾走を経て、

私たちは富を祈り、

汝の元へとやってきた。

怒りに動かされることなく、

広大なる支配者よ、

私たちの元へ来たり給え。

あらゆる戦いにおいて、

私たちの元へ来たり給え。

4 怒りに動かされることなく、

自由なる賜物を与える御方よ、

この私たちの贈り物を、

名声を望む者たちの贈り物を

受け取るために近づき給え。

山羊を車馬とする御方、

山羊に乗りし御方よ!

奇跡をなす御方よ、

私たちが霊妙なる称賛をもって、

汝をこちらへ振り向かせますように。

私は汝を軽んじたりはしない、

輝かしきプーシャンよ。

汝の友情は、

決して蔑ろにされてはならぬのだ。



解説

旅や日常の守護者であり、誠実な友として人々の心を引き寄せる神プーシャンを描いた、親しみと深い敬意に満ちた構成の讃歌です。

* 1–2節:心を惹きつける神と、友としての呼びかけ

1節では、プーシャンがその溢れる生命力によって「すべての者の心を惹きつける神(drawn the hearts of all)」として讃えられます。武力でひれ伏させるのとは異なり、その存在感と温かさで人々を引き寄せるのが彼の魅力です。2節では、人間である詩人が神に向かって誇り高く「わが友(my Friend)」と呼びかけ、敵を散らす強さと、自分たちの紡ぐ歌に輝きを与えてくれるよう願い出ます。

* 3–4節:知性を高める友情と、言葉の新しい疾走

3節の描写には、言葉を扱う者への素晴らしい教訓が含まれています。プーシャンの友情のもとに集う者は、ただ富を得るだけでなく「知性においてさえ高められる(in wisdom even they are advanced)」と語られます。詩人は己の作品を「最も新しき疾走(most recent course)」と呼び、活き活きとした言葉で神を賛美します。4節で、山羊を駆る個性的な神の姿に親愛を込め、「汝の友情を蔑ろにすることなど決してない」と誓う結びは、神と人間との純粋な信頼関係を際立たせています。


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