第4話:国宝(笑)の修理
「だ、誰が修理など頼むか! これは王立魔導院の至宝、大魔導士様から賜った至高の逸品だぞ!」
息を荒くして抗議するエレノアお師匠様。
しかし、私は淡々とスキャン結果を彼の視界へ投影した
[解析対象:大魔導士の杖(国宝)]
[診断結果:内部の魔導回路が経年劣化により断線(12箇所)]
[伝導効率:わずか 34%(66% の魔力を漏電により無駄に消費中)]
[危険性:このまま使うと手元で爆発する恐れがあります]
『……エレノア氏。大変申し上げにくいのですが、この杖、魔力の漏電が酷すぎて単なる「温かい棒」になっています。手元で爆発しなかったのが奇跡的なレベルですね』
「あ、あたたかい棒……っ!?」
「あ、そういえば! お師師様、いつも『この杖を持つと手がポカポカして落ち着くのう』って言ってたよね! あれ、漏電だったの……!?」
ルナの無邪気な追撃がエレノアの心に突き刺さる。
エレノアはプルプルと震えながら、ついにプライドを投げ捨てて杖を差し出した。
「……た、頼む。直してくれ……ッ!!」
『了解しました。ナノ魔導粒子による回路の再配線を開始します。……処理完了まで、3、2、1。完了しました』
一瞬、青い光が杖を包み込んだかと思うと、古ぼけていた木目の隙間から、澄み渡るような青い魔力の光がサラサラと流れ始めた。
「な……ッ!? 杖が……軽い!? いや、魔力がまったく抵抗なくスルスルと先端に集まっていく……!! 以前の倍以上の魔力効率だぞ!?」
あまりの感動に、エレノアはお宝を見るような目で私(青い石)とルナを交互に見つめた。
『回路を最適化しただけです。これで「温かい棒」から「まともな魔法媒体」へ昇格しました。代金はルナの今後の滞在費と、冒険者ギルドへの推薦状で手を打ちましょう』
「う、うむ……! 推薦状などいくらでも書いてやる! だから頼む、私のもっている他の魔道具も全部診断してくれぇぇぇ!!」
「お師師様、現金すぎるよぉ……」
こうして、お師匠様の家を**『魔法のデバッグ拠点(兼ルナの家)』**として確保した私たちは、ついに推薦状を手にして、冒険者ギルドがある大きな街へと繰り出すことになるのだった——!




