第1巻 第137讃歌 ミトラ・ヴァルナ讃歌(朝明の聖水篇)
1 搾り石をもって、
私たちは搾り出した。
来たり給え。
歓喜をもたらすこれらの雫は、
ミルクと混ざり合い、
汝らを歓ばせるソーマの雫。
天に届く王たちよ、
私たちの元へ来たり給え。
こちらへ近づき給え。
これらのミルク混ざりの雫は、
汝らのものなのだ、
ミトラとヴァルナよ。
ミルクと混ざり合う、
輝くソーマの祝汁は。
2 ここに雫が、
凝乳と混ざり合う
ソーマの雫がある。
近寄り給え。
搾り出され、凝乳と混ざり合う
祝汁の元へと。
今や、太陽神の光線とともに、
汝らの夜明けを目覚めさせるため、
祝汁はミトラと
ヴァルナが飲むのを待っている。
飲むための、
祭祀のための美しき祝汁が。
3 まるで彩り豊かな牛の乳を
搾るかのように、
人々は石をもって
汝らのために茎を搾る。
石をもって、
ソーマの植物を搾るのだ。
私たちの元へ近寄り給え。
ソーマの祝汁を飲むために、
こちらへ向きを変え給え。
男たちはこの祝汁を搾り出した、
ミトラとヴァルナよ、
汝らが飲むために、
このソーマを搾り出したのだ。
解説
ミトラとヴァルナの二大王に対し、丹精込めて調合された最高品質の聖酒を捧げる、極めて儀礼的で洗練された構成の讃歌です。
* 1–2節:朝の光と、極上の聖酒の調合
1〜2節では、ソーマの祝汁にミルクや凝乳を混ぜ合わせる繊細な手仕事が描かれます。ただ酒を出すのではなく、神々の好みに合わせて極上の風味に仕立て上げる工夫が光ります。2節の「太陽神の光線とともに、夜明けを目覚めさせるため(wakening of your Dawn)」という詩的な趣向は、朝の清々しい空気と、これから始まる聖なる一日の幕開けを鮮やかに感じさせます。
* 3節:牛の乳搾りに見立てた言葉の技法
3節では、ソーマの茎を石で叩いて汁を抽出する作業を「彩り豊かな牛から乳を搾るかのよう(As 'twere a radiant-coloured cow)」と例えています。自然の恵みである植物と牛の存在を美しく重ね合わせ、心を込めて生み出した成果物を神々に差し出すという、古代の表現者たちの誠実な姿勢が凝縮されています。
3節の「石でソーマの茎を叩き潰して汁を搾り出す作業」を、まるで「美しく彩られた牛の乳を丁寧に搾り取るようなものだ」と例える表現の美しさ。単なる作業描写にとどめず、言葉の選び方ひとつで日常の光景を芸術的な一瞬へと高めてしまう技巧が4000年近く前にすでにあることに驚きます。




