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第088話|ココ編【……仲間って、どんな……】

———ヘルの自宅


また、差出人不明の手紙が届いた。


「……ったくよ、人使いが荒いこって……」


ヘルが封を開けると、「新しい仲間を得た」と書いてあった。


ヘルの動きが止まった。

「……何だそりゃ……楽しそうじゃねぇかおい……」


悪態をついたが、少し胸が温かくなった。


そして、また銀貨が入っていた。

「……けっ、また渋いな……」


「だが……儲けさせてもらってるぜ」


「……ありがとよ」


———ココ邸


「どうも」

ヘルは門番に挨拶した。


門番が声をかけた。

「よう、ヘル。次までにタバコ仕入れてくれよ」


ヘルが尋ねた。

「分かりました。銘柄は?」


「ミント入りのやつ頼むよ」


すっかり顔馴染みになっていた。


そして、ココにも報告した。

「便りがきました。新しい仲間を得た。との事です」


「——!?」

ココの表情が明るくなった。

「わかった、いつもありがとう」

そう言って、ココは笑顔になった。


ヘルの帰りの馬車はいつも軽くなっていた。


ヘルが帰ると、ココは出かける準備をした。

目指すは、みかん畑。


大体の位置は分かる。それで充分だった。

行けばアーラが見つけてくれる。

ココは何の心配もなく出発した。


———みかん畑


パックはアーラに皮を剥いてあげていた。

アーラが「皮が苦い」と文句を言うからだった。


いつもパックの手は黄色くなっていた。


そして、二人の食生活が大きく変わったのは、エルザと出会ったからだった。


特にアーラが蜂蜜を気に入った。


「もっとくれ」


「もう、仕方がないですね……」


「……女王様、奴に甘過ぎます」

アーラは働き蜂たちに文句を言われながら、蜂蜜を舐めていた。


アーラが急に首を上げた。

「……」

アーラの目が細まった。

「……」


「……小僧、小娘が来るぞ」


みかんを剥いていたパックが顔を上げた。


「……位置が違うな、迎えに行くぞ。乗れ」

そう言って屈んだ。


パックが肩の上のエルザを見た。

「エルザは飛べないから、一緒においで」


エルザが子どもたちの方を見た。


働き蜂たちが言った。

「女王の位置は分かります。心配ありません」


「ついでに蜜を集めながら、後を追います」


「……おい人間、女王を死守しろよ?わかってるよな……」


パックは顔を引き攣らせた。

「……あ、うん……大丈夫……わかってる……」


「……お前は女王を守るという責任の重さがわかってない……今度指導してやる」


「……あ、うん……よろしくおねがいします」

パックはため息をついた。


———馬上


「……新しい仲間……」

ココは無意識に呟いていた。


アーラの姿を思い出した。


そして、今まで戦ってきた魔族たちの姿を思い出した。


ココは喉を鳴らした。


「……どんな姿の魔族なのかしら……」


「……大きいの?」


「……能力は……」


「……仲良くなれるかな……」


「……苦手なタイプだったら……」


考えを巡らせるうちに、柑橘系の香りが鼻をくすぐってきた。


心臓がうるさくなってくる。


街道がオレンジ色の景色に包まれる。


手綱を握る力が、無意識に強くなる。


馬のスピードが徐々に落ちる。


みかんの輪郭がはっきりとしてくる。


爽やかな香りが鼻をつき、ココは静かに目を閉じ、空気をたくさん吸い込んだ。

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