もの ひと
転送によって、赤彦さんと「アジト」についた。
予想が見事に裏切られ、目の前に広がったのは殺風景な地下基地じゃなく、日の光がやさしく照らした城だ。
わあ、派手過ぎる!
「アジトって、もっと地味で人目につけないどこじゃないのかよ?」
「はははは、そうですね。物好きな気ままなやつが決めたので、仕方ないよ。行きましょう。」
城の正門に行くのは先ず三段式の階段を渡すのだ。うむ、悪くない。茶会へ行くの城もいい、ここもいい、みんな、城好きですよね。もちろん、私も含めて。
あれ、正門は四つの長細い独立の門に設計されてる。おお、面白い!
「四つの門はそれぞれ違うどころへ通るさ、良いデッザイと思うが、たまには面倒ですよ。」
左から三番目の門を開く赤彦さんは普通に言った。
玄関と言ってもいいかな、とにかく狭いよ、一人ずつしか進めない。何でこんな造りなの?まるで敵襲を防ぐための…まさか…
S型の細長い廊下を潜り、やがて明るく方向から自然の光が漏れた。先の廊下は現代文明に遠ざかった蝋燭を使ってるせいで、一瞬タイムスリップした錯覚に取られた。まあ、わたしの中世への憧れのこころが大いに満足させたことは変わりはないさ。ありがたいよ。
廊下の果てに繋がっているのはまだバカ広い空間だった。ここへ来るときのホールより何倍の広さと高さがある。壁に嵌め込んだ本棚が天井まで届いた。わあ、素敵!こういう蔵書室ずっと欲しがったのに!
よく見ると、棚に収めたのは本ではなく、あらゆる類のガラクタだった。えっと、ガラス玉、ベルト、人形、ノート、西洋剣…骨董品かな?
「ここは問題品物の安置所。壁沿いに封印が施されている。」
「ええ…兄さんやみんなの任務はそれらの確保ですか?」
「うん、そういうこと。」
「問題品物って、呪われ人形や血を吸う刀など、人に災いを招くものですか?」
「それもあるが、他に人に力をあたえるものもある、邪悪な人の手に落ち悪用されることを防ぐんだ。」
「世界を守るっと?」
「そんな大袈裟のことじゃないよ。物ことで作る人と持つ人によって色んな経験もしたろう、人はせいぜい百年の寿命ですが、物は違う、破壊されなければ、人よりずっと長くいられる。」
「兄さんは物ことを生きてるような言い方ですね。でも、わたしもそう思うよ。いつかどこかで誰に大切されると嬉しいとみんなそう思うでしょ。人は苛められたとき、反抗できるが、物ことは声も出せない、反応もできず、じっと我慢しかないのさ、可哀相と思うよ、だからできるだけ物にもやさしくしたいの。」
「みどりは物ことをいつも大事に持ってるのはわたしは証明するよ、子供の頃からずっと見てきたから。」
赤彦さんの暖かい笑顔にわたしも小さな笑いで返した。
そういえば、本も物ですね。いま自分はまさにその中にいる。世の中不可思議なことだらけですね。全部出会えないが、起これるなら、大切にしたい。
「物が人を惹きつける、人が物に惹きつける…切っても切れない縁だな。」
「なんで悲しいトンで言うの、お互い惹きつけ合うなら、一緒にいればいいじゃん!」
「みどりは純粋ですね。物は変わらなくでも、人は変わるもの、執着し過ぎるとよくないことが起こる。」
「ああ、そんなに深く考えたことはないな、わたし。好きな物がいるなら、近づいて、手に取って、好きな内に沢山愛してあげてと思った。もし好きじゃなくなった日が来ると、どうするかな?」
「みどりのペースに乗って、微妙な話題になったな。」
「ああ、そうですね。いま兄さんにアジトの案内中ですね。ごめんごめん!」
「まあ、わたしたちの任務も聞かせたし。何か聞きたいことがある?」
「はい!あの、みなさんは異能者ですね。どんな力を持つのかな?」
「それは実戦の時に取って置きます。お楽しみに。」
悪戯っぽく言う赤彦さんはわたしの鼻を軽く弾いて小さく笑った。
なんか想像できない赤彦さんの一面が見えました。
「今日はこういうことで、帰ろう。葵のことも心配です。」
ああ、そうだ、葵さん、いや、無月さんのことすっかり忘れた。懺悔します…
「行こう!」
わたしは無月さんに懺悔する間、赤彦さんは転送の準備を完了した。
「転送で帰るの?」
「うん。」
「えっと、じゃ、他の場所からアジトへ転送できる?」
「一箇所だけ来られる、でもここからどこへても転送できる。」
「強引なルールだな!」
「はははは、一応アジトですから。」
今度は公園じゃなく、わが家の蔵書の間に転送された。
赤彦さんと並べて葵さんの部屋を迎える時、わたしは聞きだした。
「兄さん、家に転送されるのは便利ですが、万一、着いた時に彩と唯に見られたら、どう説明すればいいのか?」
「大丈夫ですよ、今の時点で、あの子達はケーキ屋で甘いもの買いに行った。」
さすがわが家の長兄、全部把握している。
「葵、いるか?」
丁寧にドアを叩き、赤彦さんは聞いた。
「入りください。」
顔色はよくなった葵さんはベッドに座っていた。
「お帰りなさい。」
「ああ、ただいま。」
「体調はどう?」
「はい、大分直りました。彩様と唯様にも迷惑をおかげしました。申し訳ありませんでした。」
「いいよ、他人行儀なんでいらないさ、葵も大切な家族の一人だから。ああ、あの子達、自分が甘いもの好きので、葵にもケーキやお菓子をあげたね。」
「はい、お陰で、元気になりました。」
壁角のテーブルに食べ残るケーキやお菓子を置いていた。
「ああ、赤にい、みどりん、お帰り!」
手に甘いものいっばい抱えて、唯ちゃんの声と共に、彩くんと唯ちゃんはドアと通し部屋に入った。
「沢山買った、好きなやつ選んでもいいよ。葵は病人だから、一番でいいよ。」
「ありがとうございます、彩様。」
「葵に甘いものばかり食わせるなよ、お前たち!何か食べたいのかと聞くのが先だろう!」
「だったら、赤にいがなにか作ってよ!」
「ぼ…ぼくは料理が駄目…」
「じゃ、文句は言うな!」
「みどりんも選んで!」
「うん、ありがとう!」
お菓子があるだけで幸せっと顔に書いたふたりを見て、子供はいいなと思った。
隣に立っている赤彦さんとベッドにいる葵さんも幸せそうに笑った。楽しい家族ですね。みどりさんも、みんなのことを大好きでしょ。羨ましいよ。
星のペンダントは緋色の光を放したのはほんの一瞬のこと、それはみどりさんがその考えへの答えたと思った。
午後、赤彦さんは用事で外出した。休んでと言っても聞かなかった葵さんも本職に戻りました。集会のことをまだのチャンスで無月さんに打ち上げと決めたわたしは蔵書の間で時間を潰しに行った。




