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冒険者家族とダンジョンの情報

乗り合い馬車の行程は恙無く進んでいる。


カルナからラリックまでは距離も短く、魔獣や盗賊の出没もほぼ無いという安全なルートなんだそうだ。

しかし乗り合い馬車の護衛は、危険安全関わらず付けるのが決まりなのだと言う。

だから素行に問題が無いという例の女冒険者達のパーティーは、リーダーの信用も高い為、この区間専属の様な状態で雇われているらしい。


「このルートの護衛に付けるのはラッキーなんだ。

まあ、あたしらの隙間に他の冒険者も入るんだけどね」


そう言って笑う前述の女冒険者はアビーという。

あれから気安く喋れるようになった。

夜の見張りの前に少ない時間だが駄弁ったりしている。


「楽な上に費用も、乗り合い馬車のギルドが保証してるから、受け取り額も安定してるしな」


俺達の会話に加わった中年のベテラン冒険者風のこの男はアビーの父ちゃん、パーティーのリーダーだ。

父娘で冒険者をやっているのだ。

いや、父娘どころか、後の二人もアビーの兄と弟で、家族でパーティーを組んでいるのだという。

仲が良いようで羨ましい。


「明日にはラリックだけど、アロイスはダンジョンに行くんだって?」


「ほう、ダンジョンか。

下調べを入念にしてからじゃないと危ないぞ」


「アビーやザックさん達はダンジョンには行ったんですか?」


俺の言葉に二人は首を横に振った。


「初級だってみんな舐めてかかるけど、雑魚だって囲まれたらヤバイし、食料や水、回復薬、準備だけで費用だって護衛依頼の倍かかるから、採算取れるか分からない。

父さんは銀カードだけど、あたしやフランツやコードは銅カードだしね」


ギルドの等級は4つしか無い為か、鉄から銅は比較的簡単だが銅から銀、銀から金は中々なれないと言われている。

家族で働くなら手堅い仕事の方がいいのだろう。


アビーの知り合いの冒険者はダンジョンで亡くなったそうだ。

それでも行こうとしている俺に二人は色々情報をくれた。



ラリックの初級ダンジョン

階層:7階まである。

   5階と7階にボス部屋があるそうだが、詳しい話はあまり出回ってないそうだ。


出没する魔物

   1階:スライム

   2階:ゴブリン

   3階:コボルト

   4階:魔オオカミ

   5階:オーク(ボス部屋・オークソルジャー複数?)

   6階:魔ベア

   7階:オーガー(ボス部屋・??)


傾向:魔法攻撃は無い。物理攻撃が主。罠の報告は無い。


「なるほど、情報ありがとうございます」


「俺らの情報だけでなく、自分でもギルドの資料室で調べたりするんだぞ。

アロイスは魔法師だそうだが、『索敵』は出来るのか?」


『索敵』は魔力を広範囲に飛ばして周囲の敵を感知する魔法だ。

これは魔法が使えなくてもスキルとして生やして使ってる人もいる。

魔法が使えなくても、魔力は皆持ってるので使用できるからだ。


「100メル(メートル)範囲くらいならなんとか…」


「そうか、たいしたもんだ。

なら大丈夫だな」


「父さん、アロイスはアイテムバッグ持ちなのよ」


「ワハハハハ、将来有望だな。

アビーの婿になるか?

ん? お前歳幾つだ?」


「じゅ、15です…」


やばい、2歳半サバ読んじまった!

焦る俺だが、アビーも顔が真っ赤だった。


「もう父さん。

何言ってんのよ!」


「お前も15だし調度いいじゃないか」


この後親子でわちゃわちゃやっていて、年齢詐称を突っ込まれることはなかった。

ほっ

 … え、アビーを嫁に?

遅れて赤面するもフードを深く被って顔を隠す俺だった。



明けて4日目の昼過ぎ、無事ラリックの駅馬車停に到着。


正志が脳内で、魔獣の襲撃は?盗賊の襲撃は?テンプレがーと、騒いでいる…

馬鹿者!何もないのが一番に決まってんだろが。


乗客から毛布を回収し、笑顔で皆と別れた。

ミアさんも、お店に食べに来てね、と手を振ってくれている。

俺はアビー達親子がギルドに報告に行くというので、資料室を見るため同行することにした。

彼らの家はカルナにあるそうだが、カルナからラリック間の馬車の護衛を主にやっているので、護衛の合間にラリックでも簡単な仕事をするそうなのだ。


ラリックはカルナの街より大きい。

多分ダンジョンがあるからだ。

アビー達と一緒に冒険者ギルドに入ると、窓口横にある飲食コーナーで、早くも酒盛りしてる連中がいた。

大きいギルドはこれが普通だそうだ。

素材や魔石、ドロップ品で儲けたのかもな。


当然だが、カルナのギルドで懲りた俺は認識障害アイテムは付けていない…


それを嘲笑うかのように、



「おいっ」


後ろからいきなり肩を掴まれた。

振り向くと俺より縦も横も大きい戦士職風な奴だった。

なんか言い返す前にアビーがそいつに怒鳴り返す。


「ちょっとロブ、やめてよ。何いきなり絡んでんのよ」


「だってようアビー、お前の傍に変な奴がいるからよう」


「言いがかりでしょ、ほら謝んなさい」


「わりぃ…」


偉そうな割にはアビーの前では叱られた犬みたいになっている。

ザックさんもフランツやコードも生暖かい目で見ている。

ロブという奴はアビー達 兄妹弟(きょうだい)の幼馴染らしい。

一応挨拶されたが、なんか敵認定されてるっぽいし関わりたくない。


やっとギルドで絡まれるテンプレきたな!と、脳内で喜ぶ正志を無視して、俺は2階の資料室にむかった。


テンプレいらんわー!

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