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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第6章 高校サッカーへの挑戦

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209/210

インターハイ東京予選準決勝 立見VS西園6

『両チームの選手達が出て来ました。前半は西園が攻めていましたが、後半も攻めてくるか? それとも立見が反撃か!?』



『立見はシュートを多く許してますからね。後半で流れを変えたい所でしょう』



 後半のフィールドに立見、西園の両選手が出揃い、試合再開の準備は整う。



「ヤミー、海斗に張り付いといて。取ったらデュエルに持ち込まず、すぐにパスね」



「分かった……」



 後半開始前、輝羅は影二に海斗のマークを伝える。




「1点だ! それだけ取って後は守り切る! 奴は無敵じゃないから攻めまくれ!」



 円陣で岩坂はメンバーの皆に攻撃をするようにと、声を荒げていた。



「(岩坂先輩、何か何時もより熱くなってないか……?)」



 守護神の声を聞くと、海斗は冷静さを失ってないかと心配になる。



「大丈夫ですか? もう少し冷静になった方が──」



「俺は充分落ち着いている! それより、あのチビGKから得点する事を考えとけ!」



 自分は冷静だと伝えた後、岩坂はゴールの方へ向かう。



「(大丈夫か本当に……!?)」



 落ち着いているようには見えない。



 不安が残る岩坂の様子に、海斗は気になりながらもポジションについた。




 ピィ────



『後半開始のキックオフ! この40分で東京代表チームは決まるのか!?』



 後半も西園が攻めに出ようと、立見陣内へ選手達が次々と踏み込む。



 小池、松石のダブルボランチが繋ぎ、海斗にパスを出そうと目が向く。



「(よし、いない!)」



 今ならだのマークも付いていないと、小池はフリーの海斗にボールを送る。




「! 駄目だ!」



 自分へパスしようとする味方の姿が見えて、海斗が叫ぶも既に遅かった。



 左から来る影二を海斗の視界は捉え、小池の方は存在に気付かないままボールを蹴り、影二がコースに飛び込んでパスをカット。



『社へのパスを通さない闇坂!』



『良い読みとカットですよ。小池君の方は若干、不用意に出してしまいましたかね』




「おい! マーク遅れてるぞ右!!」



 立見の左サイド、玉石がフリーになっている姿に気付くと、岩坂は怒号に近い声で叫ぶ。



 青松から左サイドへパスを送り、ボールが通ると玉石はドリブルで左のライン際を駆け上がる。



『立見、左サイドから深く切り込んでゴール前! クロスを上げた!』



 低いクロスがシュートの勢いで向かうと、速いボールを前に西園DFはカットが出来ない。



 奥の星夜が左足で合わせてシュートを狙い、角度が厳しいながらもゴール右上隅に向かっていた。




「くおおっ!」



 ビシィッ



 枠を捉えたボールがネットを揺らす事はなく、飛びついた岩坂の左掌が弾き飛ばして、CKへと逃れる。



 決まると思っていたのか、立見スタンドからは溜息が漏れ、西園スタンドは岩坂の好セーブに盛り上がっていた。



『止めたぁ!! 西園GK岩坂、玉石からのクロスを合わせた古神のシュートを左手一本で弾き飛ばす! これはスーパーセーブだ!』



『かなりの速さでクロスボールを上げましたが、これをダイレクトボレーで合わせるとは……岩坂君のセーブだけでなく古神君の技術の高さにも驚かされますね』




「押してる押してるー! 前半の勢いが無いよ西園ー!」



 立見の時間だとばかりに、輝羅は自分達の勢いを加速させようと声を出す。



 後半に入って立見の選手を捉えきれなくなり、守備に乱れが出てくる。



 流れが前半と比べて変わったのは確かだろう。



 更に言うなら、西園の攻撃で相手に迷いが生じてきたのもある。




「(壁を作らないGK相手に、根気良くミドルやロングやって意味あるのか……?)」



「(ボールを相手にあげてるだけの気がしてきた……)」



 輝羅が遠めからのシュートを取り続けた事に加え、壁無しのFKを止められたのが、彼らには強烈なインパクトだった。



 そのせいで自分達の攻めが通用するのかと、攻撃に迷いが出て精彩を欠くようになってしまい、絶対的な壁を前に心が折れかける。




「(何人か、堕ちたね)」



 折られていく心が輝羅には見えて、西園の崩壊が始まった事を確信。



 自分の前に理勝達が止めてシュートをさせず、前半と比べてミドルやロングは飛んで来なくなってきた。




『中盤で立見がボールを奪う! 中央から青松が上がって来た!』



 海斗を徹底マークする影二によって、司令塔にはパスを通さない。



 西園は何人か交代で下がり、新たな選手を入れてボールを回すが、下がった星夜の守備で奪う事に成功。



 混戦を抜け出した青松がドリブルで迫る。



「でっ!?」



 小池が寄せて競り合いとなり、青松が転倒すると主審の笛が直後に鳴らされた。



『これは西園のファール! 今度は立見がFKのチャンスを取った!』



『位置としては似たような場所で、距離はありますね』



 立見のFKは30m程と、西園の時よりも距離は長い。




「(FK……!)」



 普段なら壁を作って指示を出している所だが、岩坂は先程の事を思い出す。




「壁をどかす度胸も無さそうだからさ♪」




 あの言葉が怒りを蘇らせる。



 小さい体で輝羅が壁のいないFKを止めてみせたなら、自分だってやれるはすだ。



「(誰が壁をどかす度胸が無いだと……!?)」



 言われた言葉に抗うかの如く、岩坂は自分の前に立つ西園選手達へ向かって叫ぶ。



「どけ! 壁なんか必要無い!」



「え!?」



「お、おい! お前まで何を言い出すんだよ!?」



 まさかの輝羅を真似して、岩坂も壁をどかせと指示を出した事に、皆が驚く中で大野が駆け寄る。



「あの距離なら入り難いだろ! 壁でボールが見え難くなる方がやりづらい!」



「いや、けど……!」



「良いから壁は立つな! 他のマークをしとけ!」



 反対する大野を押し切り、岩坂の指示で西園は誰も壁に立たない。




『これは……西園も壁を作らない!? 立見が行った壁無しのFKで止める気か!?』



 異様な光景が再現されて、ざわめきがスタンドから起こり初めていた。



 それを加速させるかのように、立見ゴールに立っていた輝羅が西園ゴールに向かって走る。



『輝羅君も上がって来ましたよ!? まさか、此処で直接狙うつもりですか!?』



『なんと!? GKの神明寺も上がって、どうなっているんだ今日の準決勝は!?』




「大丈夫なのか輝羅。相手は関東随一のキーパーだぞ」



「流石に今回は簡単に行かないだろ。下がった方が良い」



 高良川と柿田は、輝羅が公式戦でFKを決めたを知っているが、今日の岩坂が相手では取られるかもしれない。



「行けますよ。それか2人、あれ蹴ります?」



 輝羅には2人の心理状態が分かる。



 一度も経験していない壁が不在のFKを前に、どう蹴れば良いのか迷っていた。



 そんな状態で30mの遠い距離から狙っても、岩坂に取られて終わるだろうと。



「ま、とにかく任せてくださいって♪」



「そこまで言うなら、任せるよ」



 輝羅の明るい笑顔に自信があるように見えて、高良川は後輩へ託してボールから離れていく。



『蹴るのはGKの神明寺輝羅! 片方は壁無しと、守護神によるノーガードの殴り合いか!?』




「(目立ちたがりのガキが……! プレミアリーグで直接決めて味を占めたんだろ? こんな距離でお前に決めさせる訳ねぇ!!)」



 岩坂はボールの前に立つ輝羅を睨みつけ、絶対に止めてやろうと怒りのオーラを漂わせる。



 その輝羅は西園ゴールを見据え、彼の顔に笑みは消えていた。



 味方や敵の声も、スタンドからの声援も、完全な集中に入って目を閉じる輝羅の耳には届かず、極限まで高めていく。




「っせぇ!!」



 目を開いた瞬間、輝羅は助走から右足のインステップキックでゴールへ飛ばす。



 ボールの芯を捉えて、矢のような勢いで西園ゴール左上隅に向かう。



「うおお!?」



 岩坂が反応すると勢い良くボールに向かって飛びつき、右腕を懸命に伸ばした。



 その時、手元まで来た球が揺れ動いたかと思えば、ストンと右下に落ちる。



 全く回転していない球が無回転で飛び、完全に読む事が不可能な動きを見せた後、中央のゴールネットにドスンとボールが突き刺さった。




『き……決まったぁぁぁ!? GK神明寺輝羅、30mはあろうFKを直接ゴールだ!!』



『無回転でしたよね今の!? 魔球のような動きをしてましたよ!?』



 高校サッカーの予選で、驚異のゴールが決まるとスタンドからは敵味方問わずに大歓声が発生して、鳴り止む事が無い。



「上手く行ったー!!」



 GKの岩坂が呆然となって倒れ込む一方で、輝羅は得点をチームメイトと共に喜び合い、立見のスタンドに駆け寄っていく。



 守護神同士の直接対決で、ついに均衡が崩れた。

星夜「向こうのGK、かなり荒れてるように見えたけど……何かあったよね」


影二「輝羅……隣に居なかった……?」


輝羅「知らないな〜。とりあえず、守護神が取り乱したらチームは終わりっていうのが分かりやすく表れたねー」


星夜「(多分何か言ったよ)」


影二「(……他に考えられないよね……)」


輝羅「(バレてるよ君達?)ほらほら、ヤミー」


影二「あ……次回、海斗が意地の反撃に出る……」


輝羅「鍛えちゃったから精神的にもタフだね〜」

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