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午後3時半からの冒険  作者: Sugarei
20/51

集会 赤彦side

 「みどり…みどり…起きてー」

 うん…何だ…せっかく冬弥が本題を切り出すのに…

 朦朧に目を開けると、赤彦さんの顔が目の前に迫っていた。

 「やっと目が覚めたか。昨日の約束、忘れた?」

 えっと、つまり赤彦さんのいる方に戻ったか?タイミング選んで欲しいな、あっちで大事な話の最中じゃないか?もう…あれ、頭痛の感覚もない…慣れたかな?

 赤彦さんは期待を込めた目で至近距離でじっとみつみていることを再確認したわたしは慌てて言った。

 「兄さんとの約束をちゃんと憶えてるよ、今日一日よろしくね。ああ、寝坊して、ごめんね。」

 「いえいえ、わたしの方が普段より早めに起きた。」

 赤彦さんは嬉しい顔で言いながらわたしの頭を撫でた。

 「では、わたしも支度がある、後でね。」

 満足そうに門から消える彼をわたしは目で送った。

 朝からドキドキさせないてよ、兄ルートと勘違いするじゃん…

 「そういえば、ノックなしに入った?まあ、いいか。」

 思わず声を出した。

 「みどり様、葵です。」

 今度はノック音の後すぐ葵さんの声が響いた。

 「ああ、入ってください!」

 執事制服と言うのはいいのか分からないが、葵さんに似合うな。

 「おはようございます、みどり様。」

 「おはようございます、葵さん。」

 なんだ、このどうても良いやりとりは…

 「赤彦様は部屋に入る前にノックしました、わたしはそばで見ていました。なかなか返事が来なくて、心配で入りました。」

 「それほど気にしてないよ。赤彦さんなら、構わない…かも。」

 「気にいたか?赤彦さんのこと?」

 「うん…」

 「簡単に人を信じるのはいいか悪いかさて置き、もっと観察したら決めて方がいいよ。」

 なんか葵さんらしくない発言ですね。どうしたのと聞こうと彼を見る時、いつもの優しい顔に一変し、氷より冷たい目でわたしを睨んでた。

 「葵さん、大丈夫ですか?」

 返事がない。

 突然違和感を感じた、何かが違う、何か……考えるんだ!そうだ!鏡の中と目に映るのは同じ顔、この人は葵さん本人、無月さんじゃない。でも、いままでわたしはみたのはずっと無月さんだったはずなのに、どうして?無月さんはどこ?

 「無月さん、まだいるだろう?返事して、お願い!」

 わたしは勢い良く真正面で彼の腕を掴む、力を込めて揺らしながら叫んだ。

 「瑩…さん…」

 一瞬で無月さんの顔になった。

 「この人…は危険…です、気を…つけて…」

 苦しそうな表情で伝えた無月さんは体勢を崩れ、前向けのまま傾け、わたしは彼の体重を支え切れず、このままじゃ…倒れるー

 もう決まりと思って目を瞑って衝撃を受けるつもりが、何も起こらなかった。ゆっくり目を開けると、成る程、赤彦さんは後ろから手を回し無月さんの腰を支えた。多分、わたしの叫びを聞こえ駆けつけたんだろう。

 「大丈夫ですか、みどり?」

 「はい、兄さん、助かった。」

 ふたりでなんとか無月さんをベットに休ませた。

 「葵、調子が悪いなら、無理することはないのに。」

 「申し訳ありません、赤彦様。」

 無月さんは意識をちゃんと持ってる、よかった。

 「ゆっくり休んで。今日はみどりと外出するつもりなんだ。彩と唯に邪魔しないように話しつけてくる。みどりも早く出発の準備をして、そろそろ時間だ。」

 赤彦さんは指示を出してすぐ部屋を出た。

 「瑩さん、驚かした?ごめんね。」

 弱々しい無月さんは始めて見るので、ちょっと心が落ち着かなくなった。

 「無月さんこそ、本当に大丈夫?葵さんが暴走した?体からおいだされた?それとも……」

 「わたしは多重人格と?」

 話しの先を読み取った彼は微笑みながら言った。

 「いや…その…とにかく、本当に心配したよ。先直接目に映ったのは葵さんだった、無月さんは強制退場されたと思ったよ。」

 「確かに一瞬意識が朦朧した憶えがある。」

 「ああ、もう直ぐ赤彦さんと一緒に出掛ける。あっちで変人の集会に参加しました、その詳細は無月に聞かせ助言が欲しいのに…」

 「今自分に何か起こったかすら分からないわたしは現時点で瑩さんの役に立たないと思うが、お互いがなるべく情報を集めてから話し合おう。」

 「でも、無月さんは一人でいいのか?また異変があったら…」

 「自力で何とかします。」

 「……」

 「わたしはそんなに弱く見えます?瑩さんも気をつけてね。赤彦さんは待ってるから、支度に行って。」

顔色は優れないが、その目には強い意志を宿っているのははっきり伝えてくれた。無月さんを信じるんだ。

 「うん、分かった。まだ後でね。」

 わたしは無月さんの手を強く握ってから部屋を出た。

 持って行く物も少ないし、着換えだけで準備オーケー。赤彦さんは玄関で待っているのを階段で見たと足を早めた。

 「もういいのか?」

 「はい、兄さん。」

 「女の子は荷物が多いと思ったのに、意外とあっさりですね。」

 「泊ることになるの?」

 「いや、今日中に帰る。葵のことも心配ですし。行こう!」

 「うん。」

 冬弥さん達と車で行ったせいか、てきに今度も車と行くと思うが、裏目に出た。赤彦さんと肩を並べ、もう5分ぐらい歩いた。その前散歩の公園に辿り着いた。

 「みどり、冬弥のことは本当にごめん、あの時一体何が起こったか記憶が曖昧で遡ることはできなかった。はっきり覚えるのはみどりを抱えて家に帰ったことぐらい。」

 不意にこの話題に触れる赤彦さんは悲しい目をしていた。

 それはわたしがみどりさんになりすます前のこと。この機に乗って、いろいろ聞こうか。

 「それは兄さんのせいではないと思う。あの、今更と思うが、どうして兄さんは冬弥を亡くなったと言ったの?実際に見たことはなかったでしょう?」

 「そうですね。この目で見たと言えないが、ほかのメンバーと同じ跡形もなく消えましたから、亡くなったと言った。」

 ほかのメンバー?何のこと、まさかあっちの集会の人達じゃないよね。

 「失踪したかも…」

 「いや、それはない。亡くなった、或いは存在そのものが消された。断言できる!」

 わたしの言葉は遮断し、赤彦さんは少々声を高めた。

 「ああ、大声だしてごめん。こうなると知ったら、君と冬弥の付き合いが許すべきだった。そしたら、ふたりは良い思い出を作ることが出来たはずなのに……」

 赤彦さんは俯いたまま静かな声でゆっくり語った。

 「何言ってるの、このシスコンがーー?大事な物は常にそばに置くのは筋じゃん!」

この声、加久良さん!

 いつの間にか私たちの後ろに現れた加久良さんはにやにやして近いて来た。

 「何情けないこと言ってるの?赤彦らしくないな!集会の奴らは皆あんたに頼っているよ。」

集会って!?まさか…加久良さんはわたしに向かって微笑んだ、まるでわたしの考えを肯定するように。

 「加久良はいつも勝手なことして、一番手を焼けるのに!」

 このふたり、仲良いな。

 「みどり、後でちゃんと説明するから。しばらく待っててね。」

 いつもの赤彦さんに戻った。彼は言ったきりそこに転んでいた棒を拾い上げ、木製椅子を回しながら輪を書き始めた。

 ああ、あれだな、魔法陣どか、まじないどか…

 待つことしかないわたしは隣の加久良さんとこっそに耳打ちした。

 「あっちのこと憶えてる?」

 「うん。冬弥が本題を出し前に戻った。加久良さんは?」

 「僕もだよ。」

 「一つ聞いていいか?」

 「いいよ。何?」

 「加久良さんはわたしと同じ時にここに来たのよね、どうしていろいろしてるの?一日二日で掴める情報量じゃないよね?」

 「それは僕ががきの時に飛ばされだから、長い間ここにいたもん。」

 「ええ?じゃ、皆違う時点に送られるの?」

 「それはどうかな?」

 「その3ヶ月前のこと…」

 「そのことについては役に立たなくて、わりい!」

 なんか強制的に話しを止めた気がする。

 「準備が出来だよ。」

 わたしと加久良さんは椅子に座り掛けた時、赤彦さんの方が驚いたみたいに言った。

 「みどり、全然驚かないね。先、加久良から聞いたの?」

 そうか、普通、驚くね。

 「なんか、漫画で見たような気がして…」

 「そうか。」

 なんとか誤魔化した。

 「みどりと何かこそこそ話した、加久良?」

 「このシスコン、一生治せないかも。」

 加久良さんは苦笑いながら溜息を漏らした。

 光に包まれ、異界の門を潜ったように束の間で見憶えがある部屋に着いた。

 やっばり、両方の集会が同じ場所。でもそこに集まったメンバーはあっちと違う人達だった。やっばりわたしたちは着いた途端、みんな無遠慮にわたしに視線を注いだ。

 よく見ると、既に知っていた顔も混ざっていた。年にふさわしくない不機嫌な顔…間違いなく侑暉くんだ。わあ、嬉しい。ーーて、睨まれてる……今の状況じゃ、初対面の振りする方がいいよね。

 ほかに、マスクをつける男女不明なひと、ワイルド風な焼け肌のおじさん、そして全身包帯に包まれる人。

 

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