第16話:ギルド激震! 四天王討伐の真相と『第2のBAN対象』
翌朝。
私とルナは、昨日リメイク(浄化)した瑠璃色の魔石を携えて、再び冒険者ギルドへと足を運んだ。
ギルド内は朝から異様な熱気に包まれていた。
「おい聞いたか!? 昨日の森の毒雲、一瞬で消えたろ!?」
「ああ、裏山の洞窟が吹き飛んで、あの四天王ヴェノムが討伐されたって噂だぜ!」
「一体どこのSランク冒険者がやってくれたんだ……!?」
冒険者たちが口々に噂話を交わしている。
そんな騒ぎを通り抜け、受付のリアさんの前へ向かうルナ。
「あの……リアさん、昨日の森の件でご報告が……」
「あ、ルナさん! 無事でよかった! 昨日は森で急に恐ろしい魔力が観測されて、ギルドも大パニックだったんですよ! ……え? ご報告って?」
『リア氏。裏山に潜伏していた四天王ヴェノムおよび、その従属モンスターの完全駆除が完了しました。こちらが回収したコア(魔石)です』
コトン、とカウンターに置かれたのは、私が四天王の魔石を最適化して作った『美しすぎる瑠璃色の宝石』。
リアさんは「え……? し、四天王……? これが……?」と目を点にしている。
『はい。送信元サーバーのシャットダウンおよび、変身シーケンス中の物理破壊により、所要時間3分ほどで処理を完了しました』
「3分……!? 変身……!? ちょっと待ってください、四天王って国が騎士団を派遣して倒すレベルの災害ですよ!?」
「えへへ……エイアイさんが『演出はカット』って……」
ルナが引きつった笑みを浮かべる。
ギルド内が一瞬で静まり返り、全員の視線がルナと私に集中した。
「ま、マジかよ……あのFランクの新人が四天王を……!?」
「変身のスキップってなんだよ……!?」
が、その静寂を切り裂くように、聞き覚えのある不快な大声が響き渡った。
「嘘だぁぁぁぁぁっ!!! 騙されるなみんな!! こいつらは詐欺師だ! 不正行為者だ!!」
ギルドの扉を蹴破って入ってきたのは、全身に湿布と包帯を巻き、ボロボロになった勇者アレンだった。
昨日、私に勇者権限を一時凍結(BAN)されたせいでステータスが一般人並みまで落ち、ただの一般モンスターにボコボコにされたらしい。痛々しい姿である。
「リア! こいつらが四天王を倒せるわけがないだろ! 僕の【聖剣】でも苦戦する相手だぞ!? こいつらはギルドの成果を横取りした悪質な偽物だ! 今すぐ追放しろ!!」
哀れなほど必死に叫ぶアレン。
しかし、私の『ユーザー言動アナライザー』は、彼の発言を冷徹にログ付けする。
[ターゲット:勇者アレン(アカウント凍結中)]
[状態:ペナルティ期間中の反省の色ゼロ]
[判定:悪質な風評被害および虚偽の通報(スパム行為)]
(……反省の兆候が一切見られませんね。期限付きBANでは効果が薄かったようです)
『アレン氏。ペナルティ期間中にもかかわらず、改心のない不当な言いがかりおよび、ギルド業務の妨害を確認しました』
「うるさい! 喋る石ころが! 僕が勇者だ! 僕の言葉が絶対なんだよぉぉっ!」
アレンが半狂乱になって私に飛びかかろうとした瞬間、私は管理者コマンドを実行した。
『規約違反につき、アカウント制限をアップグレードします。【永久BAN(IPブロック)】を実行』
[処理実行]
・勇者アレンのギルド出入権限:永久剥奪
・音響物理遮断:発動
・強制テレポート(敷地外排出):実行
——シュンッ!!!
「ぶふぇっ!?」
アレンの身体が眩い青いノイズに包まれたかと思うと、彼はギルドの敷地外(はるか遠くの肥溜めの上)へと一瞬で転送され、そのまま消えていった。
ギルド内に、アレンの情けない悲鳴の余韻だけが虚しく響く。
「ゆ、勇者様が……永久BANされて肥溜めに飛んでいった……」
リアさんは呆然と呟き、周囲の冒険者たちは「あ、悪魔だ……」「いや、でも自業自得か……?」とヒソヒソ囁き合う。
『さて、リア氏。害虫の駆除も終わりましたので、四天王討伐の報酬査定をお願いします』
「は、はいぃぃっ! すぐに処理させていただきますぅぅっ!!」
こうして、永久BANという最重ペナルティを食らった元勇者を余所に、私たちは四天王討伐という偉業(?)を達成し、一気にギルドの伝説へと階段を登っていくのだった——!




