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何か怪しい違和感 その67

 俺は、横浜のデパートに買い物に来て居た。

瀬戸山さんの誕生日のプレゼントを買いに来ているのだ。


 そんなに高いものは買えないので、真珠のピアスにした。

身に付けていてくれる物が良いと思い、装飾品にしたのだ。

大きさは大体同じだが、色と質によって値段が違うようだ。


 俺には解らない分野なので店員さんに相談して、若い女性に人気の真珠のピアスにしたのだ。


 流石に高校生なので、そんなに高価なものは買えないのだが、小粒でもおしゃれなものを身につけて欲しいのだ。


 ピアスを買って、後の時間、今度のデートの参考にしようと繁華街を歩いて居た。

若い女性に人気の店などをチェックして居たのだ。


 その時、女の子達の集団とすれ違った。勇人には認識出来ない事柄だった。単に、前から来る通行人だったのだ。すれ違う女子など見ていなかったのだ。


「あれ? 商業の藤波さんですよね」


 突然に後ろから声をかけられた。


 はて、他校の女子高生に知り合いはいないはずだがと思って振り返ると、相模川高校の白本さんだった。


「ああ、お久しぶりですね。あの時はお世話になりました」


「すっごーい! こんなところで出会うなんて奇跡かしら」


「キャー、シロッチ、だれー?」


「こないだ樹海に行った時に、助けてくれた商業の人」


「あ、どうも、相模原商業の藤波と申します」


「かたーい」

「まじめー」

「おっかしいー」


(こいつら、どんな集団だよ。初対面だぞ。挨拶も出来ないのかよ)


「よかったら、一緒にお茶でも飲みませんか?」

白本さんがお茶に誘って来た。


「すいません、用事があって、急ぐので失礼します」


 その時、白本さんが俺の左手をとって、腕に抱きついて来た。


「私、水族館に行きたいなぁ」


(ああ、可愛い子だ。一緒に水族館に行かないとね)


 俺は、白本さんと一緒に水族館に行くことを考えて居た。


「あはは、シロッチやルゥー」

女の子たちが囃し立てている。


「私、藤波さんの事、前から好きだったんだ」


「僕もだよ。初めて見た時から気になって居たんだ」


(確か、魔法道の大会で押さえ込んだんだ。その時に柔らかいものが触れて……。)


 そのままフラフラと八景島に行く為に、駅に向かって歩いて居た。

白本さんと一緒に居れる事が大切なことに思えていた。

今のこの幸運なひと時を逃してはならない。そう感じていた。


 横浜から新杉田、八景島に向かう中、白本さんがとても大切な人のような気がしてならない。


 俺がシーパラダイスの料金や食事を奢って、彼女達は上機嫌だった。白本さんも喜んで居たし、この笑顔が素晴らしく幸せに感じて居た。


 結局、夜まで水族館や遊園地で遊んで居た。とても楽しいひと時が流れて行った。


 横浜線で他の子達と別れて、白本さんを彼女の家の最寄駅まで送って行く。

 車内ではラインの交換などしながら、他愛もない話で盛り上がっていた。

 周りには、週末の夜のけだるい雰囲気が流れている。


 電車を降りて駅の改札を抜けると、数段の下り階段がある。家路に急ぐ人の数も疎らだ。


 改札を出て、階段を一緒に降りたはずだったのに、降りてこない。人の気配がしないので振り返ると、白本さんが俺の身長に合わせて階段の上に立っていた。

顔の位置を俺に合わせて居たらしい。


 手を後ろに組んで、目を瞑っている。

 俺は、白本さんが可愛くて、愛おしくて、思わず戻って抱きしめてキスをした。


カシャ。


「二人だけの思い出だよ」


「ああ、好きだよ。愛している」


(この娘と出会うために、俺は今まで生きて来たんだ。ああ、この手を離したくない)

と思って居た。


 白本さんは、トントンと階段を降りて、腰のあたりを押して俺を階段の上に押し上げた。


「また遊ぼうね。バイバイ」


「ああ、またな」


 俺は、彼女が見えなくなるまで手を振って居た。いつも、瀬戸山さんにするように。


(あれ? 左手に、横浜で買った瀬戸山さんへのプレゼントの入った、お店の紙袋を持っている)


 俺は、急速に白本さんへの愛情の喪失感を感じた。「冷めた」という奴だ。


(俺は何をして居たのだろう? 浮気と言うには、もっと、真剣だった感情だ)


 一晩考えたが、自分でもよくわからなかった。

 彼女の事が愛おしく、好きだった事は確かだ。しかし、なぜ? 突然にそう思ったかがわからなかった。


 翌朝、蘇我さんに診て貰った。


「ちょっと、変な魔法を掛けられて居ないか診て欲しいのだけど」


 蘇我さんが手をかざして、短く詠唱して言った。


「全然、至って健康体ですけど」


「ありがとう……。」


(納得は出来ないが、魔法にはかかって居ないようだ)


『昨日はありがとう。楽しかったわ』


『また、遊びましょうね』


と白本さんからラインが来た。


『ああ、ありがとうございます。私の方も楽しかったですよ。みなさんにもよろしく』


と、差し障りのない返事を返しておいた。


 原因が分からないまま、数日が経った。


『この日曜日に、鎌倉の方に遊びに行きませんか?』


とラインが来た。


『塾があるので、忙しいのです。また今度誘ってください』


『あ、良いのかな? そんな事言って』

『この間の事、彼女さんに言っちゃおうかな』


一緒に、二人がキスしている写真が添付されて来た。


『いや、困るので、黙ってて下さい。何処で、待ち合わせますか?』


(よし、食い付いた!)


虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。俺が罠にかかったと見せかけて、逆に罠にはめるのだ。


 俺は防御策を考える。この間、何かされたのは事実なので、一度会って、何をされたのか、確認する必要があったのだ。


(何かの精神魔法だと思うのだが……。何だろう?)

しかし、俺には見当もつかなかった。


適当に、サザンに頼んで、銀の指輪を作り、エンカウンターと魔法防御、カウンターアタックを付与させて置く。

 エンカウンターは、何かの事柄が起こると、何かの魔法が発動させる魔法だ。普通は、弓矢を射掛けられると、防御魔法が発動する。と言うように使う。

 魔法防御は、読んでそのまま、魔法を防ぐ魔法だ。

 カウンターアタックは、防御魔法で、攻撃魔法をそのまま相手に返す魔法だ。ただし、その魔法を術者が知って居ないといけない。


 これを魔法用紙に書き、お守りに持っていくのだ。一回きりしか使えないが、十分だろう。

ありがとうございます。


ブックマークをして頂きました。


大変喜んでいます。




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