動画も撮るのだってよ その63
最後は、四人がポシェットから箒を取り出し、彼らの周りを飛んだり、交差しながらカメラの方に飛んできて終わる。
栃原副部長の胸が強調されていたり、蘇我さんの下着が見えそうで見えない演出はあるのだけど、概ね好評に撮影は終わった。
場所は、普段ダンス部が使っている体育館を使っていたので、背景とかは味気ないが、出来上がりはとても好評であった。
新学期が始まった時には、四人は人気者になっていた。
教室の入り口は、ビデオの本人を一目見ようと集まって来た生徒で一杯だった。その殆どが真里亞目的だ。
「ちょっと、藤波! 退いて!」
「真里亞、あんた凄いね」
「藤波、じゃまぁ。蘇我さん、怖く無いの?」
俺はやはり、クラスから浮いている。俺の側には瀬戸山さんが来て笑っている。
「お前ら、いい夏休みだったみたいだな」教壇から担任の山口先生が喋っている。
「全員席につけ!」
「夏休み中に羽目を外したものは、あとで呼び出すから」
「提出物を集めるからな!」
「先生! 俺、まだこのクラスですか?」勇人は山口先生に聞いて見た。
校長は、善処すると言ってくれたのだが。
「このクラスじゃ不服か?」
「進学クラスか、せめて二組にして貰わないと、留年します」
「大丈夫だろう。あれだけ活躍したのだからな」
(してねーし、魔法は使えないままだし)
ホームルームが終わると、栃原副部長と桜木と写真部と映研部長がやって来た。
PVと写真集を撮らせてほしいのだそうな。
魔法部に行ったら、金田部長に「うちとは関係が無い事だから、本人に言ってくれ」という事だったらしい。
「magic girl」と題した写真集を出したく、それの付録のPVのBDの撮影をしたいのだそうだ。
撮影させてくれたら、衣装も新調してくれるらしい。
(イヤイヤ、一体、衣装の新調って、誰得?)
靏見さんと桐崎は、手伝うが出演はしないそうだ。俺は、「塾があるから」と断ったら、「箒だけ貸せ」とのことだった。
(初めから、俺はハブられているじゃん)
俺の箒を、「持主固定」を外して、桐崎に預ける。
そしたら、後ろから「ちゃんと男子も手伝いなさいよ!」と怒られた。
この場合、男子は桐崎と俺だよな。ほんでもって、桐崎は手伝うと言ってるし、消去法で俺に言ってるんだよなぁ。
振り返ると、蘇我さんが俺を指差して怒っている。
(「男子も」って何だよ。女子も手伝ってるのかよ。自分達がモデルになるのを手伝えってか?)
「俺、塾があるんだけど」
「友達やクラスメイトがこんなに頑張ってるのに?」
「ウンウン」
周りで皆が頷いている。
(お前ら、荷物持ちが欲しいだけだろう)
強制的な選択肢のない話し合いの結果、 全員で行くことになった。
俺の飛行物は、内外装がほぼ完成した。電気は、市販のポータブル発電機を魔法の力で動かしている。エンジン部分を外し、クランク軸を魔法で回転させて居るのだ。LED照明ならこれで十分だった。
低速の飛行も可能だ。時速150km/h迄なら問題が無いが、それ以上速度を出すと振動する。形状がまるでコンテナの様で飛行できる形ではなかったので、後端の空気の渦で余計な力がかかり、それとは逆方向に魔法が修正をかけて、結局振動になるのだ。
対策は簡単で、航空機の形状と大きさにすればいいのだが、それだと雰囲気がぶち壊しなのだ。
九月の連休が撮影日だった。早朝に店を借り切っているらしい。全員が、何か飲食すればいいという事だったらしく、格安でと言うか、ほぼ無料で借りれたらしい。
毎度お馴染み、早朝の校門前。
オカ研は三名も参加している。
桜木と三年の宇陀部長と長身の部員「柳」。二人ともオタだ。
(って、三年て引退してねぇーのかよ)
参加した理由がすぐに分かった。
栃原副部長と蘇我さんだった。
参加すると、彼女達に近くで話せるのと、写真が撮り放題だったのだ。それで、無理に参加して来たのだ。本来なら、映研がいるので必要がないのだが。
写真部は八名。映研は30名。これには、エキストラは含んでいない。
演劇部、20名、これは、エキストラや色々な出演者だ。
ダンス部、40名。ほぼ、部員全員だ。
お互いには知り合いのようだが、桜木が、我々を順に紹介して歩く。
勇人は、背負子にいっぱいのアルミコンテナケースを背負い、両手に車輪の付いた巨大な旅行バッグを引いて駅に向かっている。
やはり、この為に呼び出されたのだと再認識していた。背が高い分、車を引くと腰に来るのだ。
背中の荷物は、オカ研の荷物だ。何の為に部長と同僚を連れて来たんだよう。俺に荷物持ちをさせて悪いとか思わないのだろうか?
荷物は、高画質カメラとレンズ。ドローンとそのカメラだ。
まずは、早朝の横浜へ移動する。
電車の中で、魔女の四人は、机上リハーサル中だ。
俺は手持ちぶたさだったので、一人車窓を見ていた。
しかし、一体何が始まるんだ? と言いたくなるぐらいの大所帯だ。
横浜に着くと、馬車道に有るカフェに行く。表に白いテーブルと白い椅子、緑や臙脂のパラソルを広げて、オープンカフェを作って行く。もちろん届けなど出していないので、ゲリラ撮影だ。
舞台になるオープンカフェの店の周りの店や貸事務所に別れて準備する。
舞台のセットを作っている間に、四名の化粧や髪のセットが映研のスタッフによってされて行く。
映研は、衣装さんやメイクさんを自前で持っていた。やはり、将来はそう言う関係に進みたいと、今から勉強して居るのだ。
栃原副部長が紫色の口紅、蘇我さんがピンク、秋山さんが赤、瀬戸山さんが緑色だ。
(ミドリって無いだろう。ムラサキも相当だけど)
四人が、おしゃれなオープンカフェで、パフェやケーキを食べていると言う設定で写真部の撮影が続く。
演劇部やダンス部が、他の客や通行人の役をしている。
俺達は仕事が無いので、休憩所に指定されたカフェの隅で休憩していた。
「お前暇なの?」一緒に休憩している桜木に聞いた。
「部長に追い出されてさ。仕事が無いんだよ。俺の発案なのにさ」
「人気がいっぺんに出たからね。真里亞は可愛いから」
靏見さんもカフェラテを飲みながら暇なようだ。
「あれだけのゾンビを倒した女の子が魔女の格好でダンスなんてあり得ないでしょう。そら、人気も出るよ」
桐崎は、自分の人気をさておいて、気だるそうである。
四人で、「「「「暇だね〜」」」」とお茶をしていたのだ。
バンッ! とドアが開いて、栃原副部長と蘇我さんとスタイリスト達の上級生が入って来た。
「今の間に、急いで着替えてちょうだい」上級生が栃原副部長に言っている。一人は、栃原副部長の服を脱がし出した。もう一人がトランクから服を出して、何パターンか準備をしている。もう一人は、化粧と髪型を直している。
手早く、ブラウスとキャミソールを脱がし、
「紫の色のが有ったでしょう。ブラウスから透けて見えた時に色っぽいからそちらにして」
と指示を出している。
男どもの口が、生唾を飲んで半開きになる。靏見さんは、展開についていけず目を見開いている。
腰回りに無駄な肉がついて居ない。かと言って筋肉質でも無く、肌は白く、限りなく柔らかそうだ。
胸は、立派な桐の箱に入った、贈答用夕張マスクメロンだ。
またお一人に、ブックマークして頂きました。
ありがとうございます。
この話はもう書いてありますが、今書いている話の創作意欲がわきます。




