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引き籠もりニート自室ダンジョンで最強になる~俺だけ最強の装備やアイテムで世界最強に!?~  作者: 仮実谷 望


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第三十一話 招かれざる「剛」の訪問者

【佐藤家:マンションのリビング】


「……どうぞ。散らかってますけど」


蓮は観念して、重厚な玄関ドアを開けた。 そこに立っていたのは、道着の上にパーカーを羽織り、竹刀袋を背負った一ノ瀬 凛。彼女の鋭い視線が、玄関を通り抜けてリビングの奥までをスキャンするように動く。


(……まずいな。アキラ、スパコンは隠したか?) (「玄武」の周囲に光学迷彩カメレオン・パッチを展開済みよ。今はただの『壁』に見えてるはず)


アキラと念話インカムでやり取りしながら、蓮は彼女をリビングへ通した。 幸い、母親はパートに出かけており、家の中には静寂が漂っている。


「お茶、これでいいですか。麦茶しかないんですけど」 「あ……ありがとうございます。お構いなく」


ソファに座る凛。だが、その姿勢は微塵も崩れていない。彼女の鼻が、微かにピクリと動いた。 「……やはり、間違いない。ここには『雷鳴』の残香がある。……佐藤さん、あなた、今日渋谷にいらっしゃいましたね?」


【嘘と「武」の解釈】


「え? ああ、行きましたよ。アキラ……そこにいる引きこもりの彼女の付き添いで。電気翼竜に追いかけられて、死ぬかと思いました」


蓮はあえて「情けない一般人」を演じ、隣の部屋のドアから顔を出したアキラを指差した。アキラは「……ちーっす」とやる気なさそうに手を上げる。


「あなたが……あの翼竜を? でも、現場の目撃証言では、避雷針のような装備で雷を吸い取った男がいたと……」


「あ、それ僕も見ました! すごかったですよね、あの変な掃除機持った人! 僕、怖くてゴミ箱の裏に隠れてたんですけど、あの人が助けてくれたんです」


蓮の完璧(?)な嘘。だが、凛の目は誤魔化せなかった。彼女はスッと立ち上がり、無防備に麦茶を飲んでいる蓮の目の前に立った。


「……佐藤さん。あなたは自分のことを『弱い』と仰る。でも、今のあなたの座り方……全く隙がない」


(えっ、ただ猫背でダラけてるだけなんだけど!?)


「無駄な力が一切抜けている。呼吸は深く、重心は常に一定。……これは、私の父すら到達していない『無我』の極地です」


「いや、ただの猫背ですって」


「いいえ。……あの試験会場でのゴブリンロードの件、そして今日の渋谷。確信しました。あなたこそが、あの『鬼面の男』であり、私の探していた――」


【アキラの介入】


凛が「師匠」と口走ろうとしたその時、アキラがノートPCを抱えてリビングに割り込んできた。


「ちょっと、一ノ瀬さんだっけ。あんまり蓮を困らせないでくれる? この人、本当にただの運がいいだけのラッキーマンなのよ。……ほら、これを見て」


アキラがスパコン『玄武』を遠隔操作し、偽造した「今日の渋谷の防犯カメラ映像」をタブレットに表示させた。そこには、掃除機を持って戦う「見知らぬ大男」と、その後ろでガタガタ震えて逃げ回る蓮の姿が合成されていた。


「これ……」


「この『掃除機男』は、政府の極秘エージェントよ。蓮はただの巻き込まれた一般人。……あなたの勘違いじゃないかしら?」


アキラの完璧なハッキング映像。さすがの凛も、映像という「証拠」を突きつけられて絶句する。だが、彼女は諦めるどころか、別の方向に火がついた。


「……そうですか。映像では、そうなっているのですね」


凛は蓮を見つめ、不敵に、そしてどこか嬉しそうに微笑んだ。 「実力を隠すために、国家レベルの映像改ざんまで行える協力者がいる……。やはり佐藤さん、あなたは私の想像以上の『高み』にいらっしゃるのですね」


「……話、聞いてた?」


「佐藤蓮さん。あなたが正体を隠したい理由は聞きません。ですが、私は諦めません。……いつか必ず、その『掃除機』……いえ、あなたの『拳』の真実、暴いてみせます!」


凛はそう言い残すと、深々と一礼してマンションを去っていった。


【嵐のあと】


「……アキラ。今の、逆効果だったんじゃないか?」 「……格闘家(筋肉バカ)の思考回路をハックするのは、スパコンでも無理だったみたいね」


蓮は深く溜息をつき、ソファに沈み込んだ。 正体はバレなかった(と思いたい)。だが、代わりに「超大物」に目をつけられてしまった。


「……まあいいわ。それより蓮、『玄武』が面白いデータを拾ったわよ。……三沢さんのスマホ、今の凛との会話を『遠隔盗聴』しようとしてた形跡があるわ。……もちろん、私がダミーの音声アニソンに差し替えといたけど」


「……このマンション、もう安全じゃないな……」


引きこもりたい蓮の周りには、いつの間にか「最強の女子高生」と「執念の公務員」という、ダンジョンボスより厄介な敵が包囲網を敷きつつあった。

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