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決闘に打つ手なし その73

 なんとなく魔法の弱点は見つかったものの、決定打が無かった。

桜木は魔法の素質も魔法道具を使う素質も無かったのである。

 桜木は、たんに、オカルト好きのオタだったのだ。ビデオカメラの事は詳しかったのに、残念だった。


 万事休すとはこの事か? 彼を守る事は出来ないのだ。それで、俺は桜木を救護することに決めたのだった。良い奴だったのに、惜しい友人を無くす事になろうとは。


 一応、二人で合気道部に行って、礼節は良いからと失礼なことを言って、技術だけ教えて貰った。

 桜木が達人になる事はないが、杖で戦う事に慣れてもらう事にした。


 杖術は、突きと払い、受けの三つの動作を習った。

 剣道の面のように振る動作は、目が慣れている事も有り、動きが見えるのだ。が、突きの動作は、杖や竹刀の先端しか見えず、距離や移動速度を判断し難いのだ。あれを払えるのは、彼等が慣れているからだけである。素人には、無理な話だ。気が付けば突かれているだろう。

だから、これらを特訓した。


 あと、桐崎や蘇我さん達に頼んで、光弾の避ける練習を行った。

光弾は魔法攻撃の中でも弾速が速いので、これで避ける練習を行った。

 それに、蘇我さん達は、無詠唱で連射してくるのだ。これが避けられる様になれば安心なのだが。


 特別な対処法がないまま、中間考査が終わり、文化祭がやって来た。


 流石に放って置くわけにいかず、サザンに頼んで、魔法用紙に蘇生と急速再生の魔法を作ってもらう。それとは別に、医療用トリコーダにも入れておく。


(桜木! これで、いつ死んでもいいぞー!)

 

あと、魔法看破も用意する。金田部長に不正をさせない為だ。


「サザン、何か方法はないのかね」


「私の魔法の知識は、勇人の知識なので一緒ですよ」

「魔法道のルールでは、魔力も武力も無い者は勝てません」


「そりゃそうだよな」



 文化祭の俺たちの組の出し物は、創作ダンスだった。初日に、体育館で行われる催しに参加していた。俺はハブられていて、大道具制作係で、当日は仕事が無かった。


(おいおい! 普通は全員参加だよね?)


「witch sisters」達は、写真部でサイン会+写真撮影をしている。

 写真集を買うと、サインをしてもらって、空飛ぶ箒に二人で乗って写真を撮って貰えるのだ。勿論、4人との写真をコンプリートするには四冊買わないといけない。ぼったくり商法だ。


 後ろの背景は全紙6x6枚で空の背景を作ってある。二人で空の散歩をしているように写るのだ。

 富士山、西洋の城、横浜港、鎌倉、江の島などがあり、自由に選べるようになっている。

そこは、さすが写真部、データとプリンターは使い放題だ。


 魔法部の「魔法の喫茶室」は、残念ながらいまいちの入りだった。確かに、主役が居ないんじゃしょうがない。


 当日の仕事もないので、そろそろ、桜木救出の準備に入る。

救出と言っても助け出す訳じゃない。たぶん、殺された後に救護するだけだが。


 俺は、誰も使って居ない校舎の屋上に行き、シャトルを出した。


 その時、体育館の方から凄い歓声がした。ダンス部の「magic girl」が始まったのだろう。「wicth sisters」も参加しているので、凄い人気なのだ。

 他校や校外からも見学者がいるぐらいだ。

 整理券を配って、三回公演になっている。その日の朝に配布される整理券が奪い合いなのだ。その内、ダフ屋が出るんじゃないかと言う勢いだ。


 屋上への扉は鍵がかかっていた。そこで俺は扉の内側から、転送シートで屋上に転送して出たのだ。

 予め、転送シートにコミュニケーターを貼っておき、自分を屋上に転送させ、シャトルを出して、シャトル内から転送シートを回収したのだ。

 本当、魔法の使える奴が羨ましい。「アンロック」の魔法で済む話なのに手間がかかる。


 使って居ないのは屋上だけで、校舎は普通に使かわれている。階段で普通に扉の内側までは行けるのだ。

 我が校の校舎の屋上は、使って良いところは高いネットが設置してある。飛び降り防止用と落下物防止用のネットだ。

 女子校時代は、屋上でバトミントンやバレーボールなどをする生徒がいたのかもしれない。今は昔の話だ。

使っては行けない屋上は、出入り口の扉が施錠されている。

 こんな所に来る生徒は、ドラマの不良とその彼女ぐらいだ。普段は、全く人気がない。


 俺はシャトルに乗り込み、リアゲートを閉める。光が入らない為に真の闇と静寂の空間だ。妙に落ち着くが、作業を進めなければ行けない。


「コンピュータ、照明を。あと、エルミネーター起動、エアコン起動」


「了解しました。」


女性の声で返答が返って来る。


「コンピュータ、シャトルを1cm上昇、扉の手前の階段まで10cmの位置まで付けて着地」


屋上の扉には、雨が降った時に雨が流れ込まないように、一段から数段の階段を付けてある。そのぎりぎりまでシャトルを寄せたのだ。


 扉の向こうの転送シートを回収しておく。転送シートを転送して回収するのだ。

何かおかしくて、一人でニヤついてしまう。


 シャトルのレーダーを使って(中身はトリコーダと同じだ)、魔法道のコートと保健室の座標の確認と登録を行っておく


 シャトルの電源は入れたまま、俺は、自分を地上に転送した。エルミネーターと言えばかっこいいが、要するに発電機だ。市販の発電機からエンジン部分を外して、魔法機関をつなげてある。


 魔法機関というのは、先人達にも魅力的だったらしく、「魔法の馬車」や「魔法の粉挽き臼」など文献を開けばすぐにでて来る。

 そのうちの小型のやつを採用し、発電機に付けたのだ。


 さあ、桜木を探さないと。


 写真部に行くと、栃原副部長、蘇我さん、瀬戸山さん、秋山さんが居たので、栃原副部長と瀬戸山さんにコミュニケーターを渡すと、自分達にも寄越せと蘇我さんと秋山さんも言ってきた。

 いやいや、なんか甘い食い物だと思ってるのか? 良いけどさ。


 さて、桜木を見つけないと行けないんだが、居ないんだわ、これが。

オカ研にもダンス部にも映研にも居ない。結局、俺は見つける事はできなかった。


 まあ、居無い物はしょうがない。

 気を取り直して、俺は、お昼のお弁当を教室で食べている。いわゆるぼっち飯だ。


(だけど皆んなどこに行ったんだ?)


 この時、俺は、クラスメイトが体育館で、創作ダンスを発表しているなんて、夢にも思っていなかった。

向こうも、出番のない俺には用事がなかったのだろう。誰からも声がかからなかったのだ。


 脳の活動は、糖分を大量に消費するんだ。ちゃんと飯を食って、血糖値を上げておかないと行けないんだ。と俺は一人で主張して、昼飯を終わらして頂きます。はい。


 さて、桜木が見つからないので、直接会場に行って待つ事にした。

ここには必ず来るしね。

また、ブックマークをして頂きました。

ありがとうございます。

まだまだ続きますよ。



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