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攻略前日とラリックの店々と

明日、ダンジョンに入る前に改めて俺のステータスを確認する。


『ステータス鑑定』



名前:アロイス


種族:人間


体力:60(+10ペンダント効果・他)

魔力:64/65(同)

知力:67(同)

攻撃力:69(+10ペンダント効果・+50剣効果・他)

防御力:77(+70衣服上下・鎧・ブーツ・マント・ペンダント・他)

器用度:51(+10ペンダント効果・+30魔力制御効果・他)

幸運度:22(+10ペンダント効果)


スキル:薬師、逃げ足


魔法:生活魔法

  :全属性魔法(初級のみ使用可)

  :無魔法(中級まで可)

  :空間魔法(上同)


称号:賢者未満




おお、上がってる、上がってる!

半年以上も狩りまくったからな。

くく…

最初は一桁代前後だったのに、俺頑張った。


ちなみにこの‹他›というのは、主に魔素吸入による数値の上昇分を略したものである。

詳しくはこの後説明したい。

勿論経験値みたいな熟練度も多少入っている。

そして器用度の爆上がりの元になっている‹魔力制御›だが、魔法を毎日使用することによる熟練度の賜物である。

器用度の場合、魔素吸入より魔力制御による数値上昇が大きいのだ。

そのうち『制御』というスキルを生やすこともできるらしい。


追記だが、‹魔力制御›は魔法が使えなくても、スキルによる『身体強化』や、他多用するスキルからでも得ることができる。

スキルは多少なりとも自身の魔力を使うからだ。

なので戦士や剣士をはじめとする他職業でも努力次第で伸ばせるのだ。


ともあれ俺は、能力アップを目指して旅の間も狩っていたのだが、カルナの街でも依頼の合間やついでにと一日中狩りまくっていたのだ。

カルナの森は、魔素が溜まりやすく、澱んだ魔素が瘴気となって魔獣が発生しやすかった。

特にゴブリンの巣が出来るとやっかいなので徹底的に狩っていた。

他の冒険者の百倍くらいオーバーな比喩なく討伐したと思う。

それだけ早く能力を上げ、潜在的な力を引き出したかったんだ。


生活や金の心配がない分徹することができる。

ありがたい。


多分俺の今の能力数値、中堅以上の冒険者位いってると思う。

この考察はユリウスからだ。

さすがに他の人に対して鑑定はしていない。



さて、先程述べた魔素吸入による能力値アップの話をしよう。

不思議なんだが魔獣を倒すと能力値が上がるそうだ。

これは体を鍛えるだけではダメなんだとか。

前世のユリウスの記憶から知ったのだが、倒した魔獣から放たれる魔素を浴びることにより、体内に魔素を摂取するから能力が上がるのだそうだ。

それは古代の遺跡の知識の資料にも、同じ事が記されているという。

てことは、倒した本人だけじゃなく近くに居た人間も浴びたら上がるってことだろうか?


前世のユリウスの記憶が「そうだ」、と答えた。


その答えに前前世の正志の記憶がそれってレベリングだな、と呟いている。


ゲームのレベリングでは魔素ではなく経験値の数値のお裾分けなのだが。

まあ、だからと言ってパーティーでも組んで余程近くにいなければ御利益はない。

パーティー内でもすぐ傍にいなければ効果はないだろう。


それにしても、やった!

『薬師』のスキルが生えてる。

あんな青汁製作でも効果があったのか。



そして嬉しいことに無魔法と空間魔法が中級になっていた。


無魔法は身体強化とか鑑定、索敵みたいに、魔法が使えない者にもスキルとして生えてくるものも多い。

中級になると魔力そのものを敵にぶつける攻撃魔法の中級が使えるようになる。

広範囲魔力弾であるバーストが使えるようになったのは大きい。

勿論初級のただの魔力弾であるバレットだって威力は上がってるはずだ。


ところで、無魔法持ちは、身体強化と索敵はよく使えるが、鑑定が今一な者が多いそうだ。

『鑑定』というのは、それこそそれを行う者の元の能力がものをいうらしく、大抵は名前しか分からないとか散々な結果が頻繁らしく、使う者が滅多にいないという。

むしろ、スキルで得た『鑑定』持ちの方がちゃんと鑑定できるらしい。



さて、空間魔法の方は、短い転移が出来るようになったみたいだ。

 … 1メル(メートル)転移って、意味あるのか?

まあいいや。



取り合えず今日はラリックの街をゆっくり見て回る。


アビー達は街のすぐ傍にある村に出たというバッタみたいな姿の魔物を討伐に向かった。

大きさは犬ぐらいあって、風の魔石が取れるので人気がある。

ただし大して強くはないが、数が多いので嫌がる冒険者も多い。

心配だけど、ザックさんがついているから大丈夫だろう。


俺は昨日ギルドでダンジョンの下調べを終えてから、こっそり隠微で街を出た。

例によって【隠れ家】を出すためだ。

風呂とトイレ、快適な一人住まい、やっぱ普通の宿じゃ無理!

風呂は高級宿でないとないからな。、


そう言えば、この世界のトイレは中世の地球よりかはちゃんとしている。

水道は無いが、下水道はある。

処理も魔道具を駆使して浄化脱水泥土化燃焼灰化となっている。

すげーやユリウス、あんたの仕業か。

え、何々?

これも遺跡の記述を参考にしてる?

成程。

ちなみに【隠れ家】のトイレの行先は亜空間に吸い込まれているそうだ。

そして村や小さな街程度だと、先ほどの下水道やその後の処理工程はない。

俺の故郷の村もなかった。

トイレ壺が溜まったら、肥溜めに移動である…

カルナの街には辛うじてあったんだけどね。



【隠れ家】で寝起きした後、隠微でまたこっそり街に入った。

こっそり使ってる俺が言うのもなんだけど、これ悪い奴が使ったらヤバイな。

と思ったら、悪意の者の隠微は索敵で赤い点で摘出される。

街中は定期的に赤い点の隠微を摘発する為の索敵が門衛達によって成されるらしい。

悪意のない者の隠微は御目こぼしと言ったところかも。



ラリックの店々を見て回る。

おお、魔道具の店がある。

神殿もあるんだな。

これなら、ダンジョンでの怪我も、ある程度安心かもな。

そして、お目当ての店を見つけた。


〔腹ペコ亭〕


ここか、分かりやすい名前だ。

扉を開けると、まだ昼前なのに繁盛してる様子である。


「いらっしゃいませ」


白いエプロンを付けたミアさんが笑顔で迎えてくれる。

いやあ、良い店ですな。


「こんにちは、寄らせてもらったよ」


「来てくれたのね、アロイス君」


「お勧めはある?」


「日替わり定食はお得な値段で肉野菜炒めとキッシュ、スープ、特大パンのセットよ」


「美味しそうだね、じゃ、それで」


了解したミアさんが栗色のポニーテールを翻し厨房に入っていく。

そんなミアさんに見とれてる奴も少なくない。

白いエプロンって、なんであんなに可愛いんだろう。

長居はできないが、せっかくだから通わせてもらおう。


ミアさんとは、カルナからラリックへ向かう乗り合い馬車で知り合ったんだ。

彼女は、カルナの大きな商家に、半年間行儀見習いに行ってたそうだ。

これっていわゆる箔付けというやつで、一種の花嫁修業みたいなものらしい。

比較的裕福な食堂のお嬢さんだから、そんなことも出来たのだろう。

裕福な街娘の間では流行っているんだと。

花嫁かあ…花嫁姿のミアさん、美しくて可憐だろうなあ…


おっと、注文が来たぞ。

じゅうじゅうと熱々の肉と野菜の旨味が口の中でとろける。

生クリームと卵とチーズのキッシュも絶品。

大きなライ麦パンは固いがちぎってスープに浸して食べれば問題ない。

美味かった、満足だ。

そう伝えたら、茶色の飴玉みたいな大きな瞳をキラキラさせて笑顔をくれた。


17歳、俺より5つ歳上なのに、可愛いなあ。


名残惜しいがお礼を言って勘定を済まし店をでた。


この後は、ひやかしで覗いた武器屋で、思いがけず杖を購入してしまったり、

薬剤店でポーションを購入したりしていた。

収納にポーションはまだあるのだが、値段や性能を見てみたかったからだ。


うん、今日一日有意義に過ごせた。

明日はダンジョンだ、腕がなる!

さあ、【隠れ家】に帰ろう。

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