インターハイ東京予選準決勝 立見VS西園2
『先攻は西園が取ってキックオフの時を迎えます。今日はどう攻めるのか!?』
『西園は1年の社君が居ますからね。彼が上手くゲームを作れるか、それが勝敗に関わって来ますね』
ダークブルーのユニフォームを纏う立見。GKは紫。
黄色いユニフォームを纏う西園。GKは緑。
立見高校(2軍) フォーメーション 3ー4ー3
高良川 柿田 古神
10 9 18
玉石 風野
7 8
闇坂 青松
14 15
牙崎 木村 深山
6 5 3
神明寺
1
西園高校 フォーメーション 3ー5ー2
和泉 上原
10 9
山口 社 田中
7 19 15
小池 松石
5 8
島 大野 川木
3 6 4
岩坂
1
ピィ────
キックオフの笛が主審によって鳴らされ、西園の中盤でのボール回しから準決勝は始まる。
「右使って来るよー!」
輝羅から右サイドに注意との声が飛び、直後に海斗がSHの山口へパスを出して、サイドからの攻撃に向かう。
そこへ風野が迫る前に中央へ折り返し、山口からのパスが返ってくると、海斗は前線の和泉に目を向けた。
「(パスか!)」
ゴール前に送りそうなのを視線で感じた青松は、和泉へのパスコースの前に立つ。
「!?」
遮る相手の姿が見えていたか、目線を前に向けたまま海斗は左足で右サイドにパスを送る。
ノールックで出したボールを田中が取ると、その位置からゴール前に放り込む。
『西園、右からアーリークロス! 牙崎、弾き返す!』
高いボールが飛んでくるのに対して、理勝が頭で弾き飛ばすも、零れ球に海斗が迫っている。
「っと!?」
届くかと思った時に横から人が現れ、忍び寄っていた影二が蹴り出してクリア。
「ヤミー、ナイスクリアー!」
「(もう少しで追撃される所だった……!)」
輝羅からの声に影二が応えると、後少し遅かったら海斗に拾われていたのを思い出す。
石立の時より、ゴール前で詰めてくるのが早くなってると感じた。
「(名門校のレギュラーになるぐらいだから、そりゃ強くなってなきゃおかしいよね)」
海斗が以前よりも強くなっていると感じたのは輝羅も同じで、プレースピードが去年より上がっている。
より素早い状況判断から動き出してるせいか。
「(まぁ、強くなろうと弱くなろうと関係無いけど!)」
それでも輝羅のやるべき事は何も変わらない。
相手を0点に抑えて、全試合無失点のまま全国大会へ進むのみだ。
「こっちだこっちー!」
玉石は得意の左サイドから攻め込もうと、走りながら右手を上げてパスを要求。
ボールを持つ木村が声に気付き、左サイドへ送る。
相手のSHが前に出ていた隙を突いて、玉石にパスが通った。
「っと……!?」
そこへ空いたサイドをカバーするように、海斗が立ち塞がる。
『左サイドから仕掛ける玉石に社が寄せていく!』
『空いてましたし、西園は突破されると危ない所でした。社君よく見てますね』
サイドの突破を諦めたか、玉石は中央にボールを折り返す。
上がっていた青松がパスを受け、目の前には西園ダブルボランチの一角、松石が立つ。
「空いてるよ右ー!」
輝羅の位置からは右サイドの風野が空いて、コーチングを受けた青松は右へパスを送る。
来た球を右足でワントラップすると、相手のSH山口が接近してきた。
寄せられる前に、風野は右から西園ゴール前へアーリークロス。
『風野、ゴール前に送った! 柿田と大野の空中戦!』
宙を舞いながら迫るボールに、長身の2人がジャンプして空で激突。
球は西園ゴール前で転がり、DFがセカンドに向かって走ると、先にボールへ辿り着いたのは高良川だ。
『拾った高良川! シュート!』
拾ってからDFが寄せてくる僅かな時間の間、高良川は西園ゴールに向かって左足を振り抜く。
バシッ
左下に向かうコースのシュートに岩坂が飛びつき、倒れ込みながらボールをキャッチする。
『立見のファーストシュートでしたが西園GK岩坂、混戦からのシュートをナイスセーブ!』
『セカンドを拾ってから、僅かな間に前を向いて狙いましたね高良川君。これを取った岩坂君は流石、関東No.1キーパーですね』
「簡単に撃たせるな! もっと速く寄せろ!」
岩坂はシュートを許したDFに注意してから、右足のパントキックで蹴り上げる。
飛距離が出てセンターサークルを超えると、長身の和泉まで届いて頭でボールを落とす。
『和泉から社へ渡る! 西園カウンター!』
「中央固めてー!」
輝羅は薄めの中央を固める為、そこに守備を集中させようと指示を送る。
迫りくる青松を海斗が左から躱した時、深山が直後を狙って右足を伸ばす。
「!?」
ボールを捉える事は無く、海斗は相手の姿が見えれば右足で足元の球を転がし、右からの突破に成功。
『社、立見の守備陣2人を突破! 止まらない西園の天才ルーキー!』
2人を躱した海斗の前に、理勝が立ち塞がる。
「(調子に乗らせるか!)」
これ以上の中央突破を許さんとばかりに、鋭い眼差しは海斗に向けられた。
「(さっきのと比べて圧が凄いな!)」
躱した2人より強いプレッシャーを感じ取りながらも、海斗は真っ向からドリブル突破を狙う。
ボールを転がす巧みなフェイントで揺さぶりに行く相手を前に、理勝は飛びつく事なく相手を冷静に見ていた。
此処は無理にカットを狙うよりも、攻撃を遅らせて抜かれた選手達が追いつき、守備を整える方が確実だろうと。
「(そろそろ良いか!)」
「!?」
海斗は目立ったモーションを行わず、気付けば理勝の足元をボールが突破している。
3人抜きを狙うと見せかけ、厄介そうな理勝を海斗は引きつけて、和泉へのパスを通したのだ。
『社から和泉! 西園ゴール前チャンスだ!』
「(こっちが本命……!)」
立見ゴール前、相手のエースに渡ると影二がシュートの阻止に向かう。
それよりも先に左足のワントラップから、振り向きざまに和泉は右足でシュートを放っていた。
ボールはゴール右隅に飛ばされ、立見のゴールマウスへ迫る。
バシィッ
「!」
輝羅は素早い反応からシュートコースに飛び込むと、両手でボールを掴み取ってみせた。
零れ球を期待して狙った和泉は、完全に止められたのを見て驚いている。
『西園の速攻から中央、和泉がシュートを狙うもGK神明寺がキャッチ!』
『闇坂君が寄せて来る前にシュートまで和泉君、速かったですが神明寺君も負けてませんね。良いセービングですよ』
「(ちっ……噂通り簡単には許さないか)」
西園ゴール前から輝羅のキャッチする姿が見えて、岩坂は鋭い目を同じGKの彼へと向ける。
公式戦の無失点記録は伊達ではないと理解し、その上で負けないと改めて闘志を燃やす。
「(勝手にライバル視されてるなぁ……)」
自分を意識している事は輝羅から見れば丸分かり。
大会No.1の守護神を決める準決勝として、人々も注目していた。
輝羅「ホント、鍛え上げたよねぇ海斗。ああいうの細マッチョって言うのかな?」
影二「……ちなみに、星夜もあれぐらいの筋肉がある……」
星夜「僕は格闘技も含めて色々スポーツやってきたからね。それで自然と付いたんだよ」
輝羅「竜斗も鍛えられてるし、僕とヤミーと影丸は細いよねー」
影二「モヤシも強いと思いたい……」




