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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第6章 高校サッカーへの挑戦

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邪道の副キャプテン

「流石、元日本代表の父親に鍛えられてるな」



「元日本代表ってー?」



「知らないのかよ。滝口キャプテンは元日本代表、滝口王牙の息子だぞ」



 ゴール前、クラブユースのトップを争うチームに、中央から水月が得点を決めた。



 彼の事を竜斗が詳しく知ってそうなので、そちらへ輝羅は視線を向ける。



「滝口王牙も長身でフィジカルが凄くてな。同じ男で憧れる人は多いし、あの人が父親に鍛えられてるなら今のプレーも納得だ」



「足だけじゃなく、長い腕も上手く使って寄せ付けなかったからねー」



「……ドリブルは腕も大事……」



 3人から水月が腕を使う所は見えていた。



 巧みなボール捌きに加え、腕のリーチを活かしてブレイバーズのDFを近づかせず、先制点へ繋ぐ。



 高校生でプロ並みの技術、フィジカルを兼ね備えているのは、一流の選手だった父親が影響しているのかもしれない。




「(父親が偉大だと色々大変だろうなぁ。何かと比べられたりするから)」



 輝羅も水月と同じで、プロサッカー選手の父親がいる。



 周囲は有名な父に大きな関心を持ち、子は色々と苦労が多く、特に同じ道へ進めば比較はされるだろう。



 今でも弥一について色々と聞かれる輝羅は、同じ境遇の水月を目で追っていた。




 先制点を決めると、流れは立見の方へ傾いていく。



 人の動きやボールが速く動き続け、息をつくような暇は無い。



 時に一対一の激しい球の奪い合いが行われ、高校の年代トップレベル同士が激突する姿に、周囲も声援に力が入る。



「2点目行けるぞー!」



 後ろから積極的に行けと、一夜が味方の背中を押していた。



 1点を早々に決めたので2点目を取って、畳み掛けようと狙っているのだろう。




 ただ、プロを目指すユースクラブも当然負けられない。



 リードされたまま大人しくしているはずがなく、前半の中盤辺りからは立見ゴールへ迫る姿が見られる。



「1点先制して良い流れ来てたけど、取れないまま向こうの攻めが始まったのは痛いな」



「……悪い流れが来ちゃったみたい……」



 序盤は立見が押していたはずが、ブレイバーズの守備に阻まれて2点目は取れず。



 相手の攻撃が目立ち始めている現状に、竜斗と影二は流れが変わった事を感じ取る。



「あっ!」



 そこに竜斗が声を発すると、目の前には立見の3バックを抜け出し、スペースに飛び込むブレイバーズのFWが見えた。



 GKと一対一、かと思えば反転して一夜が追う。




 ガッ



「!?」



 相手は一瞬、腕を引っ張られるような感覚に襲われると、それに気を取られている間、一夜が右足を伸ばして足元のボールを弾く。



 転がってGKの所まで向かうと、大きく蹴り出してクリア。



 その時に腕を引っ張られたと相手は主張するが、プレーは続行。




「あの人、結構狡いタイプだねー」



 輝羅の位置からは、相手ユニフォームの右袖を左手で掴み、一瞬だけ強く引いた一夜の姿を捉えている。



「……僕達をジャンプアップしてくれて、良い人に見えたけど……」



「ま、だからってサッカーまで良い子とは限らないよー。あれは、めっちゃ悪い子寄りだから」



 影二には一夜が自分達の練習を見てくれて、3軍へ昇格させてくれたせいか、そう見えていた。



 だが、輝羅には見えている。



 プレーのみならず、色々と狡い事を企む彼の心の中が。




 先制点を決めた水月には剛樹がマークするようになり、自由にはさせない。



 このエース封じが立見の勢いを止め、ブレイバーズが攻勢に出られている要因だ。



「その調子ー! それでこそ天才DFだよ剛樹ー♪」



 剛樹が水月を封じる姿に、輝羅は立見側にも関わらず声援を送る。



 流れはブレイバーズに傾き、立見が劣勢。




 そして後半、そのゴールネットは突然揺らされた。



「うおおっし!」



 後半途中から出場の堂上が、味方からのパスを受けると左足でシュートを狙う。



 思いきったロングシュートは綺麗な弧を描き、立見ゴールの右上隅を捉え、GKのダイブが及ばず同点ゴールが決まった。




「おおー、凄ぇロングだったな!」



「今のは……良いシュート……!」



 堂上のロングシュートを見た竜斗と影二は、自分も撃ちたいと思うぐらいに、良いゴールだと揃って目が輝く。



「今のは間に味方選手が入って、キーパー側からブラインドになっちゃったねー。それで反応が遅れてたよ」



 同じGK目線で、輝羅は遠めのシュートを決められた原因を突き止める。




「くっ……!」



 勝ち越しゴールを狙おうと、水月はドリブルで進もうとするも、彼の前には複数のブレイバーズの選手が立ち塞がった。



 先程のような突破は許さず、水月は取られないようにボールキープへ専念。



「回せー!」



 そこに一夜が時間を稼げと、味方にパス回しを要求する。



「(勢いは今、向こうにある。こんな状態で2点目は難しいし、上位のチーム相手にドローなら上出来だろ)」



 目の前の勝利を狙わず、一夜は確実に勝ち点1を積み重ねる方を選択。



 リーグ戦は序盤で先が長く、それを見据えての判断だ。




「(今の高校生はリーグを上手く戦う術を知ってんな)」



 試合を見守る間宮は、流れが相手に傾いてる今、此処は失点しない方が大事と見ている。



 そのまま一夜の判断に任せ、疲労している選手を交代させるように伝えていた。





 結局その場を最少失点で乗り切れば、立見とブレイバーズは勝ち点1を分け合う。



「そのまま勢いで押し込むかと思ったけど、鹿島ブレイバーズとなれば簡単には勝たせてくれねぇな」



「剛樹のエース封じが効いてたからねー。後は堂上のスーパーゴールもあったし」



 試合が終わったので生徒達は引き上げ、試合を観戦していた者達が大半帰った後、輝羅達も学校出ようと歩き始める。




「おーい」



 そこに声がすると試合後にも関わらず、一夜が3人の前へ駆けつけてきた。



「あ……守口先輩……お疲れ様です……!」



「お疲れー。っと、それより輝羅君ちょっと時間あるかな?」



「え、僕ですかー?」



 影二と一言交わしてから、一夜の目は輝羅へと向く。




「美味い飯でも奢ってやるから、一緒に行かない?」



「行きます♡」



 ご飯を食べさせてくれると聞けば、あっさりと輝羅は一夜の誘いに乗って、彼と試合後の昼食へ行く事が確定する。



「じゃ、ちょっと借りるな」



 何があったんだと、頭がついていけない2人を置いて、一夜は輝羅と共に学校の外へ出る。




 ☆



「此処の親子丼が美味いんだよ。安いし、俺のお気に入りなんだ」



「分かります〜♡良い所知って良かった〜♪」



 一夜は輝羅を連れて、立見の商店街にある食堂へ来ると、2人で親子丼を食す。



 人気の親子丼は半熟卵を使って鳥肉と白米によく絡み、その美味さと安さに学生達からの人気が高い。



 量も多いが、食べ盛りの高校生2人にかかれば、空にするのは容易かった。



「今日は良い日だぁ〜♡」



 輝羅は夢中で絶品の親子丼を味わい、幸福に浸っている。




「──今日はかろうじて最悪を乗り越えられたって所だな」



 一夜が先に親子丼を完食すると、店員が持ってきた緑茶を飲む。



 そこから今日の引き分けの試合を振り返っていた。



「ホームだから俺達が勝たなきゃいけなかったし。水月の1点を守りきってたら、こっちが勝ち点3を取ってたってのに……正直ドローは痛い」



「確かにホームなら勝っておきたいですよねー。次は相手の慣れてる会場でやんないといけないですから」



 輝羅も親子丼を食べ終えると、緑茶を飲んで一夜の話を聞く。




「あの1失点を食らったロングシュート。君なら止めてたか?」



「100%止めてますよー」



 同点ゴールを決められた時の事が、一夜の頭に蘇ると輝羅は彼の問いに迷わず答える。



「は……100%と来たか。それは随分とビッグマウスだな」



 先程まで小さい子供みたいに、親子丼へがっついていた者とは思えない。


 何処までも強気な1年と、一夜は面白そうに笑う。



「立見高校は過去に色々とタイトルを獲得してるけど、まだ高校サッカーで一つだけ未だに優勝してない。それが高円宮杯、プレミアリーグだ」



 黄金世代と言われた昔、立見はインターハイと選手権の高校2大タイトルを獲得している。


 ただ一つだけ、残りのプレミアリーグは今も優勝出来ていない。



「立見は優勝に縁が無くなったって言われるけど、リーグ戦のタイトルはマジで獲りたいんだよ」



 過去の立見の先輩が挑戦して、未だに手の届かない残り一つの栄冠。



 一夜はプレミアリーグ優勝に拘っている。


 その為なら、邪道と言われようが構わないと思っていた。



「つまり、何が言いたいんですか?」



 彼の心は見えているが、あえて輝羅は問う。



「簡単な事さ」



 目を合わせて一夜は彼へと告げる。




「俺達と初のタイトル獲得を目指そうぜ──なぁ、兄弟?」

輝羅「また美味しい店を知ったなぁ〜♪」


竜斗「……輝羅というか神明寺家が少し心配になってきたわ」


影二「ご馳走するとか言えばフラフラついて行きそうで……知らない人だったら絶対駄目……!」


輝羅「今回は知ってる守口先輩だったから良いでしょー」


影二「知ってるって……まだ1回話しただけ……次回、インターハイを目指す戦い、そして輝羅が監督に呼び出され……!?」


輝羅「次は豚丼を食べてみたい〜」

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