表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/215

文化祭 最終日 その87


 約束の時間になったので、校門の方で待っていると、花田さんと森野さんがやって来た。

 花田さんは、さっぱりと髪を切られていて、カジュアルなスーツを着ている。あの、ニートな雰囲気は無いが、太っている事には変わりない。


 森野さんは、普通の活発な中学生だ。ダブダブな原色に大きなキャラクターを描いたパーカー。あの魔法使いなコスプレはなんだったのだろう?

 俺には分からないが、多分このぐらいの子が読む雑誌には、こんな服装のモデルさんが写っていそうな。そんな服である。


「お久しぶりです」


「やあ、久し振り、本当に高校生なんだ」


「わあぁ、あんな勇者が、本当にただの高校生なんだ」


「何もしていませんよ。全部、妖精達が自分でした事ですよ」


「いやいや、謙遜をして良いレベルじゃないよ」


「瀬戸山さんは、今はよそのクラブにバイトに行ってるので、そっちへ行きましょう。顔を見ると喜びますよ」


俺は、二人を写真部のブースに連れて行く。


 教室に入ると、写真集の販売とサイン会と一緒に写真を撮れるブースを一周するようになっている 。

ここでは、魔法使いと一緒に箒に乗って、写真を撮れるのだ。


 俺は、二人に一冊づつプレゼントして、瀬戸山さんの列に並ばせた。


「ああ、ハヅキー!」


森野さんが瀬戸山さんに手を振って、跳び上がって喜んでいる。


 これぐらいの子は、表現が豊かだ。


 瀬戸山さんがこちらに気付いて、小さく手を振っている。


 花田さんの目が、栃原先輩と蘇我さんに釘付けになっている。

 そりゃそうだろう、俺だって綺麗だと思うし、可愛いと思うもの。


二人を瀬戸山さんと撮影する列に並ばせて、俺は下がって見ている。


 森野さんと花田さんの二人は、教室の中とは言え、空飛ぶ箒に乗る事は初めてらしく、バランスを取るのを苦労している。体がぐらぐらと揺れるので、箒もふらふらと動くのだ。


(そりゃ、大抵の人は、箒に乗らないからな)


「キャーッ! はづきぃ〜!」

森野さんが、瀬戸山さんに抱きついたり、テンションアゲアゲで喜んでいる。


(箒って、そんなに楽しいのか?)


「ちょっと、そこで待ってて」


瀬戸山さんが言ってきたので、三人で待っていると、みんなを読んできてくれた。


「一昨日、行ってきた精霊界での友達」

「花田さんと森野さん」

「二人は、勇者として呼ばれていたんだよ」

と二人を紹介している。


 俺を除く、全員で集合写真と残り三人のサインを貰って、写真部を出た。


 瀬戸山さん達は、まだ仕事が残っているので、続きも俺が案内する事になった。


喫茶店の模擬店に入って、少し話をした。


「なんか、夏休みに魔女のカッコして踊ったら人気出ちゃってさ。今じゃ、学園のアイドルみたいになってるよ」

「この学校は、魔法学科が有るから、魔法を使える生徒は結構いるのにね」


「ええ? 魔法学科ってあるの?」


「ああ、2クラスまであるから、結構いるよ」


「勇人も?」


「ああ、俺も魔法学科だけど、魔法は使えないのにね、なぜか入学できたんだ」


「使えなくても入学できるの?」


「学門として、教えてはくれるらしいが、実技の点数はつかないよ」


「私も来たいなぁ。寮って有るのかなぁ?」


「スポーツ科の奴らは、他所から来て、寮に入ってるけどね」


「受けてみようかな?」


「ああ、親に相談したらいいのじゃない? 遠いの?」


「秋田」


「……と、遠いね……。」


「こっちは、花田さんが居るし」


(こいつはニートのロリコンだろう。大丈夫か? 真性なら、高校生になれば安全だろうけど。ただのオタなら危ないだろう)


「あはは、本当だね」


(お前が危ないんだって)


「花田さんはお近くなのですか?」


「ああ、町田なんだ」


「町田のおばさんの?」


「おう、いつでも見舞いにきてくれよ」


「町田のおばさんって誰? 病気なの?」


森野さんが不思議そうに聞いてくる。


「「あはは」」


(やっぱり、あぶねぇじゃねぇか!)



 次に、三人で二年生がやって居るメイドカフェに入った。

 食事はのメニューはカレーとオムライスしかない。文化祭のブースのメニューだから仕方がない。


 オムライスには、一応、お約束でハートを書いてあり、愛情を注入してくれている。


あと、カフェアートという物をして貰って、三人で遊んだ。



 午後からのダンス部の演技を見に体育館に行き、割といい場所を確保した。まあ、整理券をダンス部から横流しして貰ったのだけど。一応、俺も功労者だからな。

 ダンス部のダンスに「witch sisters」が参加しているのだ。


 本日の最終回の公演だ。文化祭も最終日なので、もう「magic girl」の予定は無い。はず……。

今日が見納めになるのだ。


 音楽が鳴り、ダンス部の演技が始まり、四人が登場する。

会場は、やんやの大騒ぎになるが(森野さんなんかは椅子の上に立ち上がっている)、やはり、四人は踊りが下手なのだ。

 場数をこなし、ダンス部のメンバーが上手くなっていくので、余計に目立ってしまう。


 箒に乗って飛び去るシーンで、箒から各自のカラーの光の尾を牽いて、星を飛ばしている。この演出は知らなかった。

そして、バク転したり、螺旋状に飛んだりと体育館の中を自由に飛んでいる。どうやら、最後のお別れ公演の演出らしい。

 我々の真上を通過するとき、瀬戸山さんの耳の辺りがキラリと光ったのを勇人は見逃した。


 文化祭はあと二時間有るのだが、あとの出し物をする連中が可哀想になる。


「うわーっ、綺麗! たのしぃー!」

森野さんが感激して、両手を振ってアピールしている。


(きっと、向こうからは見えて居ないと思うぞ)


「私、絶対、魔女になる!」


「うん、有希ならなれるよ」


(何を盛り上がってるんだか。もう、魔法使いだろうに)


「何を勉強すればいいんですか?」


「んん? 俺に聴く? 待っときな」


 俺は、桐崎に電話をして、校内コンビニまで来てもらう約束をした。


 そして、俺達もコンビニの方に移動した。


「ああ、ごめん。この子に魔法の勉強方法を聞かれて」

「何か見繕ってあげて」


「その格好、お前もダンス部の演技に出てたの?」


「出てたよ。靏見と一緒にね」


(悪いことしたなぁ。全然、気付かなかった)


「気付かなかったよ」


「いいよ。みんなそうだから」


「で、この子に本を選ぶんだね」


「頼むわ」


桐崎は、「コモンマジックスペル大全集 上・中・下 」と「よく分かる魔法陣の書き方」と「楽しいチンカラホイ(すぐ出来る付録付き)」を選んでくれたので、その五冊を買って、プレゼントした。


「こんな高い物を有難うございます」と言ってくれたが、本当、結構な値段になった。


 この時、水を一本買って、鞄に入れておいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ