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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第6章 高校サッカーへの挑戦

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200/213

拘る者達

 インターハイの東京予選も準々決勝まで進む。



 東京のベスト8が集い、勝って準決勝へ進めば、東京代表の座が手の届く所まで行ける。



 立見の相手は音村学院となり、GKを除く10人が積極的に動き回る、フリーランニングのサッカーが持ち味。



「音村学院は東京で1、2を争う攻撃力を持つと言われて、今回の予選でもチームトップのゴールを決めています」



 立見選手達が集まるロッカールームにて、ミーティングが行われると彼らの前で理彩は情報を伝えていた。



「うちと同じ5試合を戦って35点と、毎回派手に勝ってる。オランダのトータルフットボールを参考に、攻撃サッカーを貫く事から、この試合も攻めまくってくるだろうな」



 理彩の隣で付け足すように、間宮が当時の記憶と照らし合わせながら話す。



 間宮の高校時代に戦った事があって、当時から音村の攻撃的な姿勢は変わっていないようだ。



「特に音村のエース、姫島時生(ひめじま ときお)が荒稼ぎしていて大会得点ランキング2位にいます」



 理彩から相手のエースについて聞かされ、今日のマークする選手を皆が把握。



「うちも攻撃的なサッカーをやってるから、これは撃ち合いになるかもしれないな」



 音村のような派手な勝ち方は初戦を除けば立見もしていて、攻撃サッカーで多くの得点を重ねている。



 高良川は攻撃的なスタイル同士が激突すれば、そうなる可能性が高いと考えた。



「そうだな。どっちが今回は多くの得点を重ねられるか──」



 同じように柿田も音村とは、点の取り合いになると言いかけた時。




「撃ち合いになんかなりませんよ」



 そこへ口を挟んで来たのは、チームの数少ない1年である輝羅。



「こっちが多くゴールを重ねて、向こうは1点も取れない……というか取らせませんから」



 音村学院のゴール数など関係無いとばかりに、今回の試合も完封で終わらせると言い切っていた。




 そこからは狂気の片鱗が見え隠れする程に。




「皆だって失点があるのと無いのじゃ、無い方が良いでしょー?」



「そりゃまぁ……うん」



 輝羅の勢いに押される形で、3バックの一角を務める木村は後輩の言葉に対して、首を縦に振る。



 失点にメリットなど存在しないと。



「とにかく僕達、守備陣が0に抑えれば負けなんかあり得ないですから。さ、今日も頑張って行きましょ♪」



 さっきまでの纏っていた狂気が嘘のように引いて、輝羅は何時もの笑みを見せた。




「(あいつ……親父以上に拘ってねぇか?)」



 狂気を抱く程に完封へ拘っているように見える。



 それは間宮のよく知る後輩を凌ぐかもしれないと。





 ピィ────



 準々決勝の試合が始まると、音村学院の選手達は縦横無尽にフィールドを駆け回っていく。



 音村学院の持ち味は、オランダのトータルフットボールを参考に皆が動き回り、全員攻撃と全員守備を行う。



 その分、スタミナは求められるが。



「(うじゃうじゃと動き回りやがるな!?)」



 理勝の目に映るのは、音村の選手達がフィールド全体を走る光景。



 左サイドから音村ゴール前まで玉石が迫るも、ライン際で取り囲まれてしまい、あえなくボールを奪われる。



 そこから一転して攻撃に出ると、先程まで守備に回っていた相手は、皆が立見ゴールを目指して前進を開始。



「もっと寄せていけ!」



 高良川が叫ぶと共に立見選手がプレスをかけていく。



 音村はショートパスで押し寄せるプレスを躱し、ゴール前まで迫ると理勝が詰め寄る前にシュートを撃たれる。




 バシッ



 厳しいコースではなかった為、輝羅は正面でキャッチした。



「(今のはDFか。本当に全員攻撃だね!)」



 シュートしてきた相手がDFと分かり、改めて攻撃的なチームだと理解した所で、輝羅のパントキックが蹴られる。



 高く上がった球が長身の柿田へ向かうと、相手選手との空中戦で競り合い、零れ球が芝生の上を転がっていく。



 それを素早く拾ったのは音村で、再び立見ゴールへ向けての攻めを開始。



「左行くよー!」



 左からの突破を相手が狙ってくると輝羅からのコーチング。



 玉石が迫った時、ワンツーで躱されてサイドからの突破を許してしまう。



 此処まで無失点で来ている立見の守備が乱れていく。



「(これ抜けるだろ!)」



 その時、音村のエース姫島は裏へ抜けられると直感が伝わり、スルーパスが出されると共に走る。



 3バックの裏へ抜け出せば、味方から出たボールが飛んできて、線審の旗は上がらない。



 これに追いつけばチャンスだと、姫島が考えていた時──。




「(抜けないよー!)」



「!?」



 何時の間にかゴールから飛び出して、スルーパスに迫っていた輝羅がボールに追いつき、左足でクリアする。



 通ればGKと一対一のボールを恐れる事なく、前に出て立見のピンチを凌ぐ。



「(あっという間に此処までまで来るのかよ……小さい分、身軽そうだからスピードはあるんだろうな)」



 スルーパスを防がれて得点を逃した姫島は、相手が積極的な飛び出しが得意なんだと理解。



「(けど、あんなチビでリーチは短いはず。外からコースを狙って蹴れば届かないだろ)」



 弱点は150cm程度の低い身長。



 試合に出ている誰よりも小さいと、攻略法の出来た姫島は次の攻撃に備える。




「(人の考えは色々異なるって言うけど、僕に対して考える事は大抵同じだな……)」



 GKとしては低い身長で、向かないと言う者も居た。



 これでゴールを奪えるだろうと、自分から得点を奪おうとする連中を全て捻じ伏せてきた。



 当たり前の常識に抗い、覆すように。



「(リーチ短ければ守れないって、誰が決めた?)」



 GKは大柄でなければ守れない。



 数々の名手がサッカーの歴史上に居て、いずれも自分より大きい選手ばかり。



 歴史が物語ってようが輝羅は抗い、あらゆる相手に得点を許さない。



 格上や格下を問わず、全てを完封で終わらせる事が最強への証明だと信じて。




「(それでゴールを奪えるって言うなら蹴って来いよ。何十本でも全部止めてやるからさ)」



 得点を狙おうと企む姫島を真っ直ぐ見据え、輝羅は不敵に笑っていた。




「右、フォロー入ってー!」



 音村が先程とは反対のサイドから攻め込み、輝羅の指示を聞いた青松が風野と共に、相手選手を追い詰めに行く。



 サイドからの攻めが厳しいと判断したか、中央へ折り返すとボールを受けたのはエース姫島。



 わざわざ中盤の位置まで下がり、輝羅の守る立見ゴールを見据える。



「(もらったぜチビ!)」



 姫島はノーマークの状態。



 人が迫る前に得意の右足を振り抜き、勢いあるシュートがゴール左上隅に飛ぶ。



 蹴った時の感触が良く、ゴールを奪う時の感覚だと姫島は自分の得点を確信していた。




 バシィィッ



「!?」



 GKにとって厳しいコースのはずなのに、輝羅は地を蹴って迫るシュートへ飛びつき、両手でボールを掴み取る。



 あんな完璧にセーブされるとは思わなかったのか、姫島は驚愕してしまう。



「音村の攻撃にビビる必要無いよー! 全然完封行ける相手だからさー!」



 シュートを防いだ輝羅は押されている立見選手達に声を掛け、勢いよくボールを右手で放り投げる。




 攻撃力の高いチームに、小柄な守護神はゴールへ鍵をかけていた。

間宮「相変わらずあいつら、トータルフットボールに拘ってんだなぁ」


輝羅「昔からそうなんですかー?」


間宮「ああ、流石に当時より磨かれてるみたいだけどな」


影二「……オランダ、大好きなんですね……」


間宮「それは聞いてねぇけど、嫌いって事は無いだろうよ」


影二「……次回、怒涛の攻撃を凌ぎ続ける……!」


輝羅「つまり僕の出番が多いねー♪」

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