高校サッカーのデビュー戦
インターハイ東京予選 出場メンバー
神明寺輝羅 GK 1 島口三太 GK 12
高崎誠 MF 2 鳥田安 DF 13
深山浩二 DF 3 闇坂影二 MF 14
古賀洋太 DF 4 青松和 MF 15
木村優 DF 5 戸川健 DF 16
牙崎理勝 DF 6 丸木龍介 MF 17
玉石康太 MF 7 古神星夜 FW 18
風野光 MF 8 雪松正 FW 19
柿田江二郎 FW 9 北村満 GK 20
高良川正人 FW 10
坂田秀樹 FW 11
「スッタメンゲット〜♪」
今日のメンバー発表で、輝羅はスタメンのGKとして出る事を告げられる。
それが体にも現れて足取りも軽く、スキップで正門へ向かう姿はサッカー部の練習をこなした後とは思えない。
「ご機嫌だね輝羅君」
「あれ、六峰先輩? 僕より先に居るの珍しいですねー」
正門の前で待っていた千里の姿を見つけると、駆け寄って合流。
女子サッカー部の方が男子よりも練習時間は長く、今日も輝羅が先に到着して待つ予定が、立場は逆転していた。
「今日は予定より早く終わったからね。大会もあるから軽い調整だったけど、そっちは良いことあったみたいじゃない?」
「2軍でインターハイに挑む事となって、スタメンで試合出る事が決まりました♪」
「え? 凄いじゃん!」
初戦の前川高校との試合。
そこで輝羅は高校生として、初めての公式戦となるフィールドへ踏み出す。
彼から聞かされると、千里は驚いた顔を浮かべる。
「普通なら、1年のGKが入部してすぐに試合なんてないのに。よっぽど輝羅君、凄いアピールしたんだろうね」
「それはもう、毎日練習頑張ってますからー。家の朝稽古を終えて朝練に参加したり、辛い授業を乗り越えて午後の練習に参加したりと〜」
「頑張りすぎて体を壊したら駄目だよ」
1日のスケジュールを改めて振り返り、語る輝羅は朝から忙く活動していた。
高校に入っても日課となる合気道の朝稽古を行い、その後に学校まで行って朝練にも参加する。
千里は相当な努力家だな、と思って話を聞く。
「朝稽古って何してるの?」
「家が合気道の道場やってるんですよ。お母さんが達人で指導してくれるんです」
「凄いなぁ。お父さんがサッカーの天才で、お母さんが合気道の達人って」
天性の才能に加え、甘んじる事なく努力も欠かさず、それが今の輝羅というサッカー選手になったのだろう。
1年でスタメンGKとして、公式戦に立つのも頷ける。
「あたしも負けてらんないなぁ〜。男子に負けじと女子も全国制覇狙わないと!」
「良いですね〜。立見の男女サッカー部で頂点を取っちゃいましょう♪」
後輩が頑張っているなら、先輩の自分としても今年のインターハイを制覇しようと、優勝への意欲が高まっていく。
輝羅と千里は互いのサッカー部が頂点に輝く事を誓い、帰路についていた。
☆
「GOGO立見! GOGO立見!」
インターハイ東京予選の1次トーナメントに、立見はシード枠で此処から参戦。
初戦となる会場には、ほぼスタンドが満員で埋まっていて、立見の応援団による声が木霊する。
「──まさか、こんな形で再会するなんてな」
「そりゃこっちの台詞だ」
両チームの選手達がアップをしている間、立見と前川の監督2人が顔を合わせていた。
間宮の前には前川の監督を務める岡田雅治が立ち、2人は互いの母校で選手の時に戦った仲。
時を経て、今度は共に監督として再び戦う事となる。
「焼きそばの屋台の親父で落ち着くかと思えば、立見の監督になってんのかよ」
「人の事言えないだろ。お前が何時の間にかライセンス取ってたのは聞いてねぇぞ」
「そこは引退前から備えてたからな」
昔を思い出したのか、間宮と岡田は軽口を叩き合って互いに笑みを見せた。
「間宮監督、相手の人と親しそうだなぁ」
「前川の監督は間宮監督と同学年だからね。プロのGKとして活躍してた人と此処で会うのは驚いた」
2人の話す姿が輝羅から見えると、星夜は岡田の事を知っているみたいで、彼について語る。
「低迷していた前川を東京上位の高校へ押し上げる程だから、初戦から気を抜けないよ」
「へぇ〜……」
星夜と話す輝羅の目は、アップをしている前川の選手達に向けられた。
どんな力を持ってようが、上を目指すなら倒す相手に変わりない。
スタメンに選ばれた唯一の1年として、輝羅は初めての高校サッカーの試合に臨む。
「立見GO!!」
「イェー!!」
伝統として受け継がれている立見の掛け声。
歴代のキャプテンがやってきた事を高良川も行えば、円陣を組む皆が声を合わせて試合前の儀式を終える。
「この感じ──久々だなぁ」
練習では決して再現する事の出来ない、公式戦独特の空気。
去年のイギリス遠征以来の緊張感を輝羅は感じ取っていた。
「さぁさぁ、勝ってくよ皆ー!」
「開始前から煩ぇな」
ゴールマウスに立った輝羅が声を出すと、スタメンの3バックの一角を担う理勝は、彼の明るい声を聞いて振り返る。
「声を出さないGKは駄目でしょ?」
「ちっ……ああ言えばこう言う小僧が」
相手をしてもキリがないと判断したか、理勝の目は前川の選手達へ向いた。
前川ボールのキックオフで試合は開始される。
ピィ────
前川は中盤でボールを繋ぎ、左サイドへ展開。
相手が3バックなので正面からではなく、サイドから崩そうと企む。
「(左サイドからの突破。そう思わせてサイドに選手を誘うと──)」
輝羅はゴール前に立って頭の中でサッカーを行う。
相手の思考を読み取り、こちらの陣地へ攻め込む連中が次に何をしてくるか。
一手を読んで更に先を読む。
そこから輝羅は味方へ向かって叫ぶ。
「15番マークー!」
左からドリブルで攻め上がる相手選手に注意が向く間、中央から守備的な位置に居た者が迫ってくる。
中盤で混戦となっている状況を利用し、オフザボールで奇襲をかけるつもりだと。
「!」
思惑を見抜かれたらしく、ボールを持つ選手が中央に視線を向けると、一瞬だけ躊躇するような動きを見せた。
その間に立見の選手は奪おうと、相手へ寄せていく。
「オーラーイ、任せてー」
苦し紛れのアーリークロスは精度を欠き、高く上がった球が輝羅まで流れれば、難なく両手で掴む。
この時、ボールを持つ輝羅の目は左サイドを捉えて、左足のパントキックで低空飛行のパスを送る。
「(キック正確過ぎんだろ!)」
精度は狂う事なく、左の玉石まで届くと左サイドをドリブルで独走。
相手のサイドが戻り切れていない事に、輝羅は気付いていた。
左足のクロスが前川ゴール前へ放り込まれ、高く上がった球に長身の柿田が頭で落とすと、そこに走り込んでいたのは高良川。
右足のシュートで豪快にゴールネットを揺らし、立見が幸先良く先制点を決める。
開始から2分程で立見に1点が入り、早くも2軍の力を見せていた。
輝羅「2軍の人達、こういう名前だったんだなぁ〜」
星夜「ちなみに作者は名前を考える方が大変だったそうだよ」
影二「……フルネームは苦労する……」
輝羅「ヤミーに作者、憑依してない〜?」
影二「そんな言葉が聞こえて気がするから……次回……引き続き前川との試合……!」
輝羅「超攻撃的らしく、押せ押せで行けるかなー!?」




