挿話 不運喰い 6
「楽羽、なにをぼっとしてるの?」
え!?まさか、瑩が背を向ける時やったのに…
「背中で風を感じましたよ、変なことしてないよな。もう、人は真剣に手掛かりをさがしてるのに。」
なんだ、こいつ、勘がいいな。
「ごめんごめん。何も見つからなくて、つい…」
納得したか、彼女はまた真っ白な壁に手を当てで探り始めた。
やっばり白状したほうがいいかな。いつも一緒にいれるじゃない、おれがいない場合はもしあの靄が出たら、瑩自身でなんとかしなくてはならないよな。どう持ち出せばいいのかな?さすがに「おれが不運喰いを一匹つかまったぞ!」とか言えないな。
「楽羽、ここから出てほうがよさそうだな。」
「あ?フウン、なにを突然に?」
って、増えたじゃないか!?さき握り潰した靄が増殖したようにこの空間に漂っていた。なんで?フウンの話は本当なら、瑩は的だな。
「まとめて片付けられる?」
「できるわけねぇだろう!とにかく外に逃げましょ。」
「瑩、もういいから、ここには手掛かりがなさそうで、出よう。」
「ええ?もう諦めるの?」
驚いた彼女の反応は普通に正しかった。でも、いまは非常時だ、はやくその靄から逃げないと…
一も二もなく、おれは瑩の手を引いて、強引にその部屋から連れ出し、一気に階段を下り、屋敷の外に出た。
今度こそ本当にことを言おう。
「実は…」
「お化けを出た?」
おれたちは同時に言い出した。
…だから、本当にことを言うにはどれ程の決心はいると思うんだよ!どうしてお化けの話になったのか?瑩のバカ!
自分のセリフに疑問の欠片のひとつにも感じなく、その真っ直ぐな目でおれに答えを求めていた。
ちょっと待ってよ!お化けなら不運喰いより説得力高いと思うが、多分、悪い、フウン、別に差別してないぞ。
「うん、そういうこと。」
「うそ!楽羽って、見える人?」
「まあ、それほどはっきりじゃくさ、もっと曖昧で、なんかもやみたいなのは見えるが…」
まあ、靄は見えるのは本当だからな。
「やっばり、その屋敷に多いの?」
目の前の屋敷に指を差し、彼女はどうやらおれはお化けを見えることについて疑えなかった。
「うん、おれに手に終えないほどな。これ以上そこにいったら、瑩にも何かよくない事が起こる恐れがある。」
「そうか?ありがとう。」
「お化けの話、すんなりと受け入れたね。」
「うん、よく言うじゃないか。何か悪いことが起こるのはお化けの仕業って。」
それは無いと思うが、お化け、かわいそう。
「瑩には何か悪いことが起こったか?」
「わたしはみえないし。でも、お化けとか、霊とか、ゴーストとか、趣味があるがちょっと怖いですね。そういえば、前にあった、その交差点で車に轢かれそうな時、楽羽に助けられたね。その時、靄とか言ったけ?もしかしてお化けとかみたの?」
「そうですね、確かに靄がみた。どうやらおれしかみえないらしいが。」
「あの、その靄とやらって、わたしのまわりにいたの?」
「ああ、おれから見ると、瑩に近づきようとしてた。」
「えっと、もしわたしを標的なら、一緒にいるといけないね。楽羽まで危ない目にあうかもしれないじゃないか?」
「それはないと思うよ。おれはある程度自分の身を守れる。一緒にいる時、瑩を危険から救えるかもしれないぞ。」
……
なんでここで沈黙?おれって、頼り甲斐がない?それともおれの身を案じて、巻き込めたくない?
地面に目を向けた彼女はやっと顔を上げおれを見つめた。
「わたしはボディーガードを雇る余裕はないよ。」
「え?なんの話?」
「あのさ、楽羽って、闇稼ぎしてるじゃないの?霊を払うとか…」
ははははっ、こいつ、やっばりその脳の回路は普通と違うね。面白いな!
「おれってそこまで器用じゃないよ。そもそもこんな靄しか見えないやつはそんな大層なことできるわけないじゃん。」
「なら、わたしなんかのために危険を冒しないてよ。見えたのなら教えるだけでありがたいよ。自分で警戒するから。」
そうか、お前はあんまり人に頼りたくなくて、自分の力でどうにかしようですね。それでも、ひとりではどうしょうにもならない時があるさ。そのことについて、おれにも自信がある。
おれができる限り瑩を守ると決めた。
「今日はもういいのか?折角ここに来たのに、手掛かりなして帰るなんで悔しいよね。」
「それは仕様がないさ。まあ、帰りましょ。」
「楽羽、なんか暗くなった気がするが…」
瑩は仰向けになって、そらをじっと見つめ呟いた。
「ここに来る時は快晴ではなかった?」
「確かにな。」
「これ、絶対普通じゃないよ!」
灰色の雲がドンドン集まってる様子で、空は鈍色に覆われた。雷が頭上で鳴り響いた時稲妻は走った。
「楽羽、いまわたしの周りに靄があるのか?」
「ごめん、光線はよくないのて、はっきりみえないが。」
「なら、手分けして帰ろうか。」
「え!どうして?」
瑩は目を伏せて唇を噛んだ。
……
答えを待つおれに一瞥して、彼女は突然走り出した。
どういう状況?えっと、瑩はおれと別々で帰ると提案した、つまり、この悪い天候になったのは自分に寄ってきたお化けのせいと思ってるだな。おれを巻き込まれるのは避けるため?…
もう、こういうことになると知ったら、本当にことを言うべきだった。彼女を追いかけるため走り出したおれはこう思わずにいられなかった。
「楽羽、その樹を見ろ!」
フウンの普段より高い声が直接脳に響いた。
樹?ああ、見えた、おれたちの走る道の左に大きな樹がいった。靄!?まずい、おれは間に合わない、この距離で瑩を追いつかない!
「瑩、止まれ、そこは危ない!」
雷はおれの声を遮って瑩に届けなかった。くそ!どうする?どうすれば…
「楽羽、おれ様をその樹に狙って投げ!」
「はあ!何言ってるんだ、フウン!おまえも瑩を助けようとは分かったから、でもこの長さでその樹に届けないよ。それに、おまえ、どうするつもりかよ?」
「届けなくていい、その投げはただの助走さ。おれ様を信用できないか?」
「いや、そうじゃなくて。おまえ、その体大事にするよ、おれの親友からの贈り物だから。…あと、もし成功したら、おまえの言うことひとつ聞いてやるよ。」
「ああ、約束だぞ。」
どうせおれには間に合わない、走りを止め、おれは最大力を尽くしフウンをその樹目掛けて投げだした。
「くだばるなよ、フウン。」
こころの中で大きな声で叫びだした。フウンは綺麗な曲線を描いて、落ちるはずなどころを原点とし再び曲線を描いた、前の曲線より高く遠くその樹の枝に衝突した。
その瞬間、稲妻が走ったような光がその周りは目が眩いほど照らした。瑩の悲鳴が聞こえた。どうなってる?彼女が無事かな?先の眩い光の反動で目が回らない。
おれは再び走りました。やっと瑩に追いついた。彼女はその突然の光のショックで地面に座り込んだ。
「大丈夫?」
おれは手を差し出し、彼女を地面から起こした。
「ここで待っててね。」
フウンのことを心配で、慌てて樹のそばに駆け付け、その根元にフウンは「勝利した」の顔でおれに仰向けた。関節人形は表情を変われないのに、なぜだかおれはフウンの表情を見える気がした。
こっちも無事でよかった。
「あの、ごめんなさい、わたし、勝手なことばかりして、楽羽に迷惑を掛けて…」
おれの後ろに瑩すすり泣きながら言った。
「ああ、泣かした、泣かした。」
フウンはため息しながら小さな声で呟いた。
困ったな、おれ、おんなの涙を目の前をにるのは初めてだった。
「あの、泣かないでね。大丈夫だから、被害がないし。…ああ、そうだ。先、この樹のあたりに大量の靄がこもってるよ、瑩に止めようと追いつかなくて、声も届かなくて、本当に焦ったよ。幸い、このフウンはそばにいて、その危機を解決した。」
おれの言葉にちょっと戸惑ってるか、瑩はすすり泣きをとめ、頭を小さく傾けおれの手の中のフウンを見つめた。
ちょっと可愛いかも!
いやいやいや、こういう場合じゃない。とにかく、泣き止んだのはいい始まりだ。
「おれには大した力はないが、フウンはすごいぞ、言わば、そう、おれの守り神さ。」
おれは本当に最低だな、次から次へと平気で嘘を付く。いつか瑩に真実をつけるとき、滑り込み跪きをしても許してくれないかも。まあ、そんな遠い日のこと考えてもしょうがないさ。
「フウンをわたしを助けてくれたの?」
「うん。」
「フウンは式神?」
えっと、今度は陰陽師か?どこまで嘘を付ければいいかな、おれ?
「まあ、それに近いかな…」
「ありがとう、フウン。」
おれの手からフウンを取って、胸に抱きしめた瑩を見ると、その単純さが眩しさがおれの罪悪感を誘った。
「うむ、やっばり、人間のおんなは可愛いな、救い甲斐があった。」
「フウン、これからも救ってね。瑩は解体することもできるらしいが。」
「げっ!楽羽め、羨ましいなら素直に言えばよい。」
それから、おれたちは一緒に帰った。帰り道であんまり話を交わしたことがなかった。
これからどうするかな?もしかしたら、瑩はおれを避けるかもしれない。やっばり本当のことを言わないと、今日はだめ、いつか仕事の日にして方がいい。あしたから仕事、その忙しさに紛れ、すこし余裕が出るだろう。
そして、水曜日の昼、おれは瑩にメセッジを送った、「大事な話があって、夜おれの家で会う」っと。もちろん、その時、次の会う場所はおれんちじゃなく不思議などこで言うことは思いもしなかった。




