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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第6章 高校サッカーへの挑戦

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恋をしたサイキッカーの前に障害あり

「兄さん、恋してるよね」



「!? 神奈、いきなりどうしたの?」



 神明寺家で朝を迎えると、道場で日課の朝稽古を終えた後に家の方で朝食をとる。



 何時も通りの日常を送っている所へ、神奈の言葉に輝羅は驚かされていた。



「何処か何時もと雰囲気が違う気がしたから。勉強に悩んでる感じには見えないし、サッカーで悩んでたら隠さずに言うはず。だからそれなのかなって」



 超能力を持っている訳でもないのに、妹に鋭い所を突かれてしまう。



 輝羅自身、それが恋なのかは分かっていないが。



「こいー?」



「こいー?」



 まだ恋についてはよく分かっていないのか、双子の妹の姫奈と姫香は揃って首を傾げる。



「輝羅兄ちゃんが恋って、高校でそういう人が出来たの?」



 優人の方は関心があるのか、身を乗り出す勢いで話していた。



「ああ〜、いや……どうなんだろうね〜」



 弟の問いに輝羅は濁すような言葉で返すしかない。



 彼にとっても初めての経験で、そうだと言い切れないせいか。



「へぇ、輝羅もそういう年頃になったんだなぁ……」



 赤子から長男を見てきた輝咲からすれば、しみじみと思う物があった。



「もう〜、ご馳走様〜! 朝練行ってきま〜す!」



 兄妹による質問の嵐から逃れるように、輝羅は味噌汁を飲み干してから鞄を持って家を出る。




「はぁ〜、神奈ってば勘が良いんだから〜」



 朝の桜見駅のホームで、輝羅はスマホを見ながら朝の出来事を振り返って呟く。



 昨日、フィールドで美しく舞う千里の姿が忘れられず、頭の中で鮮明に残ったままだ。



 神奈や影二から指摘されて、恋なのかと思っていた時──。




「おはよっ!」



「!?」



 突然、輝羅の右肩に人の手が置かれたのが伝わる。



 昨日聞いたばかりの声を忘れるはずがなく、まさに思い浮かべていた人が振り返れば立っていた。



 後ろから声を掛けた千里の姿に輝羅は目を見開く。



「そんなに驚いた? あたしも見かけた時はビックリしたけどね。同じ桜見から通ってるなんて」



「えっと〜、色々驚かされました〜」



 此処で会う事になるとは思わず、驚きながらも輝羅の顔に陽気な笑顔が浮かぶ。



 やがて立見行きの電車が来て、2人は乗り込んだ。




「女子サッカー部の朝練も男子と同じ時間なんですねー」



「そうそう、それで大体あたしもこの電車へ今の時間帯ぐらいに乗ってるから」



 走行する車内で輝羅と千里は長椅子に座り、隣同士で会話をする。



「立見の朝練にはもう慣れた?」



「そこは大丈夫ですねー。早く1軍に上がろうと日々、頑張ってます」



「確か新入生は6軍スタートだけど、そこに辿り着くのは結構時間かかるから──」



 男子サッカー部の6軍スタートは千里も聞いていて、1軍の道程は簡単じゃないと思う所へ、輝羅は微笑んで今の位置を伝えた。




「今3軍で、公式戦に出るまで後一歩です♪」



「え、早くない!?」



 入部してから1ヶ月も経過してない内に、3軍へ上がった事を聞くと今度は千里が驚いた顔を浮かべる。



「立見の副キャプテンがジャンプアップさせてくれたおかげですねー」



「ああー、守口先輩か……」



 輝羅から3軍へ上げた人物を聞けば、千里は納得している様子。


 200人以上の男子サッカー部員を把握してるらしく、一夜の事も知っている。



「あの人って陽気で男子サッカー部のムードメーカーだけど、結構見てるからね。曲者みたいな所があるから」



「裏が滅茶苦茶ありそうな先輩だなぁ〜」



 一夜が曲者である事は、初めて会った時から分かった。



 他の者と比べて心を読むのが難しく、輝羅からすれば単なるムードメーカーには見えない。




「あ、そうだ! 同じ桜見って事で連絡先交換しない?」



「え……」



 電車が立見へ近づいていくタイミングで、千里はスマホを取り出すと連絡先の交換を申し出る。


 まさかの展開に、輝羅からは動揺が見えていた。



「これから桜見でもまた会うと思うし、神明寺君とサッカーの話を聞きたいから──駄目?」



「勿論、今すぐ交換しましょうー♪」



 彼女の方は1人で通学するよりも、輝羅とサッカーの話を中心に話せば楽しい上、為になる事が聞けると考えている。



 輝羅に千里の申し出を断る理由など何もなく、輝羅のスマホに高校の先輩が新たに登録。



 この時、千里と2人で話す輝羅の胸は高鳴るばかりだった。




 ☆



「恋、しちゃったかも〜」



「!?」



「え、お前マジで!?」



 朝練が終わって部室で着替え、授業に向かう準備をしていた所へ、まさかの言葉が輝羅の口から呟かれる。



 これには竜斗や星夜が近づき、影丸の眠気も覚めて興味津々な様子。



 その中で影二だけは「やっぱり……」と思っていた。



「なぁ、どんな女子だよ……!?」



「輝羅が興味惹かれる女性は興味深いね……」



 竜斗と星夜は揃って輝羅がどんな女子に惹かれたのか、気になって問い詰める。



「それは〜……恥ずかしいから言えない〜!」



 名前を明かさず追撃を躱すと、輝羅は教室へ一足先に向かう。




「ええ〜、勿体ぶられたよ〜! 誰なの〜!?」



「あいつ……本当は恋してなくて、俺達をからかってるだけじゃねぇか?」



「今の態度はそうなのかな……」



 輝羅の口からは相手が誰なのか明かされず、モヤモヤした気持ちになっていると、3人へ影二が近づいてくる。



「……女子サッカー部の2年、六峰千里先輩……多分その人が輝羅が恋する相手だと思う……」



「六峰──ああ、女子サッカー界で天才ストライカーと注目されてる人か」



 影二から聞いた時、星夜は誰なのか分かって納得するように頷く。



「天才は天才に惹かれるもんなのかねぇ」



「さぁ〜、どっちにしても輝羅って六峰先輩みたいな人がタイプなんだね〜」



 竜斗や影丸も彼が千里に恋をしているのは分かるようで、サッカーが上手いだけでなく彼女は美人だ。



 輝羅の恋が上手くいくのか気になりながらも、それぞれ授業向かう。



「……」



 それを同じ3軍の先輩、数人が聞いていた事を彼らは知らない。




「練習終了ー!」



 コーチを務める翔馬が午後の練習終了を告げられ、それぞれの部員達は部室棟へ戻る。



 別メニューでキーパー練習を終えた輝羅も向かおうとしていた。



「おい、神明寺」



「ん?」



 そこへ男の声が聞こえると、輝羅の前には3人の部員が立つ。



 いずれも小柄なGKより身長が高く、体格も良い。


 同じ3軍の西、佐藤、坂口の3人で皆2年の先輩だ。



「行かないんですか先輩達?」



「どうせ大勢で混むだろ。空くまでの間、軽く言っておこうと思ってな」



 3人の心を見てみれば、輝羅に対しての敵意が感じられる。



 その理由は明確だった。




「お前、女帝を口説く気か?」



「噂で聞いたぞ。彼女に気があるそうじゃないか」



「入ったばかりの1年が、随分と高嶺の花に目が向いたもんだな」



 千里は学校内で人気があって、ファンクラブがある程と聞いている。


 その会員の可能性を匂わせる3人は、輝羅が千里に近づく事を良く思っていない様子だ。



「それ──近づかないようにしないと「痛い目に遭わずぞ」って脅してません?」



 先が読めた輝羅は自分を脅しに来たのかと、先輩達の顔を見上げる。



 いざとなれば喧嘩への対応は可能だ。



「待て待て待て、早とちりするな」



「そんな自爆を仕掛ける程、こっちは愚かじゃないから安心しろ」



 彼らとて昇格を目指し、公式戦の出場を望んでいるので、自分からチャンスを消すような事はしなかった。




「(こいつは神明寺の息子。知名度を使って言う事を聞かそうとしているかもしれない……!)」



「(此処は俺達で女帝を守らないと……!)」



「(女帝親衛隊として、彼女の平和を守るのが俺達の仕事だ……!)」



 心を覗けば彼らがファンクラブの連中と判明しただけでなく、とんでもない誤解をされている事に気づく。



 自分が千里にそうやって近づくんじゃないかと、ありもしない妄想だ。



「どうすれば近づく事を許してくれるんですか? それとも1年は大人しく失せろと?」



 そんな気は無いと思いながらも、輝羅は先輩達へ尋ねる。



「明日、3軍の紅白戦がある。そこでお前が出場して勝てば、女帝に近づく事は認めてやる」



「負けたら女帝を口説くのを諦める。サッカー部らしくサッカーで決着をつけようじゃないか」



 紅白戦で輝羅のチームが勝って結果を示す。


 それが条件のようで、有無を言わさず近づくなと言わない辺り、彼らもスポーツマンシップがあるようだ。




「(この前のエンドレスデュエルだけじゃ足りないか……黙らせるには本番に近い試合で力を見せろって訳ね)」



 輝羅は理解すると、何時も通りの笑みを見せる。



「ちゃんと約束守ってくださいね先輩達。嫌って程に力を見せつけますんで♪」



 千里が気になってる所へ、立ち塞がってくる目障りな障害物。



 それを木っ端微塵に粉砕してやろうと、密かに決意していた……。

竜斗「絶対に輝羅は神奈さんへ兄妹を超えた想いを抱いて、本気で口説くかと思った!」


影二「確かに……与一と一緒に神奈さんの事すっごい大事に守ってたし……」


輝羅「すっかり僕の事をシスコンとか思ってるね皆〜」


影二「とにかく……君も恋をすると分かった所で、次回は3軍での紅白戦が始まる……」


輝羅「本当、誤解とか嫌だね〜。そんな権力あるって何処で噂広まってんだか」

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