第十二話「元の世界に戻る方法」
「サラー。
今日はこの辺にしてもう休もう」
ミラにそう呼ばれ、私は草むしりをしていた手を止めてゆっくりと立ち上がる。
「はーい。あと、この辺だけ終えたら戻ります」
私の言葉に、ミラは手を振って返事をし小屋の方へ戻っていく。
目を覚ましてから二週間が経ち、ここでの生活にも少しずつ慣れてきた。
そしてわかった事が沢山ある。
まず、この国は日本と同じ朝には太陽が昇り夕方には沈む。
そして、夜には月が顔を覗かせる。
時間の感覚も一緒。
時計はないけど、私の世界でいう砂時計のような物が存在する。
一時間に一個、瓶の中に入っている星屑が落ちていく。
この世界には、魔法というものが存在するらしい。
でも、誰にでも使えるわけではない。
魔法を使えるのは、基本的には王族や、それに近しい一部の貴族。
ごく稀に市民の中にも魔法を使える人がいるらしいけれど、とても貴重な存在なのだという。
魔法を使える人間は多くが宮廷に入り、国のためその力を使う。
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夕食を食べ終え、私とシンバはこの世界のカードゲームを楽しむ。
その間、ミラは家の事を済ませる。
「スー……スー……」
遊び疲れて眠ってしまったシンバをベッドに運ぶと、ミラは私にホットミルクを入れてくれた。
小さな食卓に向かい合って座るミラと私。
「サラ。
明後日、ヴァルモン家に薬草を納めに街にいく予定なんだ。侯爵夫妻はとても優しく、困っているお前の力になってくれると思うんだ。
一緒に行かないか?」
ミラにそう言われ、私の心は揺れた。
何か知っている事があれば教えて欲しい。
でも、貴族っていい人ばかりじゃないよね?
私の知っている知識では、権力のある人間は時に自分の利益のために残酷になる。
怖い。
「……もしかしたら、元の世界に戻るための知恵を貸してくれるかも知れない。
ヴァルモン侯爵夫人は王族出身の方。星の魔法も使えるはずだ」
その言葉を聞いた私の答えはもちろん決まっている。
「お願いします。私を、街に連れて行ってください」
日本で待っているじいちゃんに会うために――。




