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第35話 壁の中の平穏(?)な日々

 ボイたちは、会議室の映像以外、街中以外との接触が一切ない生活を送っていた。周到な準備もあって、中で暮らすコウガの人たちの生活に問題は生じていなかったが、完全に閉じ込められた状態であることは確かなので、何か対策が必要だと思われた。


『今のところ、農作物への影響はみられません。家畜たちにも異常は見られません』

ジュノーがすっかり定例となった会議(毎月開催)で報告していた。


『ビ―ドロフ島の様子も変化は見られない』

ボイは映像を見ながら呟いた。


『みんな元気がないよね~♪』

リサが言った。

(確かにそうだ。ほとんどの人が、大陸が魔物が溢れたもので壊滅したと思っている。確認出来ないが、まず間違いないだろう)


『そろそろ説明するか』

ボイは突然呟いた。他の7人が一斉にボイを見る。


『リサは大体理解しているらしいが、私は、ボイ・マクロフィーダになる前の記憶を持っている』

ボイは、この場にいる7人の反応を見た。意外なことに誰も驚いていない。


『もしかして、既に知っていたか?』

そう言って、7人を見渡すと、ヒギエラとエウフロンネ以外の5人が頷いた。


『リサと私たちコウガの代表は、先王様から、ボイ様が未来から来た方だと教えられていました。そして、ボイ様がそのことを自身で言うまで、決して話してならないといわれておりました』

ジュノーはそういって頭を下げた。


『先王様のご命令とはいえ、今まで黙っていたことをお詫びいたします』

ジュノーがそういうと、リサとコウガの4人が頭を下げた。


『知っていたのか・・・。先王様のご命令であれば問題はない。その命令は、今を持って終了する』

ボイはそういって、知っていることを話始めた。大葉として46億年後の地球というところで暮らしていたこと。そこでは、飛行機のパイロットをしていたこと。ある日、消息を絶った仲間を探しに地上を車で移動しているときに死んだらしいこと。そして、何故か、ボイ・マクロフィーダとして生きていたことに、10歳の時に気が付いたこと。その時、神様と称する謎の人物(?)から、アイテムボックスに収納された、“異世界の蔵書”の説明を受けたこと。


ボイの説明のあと、しばらく沈黙があったのち、


『だから、この街の魔方陣を作るときの話があったのですね』

エウフロンネが呟いた。


『そうだ。この街には、第3惑星に転移するための転移魔方陣を作ってある。街ごと第3惑星に転移することになる』

ボイは7人を改めて見渡した。


『第3惑星はどんなところなのでしょうか?』

エルクリーナが口を開いた。


『空気などはここと同じだそうだ。この星に合わせたと言っていたから』

『それは神様がですか?』

今度は、エウノミエが聞いてきた。


『そうだ。だが、第3惑星には瘴気と魔力が存在しない』

ボイの言葉に7人が沈黙する。しばらくした後、


『ということは、魔物が出ない代わりに、魔法も使えない』

ダビダが口を開いた。


『そうだ。燃料に火を使い、道具のみを使って生活しないといけない世界だ』

『では、この街のシステムは・・・・』

ジュノーが不安そうに口を開いた

『転移後は使えなくなるだろう。間違いなく』

この言葉にジュノーは大きな衝撃を受けたらしい。


『では、どうやって我々は生きていけば・・・』

ジュノーは魔力のない世界での暮らしが想像できないらしい。


『転移後は、街の外に出て暮らすしかないだろう・・・と思う。少なくとも、46億年は存続していたから、暮らすことは出来るよ。きっと・・・』

“異世界の蔵書”には、転移後についての記載は一切ない。なので、本当はわからないというのが本当なのだが・・・。


『このジュノー。5年後の転移に向けて、魔力を使わない暮らしの研究をいたしまする』

『私も』

『私も』

『私も』

ダビダ、エルクリーナ、エウノミエの3人がジュノーに続いた。


『頼む。恐らくだが、転移後は街の外に出ないといけないだろう。魔力がないから、壁は壊すしかない』


『秋に収穫祭をしませんか~♪』

リサは突然言った。


『そこで、私から今の話をすればいいのか?』

『転移後の世界に瘴気と魔力がないことを伝えればいいと思います♪』

リサはそういうと、ちょっと真顔になり、

『殿下の前世の話は、混乱するからやめた方がいいと思います♪』


・・・


結局、リサの提案が全面的に採用された。秋になって、穀物が収穫されたのち、街の通りに出店をだしたりして、祭りを開いた。城の入り口に舞台を設け、パフォーマンスをしてもらい、それなりに盛り上がった後、5年後に起こる予定の転移の話と、転移先の世界では、瘴気と魔力がないことを伝えると、動揺が走ったが、ボイの直後に舞台に立ったジュノーから魔力のない暮らしの研究をすることが伝えられると、何故か動揺は収まった。

(ジュノーって信用あるんだな)

大陸は壊滅(魔物が占拠)。ビードロフ島は大陸の壊滅を受けて混乱。ですが、ビートシティの数か所を映した映像しか見ていない(見れない)ボイたちは、そのことを知りません。そして、ビードロフ島の人たち(ノベーミストの人たち以外)は、ノベーミストのことを知りません。


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