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引き籠もりニート自室ダンジョンで最強になる~俺だけ最強の装備やアイテムで世界最強に!?~  作者: 仮実谷 望


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第三十話 スパコン起動と、渋谷の避雷針

【佐藤 蓮の自宅:分譲マンションの一室】


「……デカすぎだろ、これ」


蓮の自室の半分を占拠しているのは、無機質な黒い筐体の塊。ダマゾンでポチった最高級並列分散型スーパーコンピューター、その名も『玄武げんぶ』だ。


このマンションはそれなりに防音や設備が整っているが、六畳の個室にこれを運び込むのは至難の業だった。設置に来た業者(黒服のガタイのいい男たち)は、リビングを通り抜けてこの「要塞」のような部屋に機材を運び込みながら終始無言だったが、その目は「この若者は一体何者だ」と不気味なものをを見るようだった。


「さあ、蓮。接続完了よ。起動ブートしなさい」 アキラが興奮を抑えきれない様子で、特注のキーボードに手を置く。


蓮がメインスイッチを押し込んだ、その瞬間。


ブォォォォォォォン!!


重低音とともに凄まじいファンの回転音が響き、マンションの頑丈な壁すら微かに振動し始めた。次の瞬間、部屋のダウンライトが激しく明滅する。


「お、おい! 停電するぞ!」


「計算外だわ……。このマンション、一括受電で容量は大きいはずだけど、『玄武』の起動時の電力負荷スパイクが設計上限を超えてる。このままだと棟全体のブレーカーを落とすか、配線が焼き切れるわね!」


「笑い事じゃねぇよ! 早く止めろ!」


アキラが即座に強制シャットダウンを実行し、部屋に静寂が戻る。二人は薄暗い部屋で顔を見合わせた。


「……蓮、素材が必要だわ。この『玄武』を私のハッキングで『自己完結型・超省電力仕様』に書き換えるための素材。……渋谷ダンジョンの地下六階にいる『電気翼竜ボルト・ワイバーン』のドロップアイテムが必要よ」


「渋谷? あのリア充とエリート探索者の聖地かよ……。行きたくねぇ……」


【渋谷ダンジョン:地下六階】


数時間後、蓮はアキラを連れて、人でごった返す渋谷駅直結のダンジョンへと足を踏み入れた。 周囲は最新の魔導アーマーやブランドものの装備に身を包んだ「プロ」ばかり。ジャージ姿の蓮と、ローブで顔を隠したアキラは、洗練された渋谷の街並みと同様に浮きまくっている。


「……蓮、いたわよ。あそこの放電してるやつらね」


吹き抜けになった巨大な地下空洞を、青白い稲妻を纏った翼竜たちが高速で飛び交っている。 通常の探索者なら、強力な絶縁装備と対空兵装を揃えて挑む難敵だ。


「あいつらから『電力玉パワー・オーブ』を剥ぎ取ればいいんだな。……よし、アキラ。例の『掃除機』の出番だ」


蓮は背負っていた魔改造掃除機サイクロン・ジェットパックを、今度は**『避雷針モード』**に切り替えた。


《Reality Patch:【絶縁吸引・ライトニング・ロッド】》


「行くぞ!」


蓮が掃除機のノズルを天に突き出し、スイッチを入れる。 すると、空を舞う電気翼竜たちが放つ強力な放電が、まるで巨大な避雷針に吸い寄せられるように、すべて掃除機のノズルへと収束していった。


「ギャアァァッ!?」


電力を奪われ、ただのトカゲ同然となった翼竜たちが、次々と墜落してくる。 蓮はその一匹に駆け寄り、手に持っていた『百均のゴム手袋』をはめて、その胸元をまさぐった。


「あった! これか!」


手に入れたのは、パチパチと青い火花を散らす、掌サイズの美しい水晶体――**『電力玉』**だ。


「……蓮、十分よ。これで『玄武』の論理回路を、電気ではなく『魔力残留の循環』で動くようにハックできるわ」


【帰還:真のスパコン完成】


マンションに戻り、アキラが電力玉をスパコン『玄武』の心臓部へと埋め込む。 彼女の指が、光の速さでキーボードを叩き、電力の定義そのものを書き換えていく。


「――パッチ適用。電力消費概念の抹消。……永久機関的論理ループ、固定ロック!」


再び起動ボタンを押すと、今度は音もなく、部屋の電球すら瞬くことなく、『玄武』のモニターに膨大なログが流れ始めた。


「……完璧。これで私の処理能力はこれまでの万倍を超えたわ。政府のデータベースだろうが、ダマゾンの裏側だろうが、三秒で覗ける」


「お、おう……。十億の価値はあったみたいだな」


蓮は安堵してソファに倒れ込んだ。だが、アキラが『玄武』を使ってマンション周辺の魔力スキャンを開始した直後、彼女の表情が強張った。


「……蓮、まずいわ。……誰かが、このマンションを外からピンポイントでスキャンしてる。……この波形、さっき渋谷で落とした電力玉の『残香』を正確に追ってきてるわ」


その時、玄関のインターホンが鳴った。 重厚なドアの向こう側から、隠しきれない「強者」の気配が伝わってくる。


「……佐藤蓮さん。そこにいらっしゃいますよね?」


聞こえてきたのは、鈴を転がすような、だが芯の通った少女の声――空手家・一ノ瀬 凛だった。

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