第五話「近づく翠の双眼」
またいつもの夢を見た。
私は暗闇で一人、ポツンと佇む。
そして、遠くの方で金色に輝く何かが見える。
でも、いつもと何かが違う。
……ズシッ……ズシッ
金色のそれは段々と近づいてくる。
まばゆい光に、私は思わず顔を顰める。
「もう……すぐ……」
金色の何かがそう呟く。
(えっ……?何て言ったの?)
私は目を細めながらも、その金色の何かに視線を向ける。
ーードクンッ
金色の何かの中に、美しく輝く翠色の双眼が確かに見えた。
「あなたは一体……」
私がそう発したと同時に、眩い光に包み込まれてそれは消えていった。
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またいつもの朝がきた。
昨日の夢の声が妙に頭の中に残っている。
(なんて言ってたんだろう……)
そんな事を考えながら朝食の味噌汁を口に運ぶと、視線を感じる。
「じいちゃん?どうしたのそんなに見つめて」
私は少し困ったように微笑む。
「…ん?ああ、すまんすまん。ついな」
(この前から何なんだろ)
そんな事を考えながら時計に目を向けると、時刻は7時50分。
「やばい!遅刻する!」
私は残りの味噌汁を一気に飲み干すと、急いで身支度を整えて玄関へと駆けていく。
(急がないと…)
急いで靴を履き鞄を持つと、そこにじいちゃんがやってきた。
「サラ……昨日も言ったが、今日は真っ直ぐ帰ってくるんじゃぞ。寄り道はいかん」
「もー、分かってるって!じゃあ、いってきまーす!」
そう言って、私はいつものように学校へと向かった。
そんな私の姿を、じいちゃんが物悲しげに見ていたとも知らずに――
「いよいよ今夜か。お願いじゃ。どうか…どうか何事もなく夜が明けますように…」
謙信は天を仰ぎ、そう呟いた。




