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上陸班の装備 take on the beam その35


 瀬戸山さんが蘇我さんの机のところに来て、何やら喋っている。女三人寄れば姦しいとはこの事か?「部長が、1年の魔法道の団体戦に、皆んなで出ていいって」と友人達に報告して居る。


 魔法道って、このあいだの体育祭の時にやった奴だろ。真面目にやったら死人が出るぞ。骨砕け、血飛びしきる、地獄絵図だったじゃないか。


 桐崎が「やろう、やろう」と乗り気だ。みんなを誘っている。


 まあ、応援ぐらいは行くけどね。取り敢えず、俺には関係ないな。


「良いかなぁ? 紅葉どうする?」真里亞が秋山さんに聞いて居る。


 靏見さんは桐崎が参加するので、参加に賛成だ。真里亞と秋山さんが参加意思を伝えて決定となった。


「じゃあ、私は『チンカラホイ」のシングルに出るから、そっちよろしくね」っと瀬戸山さんが丸投げして行った。


 団体戦て、5名居ないじゃん。

他4名も数が合わない事に気付いたようだ。

 そして、一斉に俺の方を見る。


(こっち見んなや〜)


「俺は出ないよ」俺は視線に答える。


「どうして?」と真里亞が聞いてくる。


「あんなの真面目に戦ったら、命が幾らあっても足らんわ!」と嫌そうに答える。


 周りは、高校生としては一流の魔術師ばかり、残念ながら俺の出番はない。


「魔法が使えなくても出れるんだよ」と真里亞が教えてくれる。


(魔法が使えないから、出たくないんだよ)


「だから、死ぬって」


(こいつらの魔法ときたら、加減していても命に関わるわ)


「大丈夫よ。みんなそんなにレベル高くないから。それに、大将にして一番最後にしてあげる」と真里亞が提案して来た。


(いやいや、周り見ろよ。秋山さんや瀬戸山さんクラスの魔法使いがゴロゴロ居るじゃないか。このクラスは魔法使いだらけだろ。ザルに入れて、ワゴンセール出来るぐらいいるじゃないか)


 なんだかんだ言ってみたが、結局参加する事になった。

(また、俺の塾の時間が潰れるじゃないか?)


 団体戦なので、

先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と五人で勝ち抜き戦で闘うのだ。

 例えば、先鋒同士で戦って、勝つと次は相手の次鋒と戦う。そうやって、順に相手を倒して行き、相手の大将を倒した方が勝者となる。


 ここで問題になるのが魔力だ。

 回復には一晩の熟睡が必要なので、今持って居る魔力で戦わなくてはならない。

 全開でファイヤーボールを撃ちまくる訳には行かないのだ。勝てば次の試合をしなければならないからだ。

 優勝するには、約4回勝たなくてはいけない。

 そこで、魔力に関係のない柔道部や剣道部から応援に来てもらい、魔法攻撃を避けながら、攻撃してもらうのだ。

 魔法使いは、攻撃を避ける為に物理障壁を張る事になると、余計に魔力を使う。それが狙いで、物理攻撃で相手のスタミナを削るのだ。


 その為、どこに誰を入れるかは、戦略と頭脳が必要なのだ。


 さて、家に帰ると、岐阜県の刀鍛治さんから刀が届いて居た。

(本当に宅配便で届いたんだ)

 まさか、本当に送りつけるとは思わなかった。どっちかと言うとそっちの方が驚いた。


 木箱の中にクッションを入れて、日本刀がポチポチにくるまれて出てきた。

絹のきれいな袋に入れられて、鞘もしっかりと作られている。拵えと言うらしい。


 抜くと、中身はミスリル鋼の日本刀だ。

自ら光って居るわけでは無いが、白く鈍い輝きがある。刃文もあり、鍛造だと分かる。


 切れ味は、使った事がないので分からないままだが、悪いはずが無いだろう。まあ、一生使う事は無いだろうけど。手入れはどうするんだ? あのポンポンってやつをするのか?


 ここで、俺の厨二病が出た。

ドラゴンツゥースソードを作りたくなったのだ。世界最強の何でも貫くと言われたドラゴンの牙を使った日本刀。

 聞くだけで厨二病が全開しているが、どうせ使わないので良いだろう。


 岐阜の鍛治さんには悪いが、病気じゃ仕方がない。

(病院に行けば、厨二病に効く薬は無いと言われるだろうし)


 そこで、サザンに、ポシェットの中に有るドラゴンの牙を、ミスリル鋼の日本刀に練り込んで、魔剣にしてもらう。


 まずは、鉄刀の方から実験だ。いきなり日本刀でやって、壊すともったいないからね。

 サザンにしてもらうと言っても、俺の体と知識を提供してるので微妙な感じだ。


 俺は、魔化の呪文と、強化金属の作り方を調べて、魔方陣と呪文を書きだす。

 部屋の中にシートを敷き魔法陣を書く、そこにドラゴンの牙と鉄刀を置き、魔核を五つ程並べる。

 サザンは一個で十分と言うが、強い方が良いだろう。


「勇人、それって、必要あるんですか? もっと有意義な使い方があると思うのですが?」サザンも呆れている。


(サザンよ。これは病気なんだよ。仕方がない事なんだよ)


 サザンが俺の口を使って呪文を唱えている。抵抗すれば俺の体は俺の自由になるが、サザンに身を任せ、彼の自由に使わせている。


 魔法陣が光り、三つが一つに引っ付き合わさった。魔核を一つ一つと数えると七つが一つに合わさったと言うべきか。


 出来上がった鉄刀は振ると軽く感じ、なんでも貫けそうだ。ステンレス製だが、バランスがより良くなったような気がする。魔力の通りは、俺には全く感じない。これは仕方がない。


 魔剣になったかどうかは分からないが、成功みたいだ。

(なんで、それで成功なんだ?)もう、自分で突っ込むわ。


 次、ミスリル鋼の日本刀にドラゴンの牙を練り込んで行く。作りかたも呪文も同じように作る。

魔法陣が光り、出来上がったドラゴンツゥースソード!

 しかし、完成品は魔法の道具のはずなのだが、やっぱり使い方がわからない。


 ついでに、認識のバッジを作る。

アルファベットの「A」の周りに星が回っている軌道と小さな星のデザイン。

決して「V」の逆さまや「Λ」ではない。大人の事情だ、仕方がない。

 俺は、これにコミュニケーターと名付けた。


 付けている者の位置が分かり、付けている者同士会話ができる物だ。材料はアルミを使っている。


 そして、瞬間移動の魔法陣を描いたシートで有る。勿論、魔法の道具だ。

 隅に小さなボックスがあり、これがコントローラだ。それに、コミュニケーターから指示ができるようにした。


 サザンが作った物なので、強烈な魔力はあるのだが、こちらから瞬間移動するのは難しい。向こうの状況が分からないので、瞬間移動した先が壁の中だと死んでしまうのだ。

(某ゲームではリセットし、フロッピーディスクを引き抜くと言う方法で消滅は防げたが、現実はそうもいかない)

 そこで、事前に現地座標の探索をする魔法の道具を作ることにした。

そして、そこが何も無く、空気だと瞬間移動するように安全装置を付けた。


 さあ実験だ。

まずは誰も居ない筈の風呂場に瞬間移動だ。


 胸のコミュニケーターを叩いて、瞬間移動用のシートに命令する。

「チャリー、上陸班、一名転送! Beam me up, Scotty!」

周りの景色が揺らいで、自室から風呂場に変わる。

えへへへ、魔法って便利だな。


「エンターじゃなかった。コンピュータ、上陸班、一名回収しろ」


 周りの景色が揺らいで、風呂場から自室に変わる。ちゃんと転送シートの魔法陣の上に立っている。


(完璧じゃないか? ふふふ。

今晩は寝れそうにないなぁ)


 しかし、トリコーダーは必要だなぁ。


 昔の二つ折れ携帯電話を大きくしたようなデザインだ。

 魔物、人間、壁などを探索できるようにした。単純に探索魔法を使える魔法の道具なのだが、「ぴよ」って開くと鳴る音が、中二病をそそると言う物だ。


 後、医療用トリコーダーも作る。

昔の肩掛け携帯電話、ショルダーホンに似たデザインだ。


 たいていの魔法薬は存在してるので、それをハイポスプレーの中に生成するようにした。

 無い薬は、現代の薬を魔法の薬に魔化して生成する。

 魔法の道具のAIに、病院のカルテの情報を精査させて、病名に対する治療薬を調べさせた。魔法の道具のAIとは、知識を持った一種のゴーレムだ。

 そして、最後の手段に、魔法には再生と言う極悪な魔法があるのだ。悪い部分を切り取って、新しく再生すれば良い。なんて極悪な治療法だ。

 現実に多くの方を業として治療するわけでは無いので、これで十分だろう。

 しかし、魔法の「患者のスキャン」ってどんな仕組みなんだろう。レントゲンやMRIや血液検査ってどうなっているんだろう?


 それでも、後日、病院の待合椅子に座りながら、トリコーダーでカルテをスキャンし膨大なデータを集めたのだ。


 学校の帰りに、大きな病院の待合室に座り、一座標を入力し、次々にカルテをスキャンしていたのだ。


 試しに使った風邪藥は、即効の有る薬だったよ。さすが、医療用トリコーダーだ。喉の痛みはすぐに治った。


 因みに、ハイポスプレーは、薬を瞬間移動させているので、服の上からでも使えるのだ。

(ああ、船とユニホームが欲しい)


 以前作ったフェザー銃を含めて、これで上陸班の装備が整った。


 後は、地道に病院に通い、医療用トリコーダーを賢くするだけだ。


 装備が出来上がった頃には、東の空が明るくなって来ていた。



面白ければ☆五つを、面白くなければ☆一つをお願いします。

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よろしくね。

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