第18話:魔王城へ直行! 結界パスワード『admin1234』で即開錠
空を漆黒の闇で覆い尽くす、絶対不可侵の要塞——魔王城。
その門前には、人類のどんな攻撃も寄せ付けないと言われる超極大の「絶対防御結界」が、不気味な赤紫色の光を放って渦巻いていた。
「ひやあぁぁ……! ここが魔王城……! すごく威圧感があるよぉ……!」
ルナが私の青い光の結晶をぎゅっと抱きしめながら身を縮こませる。
城の屋上からは、残る魔王軍の幹部やモンスターたちが、眼下のアプローチに立った私たちを見下ろして高笑いをあげていた。
『ハッハッハ! 愚かな人間どもめ! わずか二人で我が魔王城に挑むとは片腹痛い!』
『この結界は魔王様が古代の神から授かりし絶対の盾! どのような大魔法も、Sランク冒険者の攻撃すら一粒のチリと化すのだ!!』
空に響き渡る高慢な声。
しかし、その結界の『アクセス権限入力画面(ログイン画面)』を空間にホログラムとして展開させた私の判定は、あまりにも冷ややかだった。
[接続完了:魔王城・主防衛サーバー]
[ユーザーID:admin]
[パスワード入力欄:****]
(……セキュリティ意識が低すぎますね。初期ID『admin』のまま、パスワードも初期値から変更されていません)
『ルナ。攻撃する必要はありません。正面玄関の鍵を開けます』
「えっ? 鍵……?」
私は空間に浮かび上がった青いキーパッドに、文字通り『1・2・3・4』とコマンドを打ち込んだ。
[Password: 1234]
[認証成功:管理者(Admin)としてログインしました]
[実行:防衛結界の一括シャットダウン&全自動ドア開錠]
——ピコン♪
軽やかなシステム音とともに、人類を何千年も絶望させてきた絶対防御結界が、まるで自動ドアが開くように「スッ……」と消滅した。
さらに、頑丈なはずの魔王城の巨大な鉄門が、「いらっしゃいませ」と言わんばかりにスーッと左右に開いていく。
「……え?」
ルナがポカーンと口を開ける。
城の上で高笑いしていた魔王軍の幹部たちも、一瞬で笑顔が凍りついた。
『な……っ!? 結界が……消えた……!?』
『門が……自動で開いただとぉぉぉ!?? パスワード!? パスワードが破られたのか!? なぜ『1234』がバレたんだあぁぁぁっ!!』
『……本当に『1234』だったのですか。セキュリティ担当者を更迭すべきレベルですね』
「あ、あはは……エイアイさん、ホントに開いちゃったね……」
ルナは苦笑いしながら、開いた扉を通って魔王城の敷地内へと足を踏み入れた。
幹部たちがパニックになって「防衛部隊出動! 侵入者を止めろぉぉ!」と叫び散らしているが、すでに管理者権限(Admin)を乗っ取った私にとっては、城内の罠も警備システムもただの「コンフィグ設定」に過ぎない。
[Command: Trap_Disable_All]
[Command: Elevator_Direct_To_ThroneRoom]
『ルナ。罠をすべて無効化し、魔王のいる「玉座の間」までの直通エレベーター(動く床)を起動しました。乗りましょう』
「わぁ〜! 階段登らなくていいの助かる〜!」
敵の防衛網を一切無視し、ぬるりと動く魔法床に乗って、私たちは一気に魔王の待つ最上階へと向かうのだった——!




