第36話 5年後・・・転移!
転移魔方陣が発動したのちは、アイテムボックスもなくなるはずだから、アイテムボックスの中身を全て出して城に保管している。BE36だけは、城の隣にある滑走路脇の格納庫に納めている。
そして、ヒギエラ、エウフロンネ、リサの3名が参加した“異世界の蔵書”というライブラリーの再調査の結果、転移魔方陣は、ボイの25歳の誕生日である、4月1日の正午(昼)に起こることが判明した。
そして、ボイの身近なところでも大きな変化があった。
『お~。よちよち。泣かない。泣かない』
赤子をあやしているのはリサである。そう、彼女は母になっていた。この子の父親はというと・・・
『どう接していいかわからない・・・』
リサの目の前で頭を抱えているボイであった。結局、ジュノーたちの提案もあって、収穫祭をした翌年、ボイは正式にリサと結婚した。そして、それだけでなく、
『泣くな泣くな。今、おむつを替えてやるぞ』
ヒギエラにも生まれたばかりの娘が出来ていた。当然、この父親もボイである。
『生まれたよ!』
ダビダが部屋に駆け込んで来た。
『生まれたか!』
ボイが思わず反応する。
『エウフロンネそっくりのかわいい女の子ですよ』
『おお~!!』
そう、丁度出産したのは、エウフロンネである。父親は言うまでもない。
いつの間にか3人の夫になっていたボイであった。
(明日は転移陣が発動するというのに・・・なんて緊張感がないんだ・・・)
ボイは頭を抱えていた。
・・・
その日、即ち3月30日の夜、ビードロフ島にあった監視カメラの映像が消えた。監視していたコウガの人によると、突然、真っ黒になって通信が切れたそうだ。それを受けて、ジュノー、ダビダ、エルクリーナ、エウノミエの4人とボイが会議室に集まった。リサ、ヒギエラ、エウフロンネは、それぞれの子供ことでそれどころではないらしい。
『状況からすると、ビードシティを含め、ビードロフ島も魔物が溢れ始めていると思われます。恐らく、予定通り転移陣が発動すると思われます。』
『念のため、住人には、明日の午前中は各自、自宅待機を指示しています。但し、万一を考え、街壁の見張りは残す予定です』
ジュノーの報告が終わると
『見張りも自宅待機に変更してほしい』
ボイが言った。
『何故ですか?』
ジュノーがボイに向かって言った。
『仮に何かあっても、何も対策出来ない。既に周知したとおり、転移魔方陣は、瘴気の濃度に反応し、自動で発動する。結界の能力は既に最大にしており、調整の余地はもうない』
ジュノーはボイの言いたいことが理解できた。万一、転移魔方陣の発動前に結界が破壊されても、どうにも出来ないのだから、各自、家族の元に居ようというのである。
『わかりました。そのように指示しておきます』
ジュノーはそういうと、大きく息を吐いた。
『どのような結果になっても、明日、午後1時にここに集まろう。集まれたらな』
ボイそういって会議を終了させた。
・・・
翌朝、大きな音が街に響いていた。何かが結界にあたっているらしい。朝、街壁を見回ってきたものから、結界の外に真っ黒な何かが押し寄せているように見えるとの報告を受けたが、もはやどうにもならないので、他言無用として自宅に戻るように伝えた。
『大丈夫ですかねえ~♪』
『大丈夫であってくれ!!』
『どうか無事に転移できますように・・・』
リサ、ヒギエラ、エウフロンネの3人はそれぞれ何か言っているが、ボイとしても何かしてあげることが出来る状態ではなかった。
・・・
4月1日の正午、ついに結界が破壊された。
(ダメだったか・・・)
ボイは諦めて、目を瞑った。
(???)
次の瞬間、激しく続いていた音が消えた。
ボイは思わず目を開ける。死んだわけではないらしい。だが、なんとなく気温が下がったような気がする。周囲を見渡すと、リサ、ヒギエラ、エウフロンネが、それぞれ、子供を抱えていた。
(死んではいないらしい・・・)
城の窓から外を見ると、街壁がところどころ壊れていることに気がついた。そして、その壊れた壁から見たことがない風景が見えたのである。
(何故、空が見える?)
この街は、周囲が魔物の森だったはずである。だが、壊れた壁の先は空である。
(もしかして・・・)
『ファイヤーボール』
ボイは魔法を唱えた・・・・。が、火の玉は発生しなかった。
(これは・・・第3惑星への転移に成功したんじゃないか?)
まだ、ちゃんと調べる必要があるはずだが、ボイは確信していた。
『やっと地球に着たぞ!』
いつの間にか、子供を抱いた、リサ、ヒギエラ、エウフロンネが、そばに来ていた。
『成功したようですね』
3人の声が揃った。
・・・
13時の会議室には、リサ、ヒギエラ、エウフロンネを含めた、8人が揃った。
『まずは、周辺の状態を調べよう』
ボイの言葉に7人が頷いた。
これにて完結です。
読んでいただいた皆様、ありがとうございました。




