第097話|ココ編【……終わりだ……】
アーラは眉間に皺を寄せながら、飛行型魔族を見ていた。
「俺の攻撃も効いているな」
そして穴の開いた翼を見た。
「——まだだっ!」
力強く羽ばたいた。
バランスが崩れた。
「——くっ」
翼を広げ、落ち着いて滑空してみた。
(……まだ飛べる……だが、片側に崩れる……)
(……奴と戦いながら、調整するしかない……)
アーラは再び飛行型魔族を見た。
飛行型魔族は、首を振って意識を立て直そうとしていた。
そしてこちらを見た。
目が合った。
次の瞬間、飛行型魔族の周りに魔法陣が展開された。
「——そう来るよな」
アーラはトサカを震わせ、音を増幅させる。
——それは同時だった。
飛行型魔族が展開した魔法陣から風の刃が放たれた。
アーラの音攻撃も放たれた。
ギィィィィィン!
音攻撃が風の刃を相殺する。
そして、抜けてきた風の刃をギリギリで避けた。
飛行型魔族も音攻撃の範囲外に逃れた。
「……これではらちがあかんっ!」
アーラはバランスを崩しながら、すぐに体勢を立て直した。
「——!?」
飛行型魔族がこちらを見ていなかった。
飛行型魔族は森を見下ろしていた。
その視線の先には、パックたちがいた。
「——やめろ」
「昔のお前なら、そんなことはしないはずだ」
アーラは力強く羽ばたいた。
穴の開いた翼側に傾いた。
「——やめろっ!」
それでも羽ばたいた。
飛行型魔族はパックたちの方へ向きを変えた。
「馬鹿野郎っ!」
アーラの目から、大粒の雫が風に流され飛び散った。
飛行型魔族がパックたちに向かって飛んだ。
「——お前は」
「……」
「俺に背を向ける愚か者じゃない」
アーラの目の前が滲んだ。
「……そんな負け方をする奴じゃないだろ……」
アーラは容易く飛行型魔族の背後を取った。
アーラのトサカが震えた。
音を最大限に増幅させた。
くちばしを大きく開いた。
その時、飛行型魔族が振り向いた。
「……」
「——っ!?」
アーラは一度だけ瞼を強く閉じ、雫を払い除けた。
——もう、ためらわなかった。
ギィィィィィィィィィン………………




