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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第6章 高校サッカーへの挑戦

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逆転勝利に向けて

「片方だけじゃなく逆サイドも使え!」



 川崎ナイトスターの監督が今日の試合を通じ、初めてベンチから立つと前へ出て指示を送る。



 先制ゴールを決めて優勢だった川崎だが、水月と一夜による同点ゴールで追いつかれ、積極的に攻撃へ向かう姿が目立つ。



 川崎にとってはホームで、引き分けの勝ち点1では満足出来ない為か、皆が勝ち越しを狙っていた。



「右から来るよー! 右に注意してー!」



 両サイドから立見ゴールへ迫って来る姿が、輝羅の目線からは見えている。



 その中で彼らの心が分かると、片方のサイドが囮だと気付いて、右からの攻撃参加に注意するよう叫ぶ。



 1軍で唯一の1年だが気後れなどは全くせず、先輩相手だろうが遠慮無しで、タメ口の指示を次々と出していた。



「うおおっ!?」



 右のライン際で水月、高橋の2人がかりで追い詰め、相手のボールを外へ出す。




「良いね兄弟! 生意気過ぎな指示だ!」



「褒めてるんですかそれ〜?」



 一夜は左手の親指を立てて、輝羅の指示が良いと褒める。



 此処まで大きなピンチを迎える事なく、勝ち越しを狙う川崎の攻撃を上手く凌ぎ続けた。



「あ、ロングスロー向こう放り込んで来るから。ゴール前を皆で注意してくださいねー」



「(向こうが此処まで放り込んだ事無いはずだけど……)」



 次のスローインで狙ってくると輝羅から言われ、上城は本当に来るのかと疑う。




 すると川崎ボールで試合が再開する時、助走をつけてのロングスローを放り投げ、一気に立見ゴール前へ飛ばす。



「(本当に来た!?)」



 相手の意表を突いたロングスローよりも、輝羅の予想が的中した方に上城は驚いてしまう。



 それでも長身によるヘディングで上城が跳ね返し、セカンドへ詰める川崎選手が再びシュートを狙った。



 ボールが加速して枠内を捉えるが──。




 バシィッ



「(いただきっと!)」



 先程と全く同じ出来事が再現かのように、輝羅は飛んできたシュートを正面で掴み取る。



 そこから限られた8秒で行動を決めると、今度は右手のスローイングを投げれば、輝羅のパスは門山へ向かっていた。



「(戸橋の野郎、相変わらず滝口にくっついてやがるな……!)」



 パスを受けた門山は水月を見つけたと同時に、彼の側に相変わらず戸橋のしつこいマークがある事に気付く。



 結局サイドに預けるしかなくなり、右サイドの沢田にボールを送った。




「後半に入って結構時間経つよな」



「うん……経ってるね……」



 竜斗に言われて影二はスマホの時計を確認すると、後半に入って相当な時間が経過しているのに気付く。



「追い上げてってるけど、流石は川崎の守備だ。簡単に連続失点は許しちゃくれない」



「……ゴール前、鉄壁……」



 水月のマークは勿論、引いて上手く守っている。



 フリーとなる選手を見逃さずマークしたりと、自分達の陣地で相手に自由なプレーを許さない。



 ホームで逆転負けなどしたくから、川崎も必死だろうと観戦する2人から見て取れる。



「これでFKでも取れりゃ、輝羅なら狙えそうだよな」



「……立見でも蹴らせてもらえるかどうかは……」



 輝羅には高難易度なキックを蹴れる技術があって、彼の蹴る機会が少なくなっても竜斗は覚えていた。



 ただ、影二の言うように立見の先輩達がGKを上げて蹴らせる、無謀な事を許可するのか不明だが。




「でぇっ!」



 川崎ゴール前で林田が後藤の左からのクロスに合わせ、ヘディングで得点を狙う。



 相手GKが両腕に当てて弾き返す好セーブで防ぎ、転がる球を戸橋がクリアして逆転ゴールを阻止。




「あ〜! また駄目かぁ〜!」



 立見の惜しい得点チャンスを最後尾で見ていた輝羅は、思わず頭を抱える。



「引き分けで満足しないー! 逆転狙ってけー!」



 すぐに切り替えると、味方の背中を押すように声を掛けていた。



 此処まで来たら心の折れた方が負けてしまう。



 川崎も勝ち越しゴールを諦めず、立見ゴールへ多くの選手が押し寄せる。




「! ロングパス来るよー!」



 この時、時間が迫ってるから一気に前線へ送ろうとする選手の心が聞こえ、輝羅は守備陣に向かって叫ぶ。



 直後に川崎DFから、前線へ大きく蹴られたボールが立見ゴールへ向かっていた。



「(本当、大した読みだな!)」



 心の声を聞いたとは知らない一夜は、相手のFWに迫ると空中戦で競り合う。



 相手の方が身長は高いにも関わらず、位置取りの巧さで自由には飛ばさないようにして、一夜が頭でクリア。



「!」



 すぐ側に水月の姿を確認すると、門山は転がって来た球を右の踵で蹴り、空いた中央スペースに転がした。



 そこにボールが行くと読んでいたのか、水月は詰めて戸橋のマークが来る前に足元へ収める。



「(滝口! 不味い!!)」



 前を向かれてドリブルで迫る怖さは知っていた。



 水月にゴール前まで運ばれたら、失点の恐れがあると。



「うおおっ!」



「ぐぅっ!?」



 戸橋が強引に左からショルダーチャージで激しく当たると、もつれるように両者が倒れてしまう。



 その瞬間、主審の笛が鳴って川崎のファール。


 立見にFKのチャンスが与えられる。



「やった……!」



 良い位置でセットプレーとなり、上城が喜んだ時に小さな影が通り過ぎると、川崎ゴール前へ向かう人物が見えた。



「おい、神明寺!? お前戻れって──」



 上がる輝羅の姿にまさかと思い、上城が呼び止めようとした時、一夜に片手で制される。



「やらせてやろう。何も考え無しで行かないだろ」



 何をやってくれるのかと、一夜の輝羅を見る目は楽しげだった。




「何しに来たんだよ神明寺? GKは戻れって!」



「キッカーは水月に任せりゃ大丈夫だから!」



 GKの身で上がってきた1年の後輩に、門山と林田は下がれと強く言う。



 中途半端に蹴らせて万が一、カウンターを食らえば即失点で敗北の危険があるからだ。



「決められる自信はありますよー」



「あっても関係無い! GKは大人しくゴール前で守る! サッカーの鉄則だろ!?」



 先輩2人を前にしても態度を崩さず、輝羅は蹴ると言って聞かない。


 門山は小さい彼の首根っこを掴んで戻そうかと、手を伸ばす。



「待て」



 そこに水月の声が聞こえ、門山の行動を止めた。



「相手の壁の高さと、GKの力量を理解した上で言ってるか?」



「勿論、理解しなきゃ上がりませんよ」



 水月の顔を見上げる輝羅の顔は、変わらず笑みを浮かべたままだ。



 余程の天才か大物、または大馬鹿なのかもしれない。




「それに、右足の調子が悪いまま蹴っても決まらないでしょ」



「! 気付いていたか……」



 後ろから水月のプレーを見ていた輝羅は、途中から少し右足を引きずっている姿を確認。


 それはベンチの間宮も分かったらしく、交代の準備が進められていた。



「勝ち越しは任せた」



「はーい♪」



 水月は輝羅の肩に手を置いてFKを託し、門山達も渋々ながら納得する。




「(いくら凄いからって、無謀過ぎだろ。勝ち点3が欲しいからって)」



 戸橋は輝羅がキッカーの位置につく姿を見れば、無茶なプレーだなと思っていた。



 キックの精度が優れているのは分かっているが、中学で通じたからと言って高校で、それも最高峰のプレミアリーグで通用するとは限らない。



 壁の選手やGKは絶対止めてカウンターに持ち込むと、反撃の1点を狙う。




「(大体30m付近でやや右寄り。コースとしては得意だね)」



 位置を確認した輝羅は自分が蹴った時の事を考え、好きなコースだなと思っていた。



 頭の中でゴールのイメージを固めた後、川崎ゴールを見据える。



 小さな助走から左足でボールを飛ばす。



「(左足!?)」



 右足で扱う事の多かった輝羅が、左足で蹴っているのを見て壁の川崎選手達は驚くと、ジャンプするタイミングが狂ってしまう。



 左足のインフロントキックで蹴った球は人の壁を超えると、GKへ真っ直ぐ迫りくる。



「うおお!?」



 ゴールへ向かう時、彼の目の前でボールが右へ大きく曲がっていく。



 懸命に腕を伸ばすGKから逃れるように、ゴール右上隅のネットへ突き刺さった。




 恐るべき鋭いカーブのキックを繰り出した小さな守護神は、逆転ゴールが決まった瞬間、跳び上がって子供のように喜ぶ。



 高校サッカー界で、神明寺輝羅の名が轟く切っ掛けとなる……。

輝羅「先制ゴールばっかりで逆転ゴールとか決めた事ないけど、気持ち良いもんだねー♪」


竜斗「まぁ……なぁ。そこに関しては俺も同感だよ」


影二「GKの逆転ゴールは……そんな簡単に見れるもんじゃない……!」


輝羅「サッカー漫画を見てると、よく逆転ゴールのシーンを見たりするけど、理由が分かったかも〜」


竜斗「あっさり決めちまう辺りは本当、流石と言うしかねぇわ」


影二「……試合は次回も続く……」


輝羅「滅多に見れない点の取り合いになったねー」

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