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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第6章 高校サッカーへの挑戦

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女神が舞い降りた時

『左ではなく〜やっぱり左な気分〜』



「結局変わらねぇのかよ!」



「フェイントが過ぎるってー!」



 気まぐれなAIの音声による指示で動き回り、部員の口から文句が飛び出しながらも、走る足は止めない。



『左〜からの右下〜』



「はぁっ……! はぁっ……!」



 あと一つの昇格で公式戦に届く3軍の中。


 彼らの中で脱落していく者はおらず、皆が1軍と2軍を目指して練習を続ける。



「終了ー!」



 そこにコーチを務める翔馬から、今日の練習を終了させる声が告げられた。



「え、もう?」



「何時もより早くないすか? まだ6時になってないし……」



 普段の練習よりも終了時間が早いと、部員達は戸惑っている様子。



「練習時間は今日から90分。それ以上やっても体が辛いだけだから。ほら、早く支度をして帰る!」



 手を叩いて急かしてくるコーチに、3軍の選手達は速やかに部室棟へ向かって着替えを済ます。




「早いなぁ〜。その分寝る時間増えるから良いけど〜」



「何時も結構寝てるけどね影丸は」



 多くの部員達がロッカールームに出入りする中、影丸は練習が早く終わった事を歓迎していた。



 彼が普段から寝てる時が多いのを知る星夜は、まだ睡眠時間が欲しいのかと苦笑する。



「90分はサッカーの試合と同じ時間で、これは海外のスタイルだねー」



「世界のやり方を真似してるって訳か……こんな練習しないであいつら、あんな強いのが信じられねぇな」



 海外のクラブで近い練習を経験してるので、輝羅としては馴染みやすい。



 イギリス遠征の時を思い出した竜斗は、海外の選手達が頭に浮かぶ。


 いずれも上手かったり強かったりと、1ゴールも取れなかったのは今も悔いが残ったままだ。



「早く家に帰れるのは嬉しいけどねー♪ほら、竜斗帰るよー」



 着替えを済ませた輝羅は早く行こうと竜斗を急かす。



「いや、俺は寮生活に入ってるから。言っただろ?」



「あ〜……先かと思ったけど、もう入ったんだ〜」



 立見高校には大型のサッカー部専用の寮があって、そこに多くの部員達が生活をしている。



 竜斗は既に入寮を済ませて寮生活を開始した為、桜見に帰る必要は無い。



「僕達も此処の寮に入ったよ。結構快適だし、何より距離が一気に近くなったからね」



「面倒なバス移動が無くて、ギリギリまで寝てられる〜」



 竜斗だけでなく星夜、影丸の2人も寮生活に入り、そこでの暮らしを気に入っているようだ。



「じゃあ帰宅組は僕とヤミーだけ〜……もしかして知らない間に寮の方?」



「僕は……入ってない……落ち着きそうにないから……」



 もしやと思い、輝羅は影二も入ってるのか聞けば彼は首を横に振る。


 人見知りな彼にとって、共同生活はハードルが高い。



「よし、一緒に帰ろうヤミー! お先、失礼しまーす♪」



 輝羅は影二と共に部室を後にした。




「早めに帰って神奈の顔を見れる〜♪」



「相変わらず……だね……」



 正門を目指して外を歩く輝羅の頭に、愛しの妹が浮かんでくる。



 中学の頃から神奈を大切に想っているのは、影二も見ているので知っていた。



 高校でも彼女を作らないまま、この調子なのかもしれない。




「そこ、もっと厳しくー!」



 まだ他の運動部が練習中らしく、帰る2人の耳に部活へ励む女子の声が入ってくる。



「あれ、この声って──」



 輝羅には最近聞いた覚えのある声で、もしやと思って聞こえた方へ走って向かう。



「あ……輝羅……!?」



 その姿を見た影二も後を追った。




 2人がやって来たのは女子サッカー部の専用グラウンド。



 芝生の上で彼女達は試合形式の練習を行い、男子に劣らない程に激しく激突している。



「あ、いたー……」



 すぐに輝羅は声の主を発見。


 周りと比べて長身だった為、それが購買部で会った六峰千里だと分かった。



 ポニーテールを揺らしながら走り、味方からのパスを左足で受けると、ワントラップから右足でシュートを放つ。



 GKが飛びつくも止められず、ゴールネットが大きく揺れる。



 一連の動きを見た時、不思議と輝羅は声が一瞬出なかった。



「上手い……パスを左足で完全にコントロールして……右足のシュートも芯を捉えて良いボール……」



 影二の口から、彼女が高レベルのプレーヤーである事が語られる。




「……」



 輝羅の方は千里の姿を見たまま、何も言わない。



 その後のプレー、動作の一つ一つに注目していた。




「……間近で初めて見たけど、凄いな六峰先輩……天才ストライカーと言われてる通り……良い動きしてた……」



 前から千里については風の噂で聞き、直に見てみれば自分より上手いのではと思ってしまう。



 影二が隣の輝羅に目を向けると、彼は無言だった。



「輝羅……?」



「え? ああ〜。高さもあって足だけじゃなくポストプレーも上手かったよね〜♪」



 普段よく喋る輝羅が珍しく黙ってるかと思えば、何時も通りの笑顔を見せて千里のプレーを振り返る。



「あれ、君達来てたんだ?」



 マネージャーからタオルを受け取り、汗を拭いていた千里が2人に気づき、歩み寄ってきた。



「練習する声が聞こえたから、どんな練習してるのか参考にしようと見に来ました♪」



 身長差がある千里を見上げ、輝羅は笑顔を崩さないまま。



「んー、男子サッカー部と同じような事やってると思うよ。でも、何か吸収出来るような物があったらガンガン吸収しちゃってね」



「あ……はい……」



 千里は勝ち気に微笑んでから輝羅の頭と影二の肩、それぞれに手を置いた。



 話していた彼女が仲間に呼ばれ、合流していくのを見れば正門へ向かって2人は歩き出す。




 ☆



 桜見へ向かう電車内は空いていて、輝羅と影二は容易に長椅子へ座る事が出来た。



 後は電車が目的地に到着するのを待つだけだが、影二は隣に座る輝羅の様子が気になっている。



「……輝羅、どうしたの本当に……?」



 女子サッカー部に行ってから無言になったりと、明らかに何時もと違う。


 具合でも悪くなったのか心配だった。




「──女神が見えたかも」



「え……?」



 黙っていた輝羅が突然放った言葉に、影二の頭が追いつかない。



「なんかねぇ……さっき見た六峰先輩が不思議とそう見えたの」



 輝羅の目には千里がフィールドで舞う姿が焼き付き、頭でも彼女の顔が頭に浮かんでいた。



「! 輝羅、それは……恋したんじゃない……!?」



「──恋?」



 影二から恋をしたんだと言われ、輝羅はピンと来ていない。



「だって、あのお喋りな君がああなったなら……絶対そうだよ……! 輝羅は六峰先輩を意識してる……!」



「そう、なのかなぁ〜?」



 輝羅が恋をしてるとなって、影二は珍しく興奮気味に身を乗り出す勢いで力説している。



「女神に見えたとか、それはもう確定だよ……! 恋以外にあり得ないから……!」



「ヤミー、ちょっとテンション上がり過ぎ〜!」



 それは恋だと主張する影二に、輝羅は謎の迫力に押されていた。



 輝羅の目から千里が美しく、凛々しく見えて目を奪われたのは紛れもない事実。



 高校に入って初めての恋をする──。

影二「彼は神奈さんか、それに限りなく近い人にしか惹かれないと思ってたけど……彼も普通の男子みたいにちゃんと恋出来る……!」


影丸「影二の目がキラキラしてない〜?」


星夜「彼ってこういう話が大好きなのかな?」


竜斗「いや、聞いた事ねぇ……俺も意外なヤミーの面にビックリしてる」


影二「次回、練習を頑張ると共に恋も頑張ってほしい輝羅の前に……厄介な障害が現れる……!」


輝羅「えっと〜、今までで一番コメントに困る〜!」

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