第十三話「初めての街」
翌朝、私たちは朝日が昇ると同時に小屋を出発した。
「これは、お昼に食べるパンだよ。
サラ、持っていてくれるかい?」
そう言ってミラは麻でできた巾着袋にパンを3つ入れて私に手渡した。
森を歩き始めて一時間くらい経ったであろうか。
やっと少し舗装されたような小道に出た。
小道に出てからもしばらく歩いた。
すると、目の前に開けた場所が広がった。
そこには、一頭の馬に引かれた木造りの馬車が停まっていた。
屋根なんて物はなく、後ろには木箱のような荷台が付いているだけ。
馬の側には、初老の男性が1人立っていた。
「ダンさん、いつも悪いね」
「何、ワシも街に行く用があるからね。
それに、困った時はお互い様じゃ。
……ん?後ろにいる娘は誰だ?初めて見る顔じゃの」
ダンと呼ばれたその初老の男は私の方へと視線を向ける。
「ああ、この子はサラ。森で倒れているところを見つけた。
どうやら、ここから遠い国からやって来たらしい。
侯爵様に知恵を貸してもらおうとね」
「サラです。よろしくお願いします」
私は深く頭を下げた。
「ああ、ワシの名前はダン。
ミラとは、昔からの付き合いじゃ。
侯爵様は心優しいお方。きっとお前にも手を貸してくれるじゃろう」
そう言ってダンは目を細めて笑った。
その優しい笑顔に、私は日本にいるじいちゃんの姿を重ねた。
じいちゃん、ちゃんとご飯食べてるかな?
元気かな?
絶対に、帰る方法見つけるから待っててね。
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ガタンゴトン
馬車と呼ぶにはあまりにも簡素なそれは、小道をガタゴトと進んでいく。
幸い、私は三半規管が強いのでガタゴトと揺れながら風を切るこの乗り物はとても気に入った。
少しお尻が痛いのは目を瞑る。
どれくらいの時間が経っただろう。
目の前には大きな城壁が見える。
ダンさんは城壁の前に立つ門番に紙のようなものを見せると、そのまま通してくれた。
その瞬間、目の前に広がった光景に、私は思わず息を呑む。
(ここが、エトワールの街……?)
レンガ造りの舗装された道。
両側には市場のようなお店がたくさん並んでいる。
「いらっしゃい」
「安いよ〜」
市場はとても賑わい、お客さんも沢山いる。
そして、何より街の人々のキラキラとした笑顔が印象的だった。
それだけでこの街の領主の人柄がわかる。
「じゃあ、また一月後にな」
そう言ってダンさんは去っていった。
ここからは歩いて行くらしい。
私は、初めて見る周りの景色に浮かれながら街を歩き続ける。
しばらく進むと一際大きな屋敷の前にやってきた。
「ここがヴァルモン侯爵様のお屋敷だよ」
そう言ってミラは門番の人に挨拶をして中に入っていく。
「すっ……凄すぎる……」
そこは屋敷というよりも城だ。
ミラとシンバは慣れたように進んで行く。




