第14話:四天王ヴェノム VS 超最適化ルナ(物理破壊)
裏山の洞窟地下2階。
そこは紫色の毒気が漂い、不気味な骨の飾りが散りばめられた魔王軍の秘密拠点だった。
「おのれ……! 一体何が起きたのだ!? 我が【死霊毒霧陣】が跡形もなく消えるなど……!」
中心に鎮座していたのは、黒いローブを纏い、漆黒の杖を手にした男——魔王軍四天王の一人、【死霊公】ヴェノムだった。
彼はパニック状態で、怪しげな魔導書をめくりながら冷や汗を流している。
そこへ、私とルナが足音を立てて足を踏み入れた。
「た、たのもー……?」
ルナが小さく声をかけると、ヴェノムはビクッと肩を跳ねさせて振り向いた。
「な、なんだ貴様らは!? 人間……!? なぜこの隠れ家を知っている!?」
『ログのIPアドレス……もとい、魔力波長の送信元を逆認知すれば容易に特定できます。あなたが四天王ヴェノム氏ですね?』
「なっ……なんだその喋る青い石は!? 貴様らか! 我が術式を妨害した悪質な侵入者は!!」
ヴェノムは怒りで顔を歪ませ、漆黒の杖をドカンと床に突いた。
「ええい、理由などどうでもいい! この地で生きて帰れると思うなよ! 現れよ、我が忠実なる下僕たちよ! 【無限怨念軍団】!!」
カタカタカタ……と不気味な音を立てて、洞窟の地面から数百体ものスケルトン兵士が這い出てきた。
「ハッハッハ! この軍団は召喚者を倒さない限り、倒しても倒しても無限に再生する呪術の結晶! 絶望の中で骨の髄まで噛み砕かれるがいい!!」
高笑いするヴェノム。
しかし、召喚されたスケルトン軍団をスキャンした私の判定は冷徹そのものだった。
[ターゲット:無限怨念軍団]
[構造解析:『再生オブジェクト』の生成ループ関数]
[バグ発見:終了条件(Break文)が未設定による永遠ループ(無限ループ)]
(……呆れました。ループ処理の止め方すら書いていない、初心者プログラマーのようなコードです。これではサーバー(ヴェノムの魔力)が重くなるだけですよ)
『ルナ。敵の召喚プログラムは、単にメモリを圧迫し続ける無限ループです。根元の「変数(属性)」を書き換えて消去します』
「へんすう……?」
『唱えてください。【炎・1(ワン)】の応用型——【清掃・1(ワン)】です』
「う、うん! 【清掃・1(ワン)】!!」
ルナが杖を振ると、彼女の先端から青い光の波紋が**ファサァッ……**と洞窟全体に広がった。
すると——
「カタカタ……?(ポロポロポロ)」
数百体いたスケルトン軍団が、光の波紋に触れた瞬間、ただの落ち葉のお掃除ロボットに吸い込まれるかのように、一瞬でチリ一つなく消滅した。
「な……ッ!??? 我が無限軍団が……一瞬で消去されただとぉぉぉ!?」
ヴェノムの目が飛び出さんばかりに見開かれる。
『無駄なメモリ消費(骨の再生処理)を停止させ、キャッシュをクリアしました。さて、ヴェノム氏。残るはあなた本体だけです』
「ひ……ひぃぃぃっ! なんだその異常な魔法は!? 貴様ら、人間じゃない! 悪魔だ……悪魔の所業だぁぁぁっ!!」
恐怖に狂ったヴェノムは、懐から怪しげな黒い薬を取り出し、一気に飲み干した。
「こうなれば、我が身を魔神へ捧げ——」
『変身イベントの長ったらしい演出はカット(スキップ)します。ルナ、発動速度0.001秒で決めなさい』
「えっ、あ、はいっ! 【炎・1(ワン)】!!」
——ドガァァァァン!!!
薬を飲んで巨大化しかけていたヴェノムは、変身の途中で『最適化された超高速ほむら・ワン』を直撃され、洞窟の壁ごと吹き飛んで灰となったのだった——。




