第34話 瘴気と魔力のレベルが変化する日
運命の日ともいえる朝は、穏やかだった。ボイは、いつもと同じように起きて朝食を食べようしたとき、魔力を使ったシステムを停止させていたことを思い出した。
あらかじめ用意して置いた保存食で朝食を済ませたのち、魔力レベルを確認しようとして、小さな火の玉を作ることにした。
『ファイヤーボール』
昨日までであれば、直径5㎝くらいの火の玉になるくらいの魔力で発動させたそれは、直径15㎝くらいの火の玉になった。
『かなり大きいな・・・』
明らかに魔力のコントロールレベルが違うことに気が付いたのだった。
・・・
会議室にボイ、リサ、ヒギエラ、エウフロンネの4人と、ジュノー、ダビダ、エルクリーナ、エウノミエのコウガ代表4人が集まった。
『街の機能は、魔力レベルを調整した後、再起動させました。この後、更に変化する可能性もあるので、毎日点検する予定です』
コウガの4人には、街の機能維持に対しての対応チームを作ってもらい、変化した魔力レベルに調整した街の機能を再開してもらっていた。
『結界のレベルもかなり上昇しています。結界のシステムは今のところ、問題は発生していないです』
結界のシステムが魔力の増大にどこまで耐えきれるのかは不明であるが、今のレベルであれば問題ないらしい。むしろ、同時に上昇したはずの瘴気レベルによって周辺の魔物がどうなっているのかが気になるところであった。
『監視システムは使えそうか?』
ボイはジュノーに確認するように言った。
『はい。大陸数か所とビードロフ島数か所に設置したカメラからの情報は受信出来ています。今のところ映像からは異常は確認できません』
実は、異世界の蔵書に書いてあったのは、魔力で動く遠隔カメラのようなもので、コウガのメンバーによって、大陸の数か所を、ビードロフ島数か所に設置されていた。この映像は、城のこの会議室に表示されており、ボイたちは、その映像を眺めていた。
『懐かしいな・・・』
ヒギエラがある映像を見ながら呟いた。それは、セントラルシティのある建物の屋根に取り付けられた、街の様子を映していた。右隅に城が見える。ヒギエラの生まれ育った城なのだろう・・・。
・・・
昼過ぎになって、ジュノーが慌ててやってきた。
『フヤとクリミに魔物が溢れています』
ジュノーの言葉に、ついに来てしまったかと思いつつも、会議室に移動すると、そこには、他の6名が映像を見ていた。
クリミとフヤの街にある映像には、真っ黒い集団が街を蹂躙している様子が見えた。真っ黒に見えて、魔物の種類はわからない。しばらくすると、フヤとクリミからの映像は見えなくなった。恐らく、設置したカメラが魔物によって破壊されたものと思われた。
『わかってはいたのだが・・・』
ヒギエラが泣きながら呟いた。
・・・
その後、街壁から結界の外を監視していたコウガのメンバーから、見たことがない魔物が現れた旨の報告があったが、今のところ、結界の力によって問題なく侵入を阻止出来ているとのことであった。一方、大陸に設置したカメラは、全て、1ヶ月以内に映像が来なくなった。映像を監視してもらっていたコウガのメンバーによると、何れの地点も、最後は、魔物に襲われている姿だったということから、少なくとも、大陸のカメラを設置した地点は魔物に襲われたと判断した。エウフロンネは特に問題なさそうだったが、ヒギエラは、ショックだったらしく、口数が明らかに少なくなっていた。
『悪いが、ヒギエラの様子を見ていてくれ』
ボイはエウフロンネにヒギエラの様子を見てもらうように頼んだ。
『もちろんです。私は、ヒギエラ様に仕えるのが元々の仕事ですから』
エウフロンネはそういってヒギエラの傍から離れないようにしていた。
(判っていたこととはいえ・・・どうにもしてあげられないといのはもどかしい)
ボイは、“異世界の蔵書”を再確認することにした。




