表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/215

PV撮影って、何のプロモーションだよ その62


 桜木が、ネットに上げた動画が大好評だった。


 桜木がゾンビに襲われて、カメラのピントが合わなくなるぐらい迄超接近して、勇人にに引っ張られて助けて貰ったり、金網越しに、勇人がドライバーで相模川の生徒を倒すシーンは迫力があった。

 そして、バス前の会話で、「腕を切りおとせ」と言う非情な覚悟、そんな彼が憧れる女性がチラチラと映ると、これがまた、超綺麗な女性。

 蘇我さんも、胸は無いし背は低いが、顔は超可愛いのだ。その彼女が凄い魔法使いなのだ。もう15歳ながら、魔法少女と言ってもいい風貌だ。人気が出ない訳がない。

 ゾンビの盆踊り大会の結界の中から撮った映像に、人々は恐怖した所で、魔法少女が全滅させたのだ。

 視聴者の精神の緊張と緩和がバラランスよく編集されて居た。

 施設に救助に向かうと、桐崎の石川五右衛門ばりの居合抜き。文字通り、ゾンビが真っ二つにされて行く。そして、田崎副部長の愛しい人の死に対する情の涙。真里亞の非情な魔法攻撃。

 そして、救助された生徒とハッピーエンドの帰還。


 まるで、映画を見ているような展開で、瞬く間に閲覧数が増えた。



 そこで、オカ研と桜木が調子に乗った。


 魔法部の栃原副部長、瀬戸山さん、一年一組の蘇我さん、秋山さんを使って、PVを作ろうと目論んだ。

靏見さんには、強く断られ、桐崎が怖かったので強く出なかったのだ。


 魔法部の栃原副部長、瀬戸山さん、一年一組の蘇我さん、秋山さん靏見さん、桐崎、桜木、そして勇人の八名がファミレスに集まって居る。


 魔法部の金田と倉田さんは呼んでいない。

「この間の相模川高校の救出事件で倒したゾンビは、252匹でした。で、『ウサミミパラダイス』の収入は88万円になりますので、一人当たり11万0250円になります」

真里亞が、音頭を取って分配している。


「ええ?」

「ナニ?」

「何が?」


靏見さん、瀬戸山さん、桜木が驚いていた。


「私達、東京魔術師協会にハンター登録してあるの」

「で、勇人が、あの前日に、ゾンビ退治の依頼を受けて来ていたの」

「で、これがその報酬。みんなで山分けよ。残念だけど、部長と倉田さんは仕事してないし、相模川高校のメンバーは依頼者だしね」

と真里亞が説明している。


「ウサミミパラダイス、まだ、解散していなかったんだ」と秋山さんが笑っている。


 高校生にしては、高すぎる臨時ボーナスに、全員が盛り上がった。

デザートバーを頼む者までいて、プチバブルだった。


 ここで、桜木がPVを取りたいと言い出した。

「皆んな、箒に乗って飛べるんだよね?」

「女子でPVを撮りたいんだけど。協力してくれない?」


「無理、映画の見過ぎよ」

「飛んだこと無い。無理」

「ええ、飛べるわよ」

「普通になら」

「私は嫌」


「ええぇぇ〜」

「ええぇぇ〜」


「なんで?」

「子供の時飛ばなかった?」


「私は出たくない!」


 2対2対1に別れた。

 返事がそれぞれ可笑しいが、桜木が一気に喋ったので、返事が混ざってしまったのだ。


 靏見さん以外は参加することになった。ただし、栃原副部長と瀬戸山さんは箒で飛ぶ事は出来ないそうだ。


「うーん、勇人。魔法が使えないのに飛んでいたよね。勇人」


「ねぇ勇人ぉ」


 瀬戸山さんが、急にこっち向いて甘えて来る。それを見て、栃原副部長も甘えて来る。


(お前ら、こっち見んなやぁー!)


 俺は黙って立ち上がり、レジの方へ向かい、横の棚から猫顔のポシェットを五つ買った。


 黒猫が三つ、白猫が一つ、茶トラが一つだ。


「どれが良い?」と聞くと、蘇我さんが白猫、靏見さんが三毛猫、残りの三人が黒猫だった。


「サザン、憑依!」と命令すると、指輪からスライムが出て来て、勇人を包み込んで行く。

そして、やがて皮膚から吸収されて行く。その時間、0.3秒ほどだ。


「サザン、すまん。このポシェットに「魔法の鞄」と「頑強」と「持主固定」を掛けてくれ」


「ワカリマシタ。ユウト」


「すまんね」


「イエ、ご主人様ですから」

「しかし、勇人。君はあのメスの言いなりだなぁ」


「メスって言うな。メスって」


「勇人より、あのメスの方が優秀だからなのか?」


「そうだけど。違うよ」


 勇人の声は、普通に声として表に出ているが、サザンの声は聞こえていない。勇人の頭に直接話しかけているのだ。


 側から見ていると、勇人は一人で誰かと会話しながら、魔法の鞄を作っていった。元は、ファミレスのレジの横で売っている子供向けの動物のポシェットだ。

容量は、一律200Lか200kgだ。

どちらか一杯になったらそれ以上入らない。


 次に、空飛ぶ箒だ。マジックAI搭載だ。所謂、空飛ぶ竹ゴーレムだ。命令に従って、自立している。以前に作っておいたので、取り出して「持主固定」の魔法をかけるだけだ。


 ファミレスのテーブルが五本の竹箒で占拠されている。

 俺は、ちゃんと乗れるように練習する様に勧めておいた。


 桜木が、

「そのポシェットどうなってるんだよ?」

「お前のウエストポーチも何が出て来るんだよ」

と騒いでいる。


「いや、自分のものを作った時に、みんなの物も作っていたんだよ」


「俺のは無いのか?」と桐崎が聞いてきた。


「え? ニャンコポーチ欲しかったのか? すまん、絶対持たないと思ってた」


「ネコはやめてくれ」


「だろう」



「少年、君は葉月に言われるとメロメロだなぁ。もう、尻に敷かれているのか?」


(あんたも甘えてきたじゃ無いか)


「要らぬなら返せ!」


「そうは言っていない」


 当たり前である。この二つの市場価格は、この性能なら高級車二台分である。それを目の前で作らされたのだ。文句を言われる筋合いはない。


 翌日から、四人の魔女メンバーはダンスの練習だった。振付などはダンス部がやってくれた。そして、夜は箒の乗る練習だった。


 撮影日は一週間後に決定したのだった。

そして、撮影3日前よりダンス部が参加した。


 衣装は、つばの広い三角帽子にボレロのジャケット。胸には六芒星に二重円、中央に魔女が箒で飛んでいるシルエットのエンブレムの刺繍。

ボレロの胸は金の鎖で止めてある。三角帽子には、イメージカラーのリボンがしてある。


 真里亞はクリーム色のジャケットに濃紺の帽子。臙脂色に緑のチェック柄のミニスカート。

イメージカラーはピンクの為、帽子のリボンやシャツの色、ネクタイの色はピンクだ。


 栃原副部長は、イメージカラーは紫。

ブラウスは薄い紫、リボンも濃い紫と紫が基調になっている。

ボレロも三角帽子も濃紺で周囲に紫の刺繍が二重に入っている。

そして、濃紺のキュロットスカートだ。


 秋山さんは赤。瀬戸山さんは緑だった。

二人ともチェックのスカートを選んでいるが、ジャケットは濃紺のボレロだ。


 ダンス部の衣装は、三角帽子、ボレロ、スカートは濃いイメージカラー。シャツは薄いイメージカラーでネクタイだ。

 赤、ピンク、黄、青、紫、緑、水色、黒、白、オレンジ、茶、カーキ、迷彩、雪上迷彩の色柄で作られた衣装を着ている。

(イメージカラーに迷彩って可笑しいだろう!)


 曲は、昔の魔女っ子アイドルの「ガールズトーク」を使っている。


 内容は、白に金のタキシードを着た男性と、ピンクのドレスを着た女性に、魔女がチョッカイを出して喧嘩した二人を引っ付ける話だ。


 バックで踊っている女性の中にも男子部員がいる。抱えたり、高く持ち上げる仕事をしている。ロングスカートやキュロットスカートを履いているのが彼らだ。スネ毛が見えたら興醒めだからね。

 よく見たら、肩幅が広かったり、骨盤が狭かったりするのだが、普通に見ていたら女装してると分からない出来だ。


 ダンス部は3日で、キッレキレに仕上げてきたのに、四人は素人のグダグダのままだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ