第十一話「星に守られしエトワール国」
男の子は、ミラという女性を連れてきた。
ミラはたくさんの事を私に教えてくれた。
男の子の名前はシンバ。
ミラは三年前に夫を亡くし、ミラの亡き両親が住んでいたこの小さな小屋にシンバと二人で住んでいる。
森には湖、川、木の実が沢山あり、小屋の裏には小さいながらも二人暮らしには食べる物に困らない程度の畑がある。
ミラは薬草にも詳しく、薬草を集めては月に一度街に降り薬草を侯爵家に納める。
この土地はヴァルモン家が代々治めている。
ミラの亡くなった夫は、ヴァルモン家で庭師をしていた。
ヴァルモン侯爵夫妻は、とても情に厚く夫が亡くなったミラとシンバをずっと気にかけてくれる。
この森は食べ物には困らないが、生活には洋服や用具などが必要になる。
薬草を侯爵家に納めることで、必要になる生活品を買っている。
そして、もう一つとても大切な事を教えてくれた。
この国はエトワール国。
ペガサスを守護神とし、星の魔力が降り注ぐ国。
そう、私は遠く離れたこの国。
エトワール国にどんな運命なのか、やってきたのだ。
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「サラ、もうお腹は空いてる?元気になる秘訣は、まず食べて寝る。それに限るよ」
そう言ってミラは私に食べ物を運んでくれた。
温かいスープとお世辞にも美味しいとは言えない硬いパン。
でも、この暮らしを見る限り精一杯おもてなしをしてくれるのがわかり私の心は熱くなる。
「ありがとう」
私はスープを一口飲む。
野菜たっぷりのそのスープは、ほのかな塩味とミルクの味を口の中いっぱいに広げていく。
きっと、ここではミルクも貴重な物なのに。
それを見ず知らずの人間に与えてくれるこの親子には心から感謝している。
そして、この世界で目を覚ましてから五日。
私には不思議な事がある。
見るからに日本とは異なるその世界。
なのに、私には言葉が理解できる。
そんな中でも、私の心には日本に置いてきてしまったじいちゃんの姿がある。
あの時のじいちゃんの顔が忘れられない。
そして――
じいちゃんはあの時なんて言おうとしていたの……?




